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「警視庁広域重要指定事件」とは、同一犯とみられる事件が複数の都道府県で発生した場合、または、犯行が1件でも、捜査の必要上、管轄が違う警察組織の協力を要請する場合、警察庁が指定するものです。
だが、犯行が複数でも、1つの都道府県に留まると推定される事件は除外されます。例えば「佐賀女性7人連続殺人事件」や「広島タクシー運転手連続殺人事件」等の場合が、それに核当します。
制度の発足は、昭和30年代以来、交通の発達、生活地域の拡張等により、犯罪の形態も広域化するようになりました。そのため広域検査の必要性が一番だと高まり、改めて犯罪手口の検討が行われました。
1956年「犯罪手口資料取扱規則」が、翌1957年「犯罪捜査協助規則」が制定され、都道府県警察間の協力関係についての基本事項が定められました。捜査依頼や指名手配等を行う際、便宜が図られるようになったのです。
また1956年には「重要被疑者特別要綱」も制定されています。当時、地域の警察同士、お互い縄張り意識が強く、捜査に支障をきたす場合が多々ありました。そこで、事態の解決が図られたのです。
さらに1963年から翌1964年にかけて「西口彰連続強盗事件」が発生しました。その捜査状況の反省を踏まえて1964年に「広域重要特別捜査要綱」を制定したのです。内容は、地域間の連携や情報の統合を強化するものであり、同要綱により、警察庁の調整の下、重要事件の指定と特別捜査が実施されるようになったのです。
そしてそれは1974年に、「広域重要捜査要項」に移行し、指定事件は社会的反響の大きい凶悪または特異重要な事件に限定されることとなります。今後はさらに広域にわたる事件が発生することが想定され、ますます広域捜査の重要性が高まることでしょう。
.. 2019年10月16日 08:07 No.1770001
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