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使用済み核燃料の再処理は経済的にも引き合わない
フランク・フォン・ヒッペル (米プリンストン大学名誉教授・物理学)
日本の原子力委員会は2018年7月、「プルトニウム保有量を減少させる。 保有量が現在の水準を超えることはない」とするプルトニウム利用の基本 的な考え方を表明した。これは誤解を招くものではないかと危惧する。 17年末時点で、日本は使用済み核燃料から分離したプルトニウムを国内 外に約47.3トン保有する。国内に保管している約10.5トンに加え、英国に 約21.2トン、フランスに約15.5トンを保管してもらっている。(中略) 英仏は核兵器保有国であり、現在、日本のプルトニウムの多くはその管 理下にある。10年後には非核保有国である日本が現在よりずっと多くのプ ルトニウムを直接管理することになる。これでは核不拡散の面で状況が好 転しているとは言えないのではないか。日本には核兵器保有の意思はない と私は信じているが、日本の大量のプルトニウム保有を疑問視する国もある。 再処理は経済的にも引き合わない。すでに2兆円の建設費がかかり、運 転すればさらに国民負担は増す。使用済み核燃料は再処理せずに地下深く 埋めるなど政策を見直す必要がある。 (7月18日、「経済教室・私見/卓見」より抜粋)
.. 2019年07月19日 11:24 No.1708001
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