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《6》「新」新検査制度は、老朽原発の審査・認可に先取りされています
新検査制度の施行は来年4月からですが、その内容は、すでに老朽原発 の40年超運転認可に取り込まれています。 40年超運転が認可されるには、イ.特別点検を実施し、ロ.劣化状況評 価を行い、ハ.保守管理に関する方針を策定しなければなりません。 ただし、特別点検で原発に重大な劣化が見つかっても、それで運転が不 許可になるのではなく、その劣化を維持基準で評価し、補修・取替の保守 管理方針を策定すれば、補修・取替をしなくても、40年超運転が認可され るのです。 すなわち、新規制基準に適合するための過酷事故対策工事は避けられま せんが、老朽化で劣化した建屋・施設や機器・配管類を直ちに補修・取 替する必要はなく、維持基準に基づいて劣化を評価し、40年超運転に入っ た後で、保守管理計画に沿って対処すれば良いのです。 なお、高浜1、2号機と美浜3号機の40年超運転は2016年4月と10月に 認可され、3基合計で約4千億円をかけて対策工事が進められていますが、 上記のように、この工事でこれらの原発が新品同様に生まれ変わるのでは ありません。
例えば、高浜1、2号機の工事では、過酷事故対策として格納容器上部 遮蔽を設置し、基準地震動引上げに伴って耐震性がないと分かった燃料取 替用水タンクの取替や海水取水設備の移設を行い、総延長約1,300kmのケ ーブルの防火シート施工や難燃ケーブルへの取替などをおこなっています。 美浜3号機の工事でも、基準地震動引上げに伴って耐震性がないと分か った使用済燃料リラッキング用ラックの取替、使用済燃料ピット補助建屋 基礎の補強、炉内構造物(炉心槽、上部炉心支持板、上部炉心板)の取替、 地震時に崩壊する恐れのある高台の掘削・構台設置、総延長約1,000kmの ケーブルの防火シート施工や難燃ケーブルへの取替などを行っています。 これらは、新規制基準に対応する対策で、老朽劣化した建屋・施設や機 器・配管類を補修するあるいは取替るものではありません。 (「連載5」に続く) (7月19日「京都の金曜行動で配布のチラシ」より)
.. 2019年07月24日 08:41 No.1709009
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