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ため池の設計指針「50年に1度」の基準では危ない | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その319 └──── (地球物理学者)
ふだんはダムやため池は水をたたえていて人々の心を和ませる。 観光地になっているところも多い。 だが、いったん決壊すれば、ダムやため池は豹変(ひょうへん) する。多くの人が巻き添えになることも多い。ダムやため池の大量の 水が下流を襲うからだ。その原因には豪雨があるし、地震もある。
2011年の東日本大震災のときの福島県・藤沼ダムにはダムが地震で 決壊して大量の水が下流を襲った。長沼地区や滝地区では死者行方 不明者8人、流失や全壊した家屋19棟、床上・床下浸水した家屋が 55棟という被害を出し、田畑の土壌も多くが流失した。
また2016年の熊本地震では黒川第1発電所の貯水施設が地震直後に 決壊した。大量の水が下の部落を襲って、民家9戸が壊れ、2人が なくなった。 決壊しないまでも、2018年の西日本豪雨では、愛媛県にある野村ダム と鹿野川ダムの決壊を防ぐために大量の「緊急放流」が行われ、 肱川(ひじかわ)が氾濫して8名の死者が出たほか、家屋3000戸が 浸水被害を受けるなど大きな被害が出た。
「緊急放流」は先週末の台風19号の神奈川・城山ダムでも、同ダム としては初めて行われた。相模原、厚木、海老名、平塚、茅ケ崎、座間 など数十万人が住む人口密集地帯での洪水が心配されて避難が 始まった。幸い雨が収まったので緊急放流は4時間弱で止められたので 被害はなかった。
ダムだけではない。全国各地にあるため池も同じように大量の水が 下の村を襲う可能性が大きい。1854年に起きた巨大地震、安政南海 地震では、いまの香川県にあった満濃池(まんのういけ)が決壊した。 高さ15メートルを超す大きなダムだった。 2018年の西日本豪雨でもため池の決壊が相次ぎ、3歳の女児が犠牲に なるなど被害が出た。
.. 2019年10月31日 08:52 No.1782001
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