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生前父はこれからの日本国及び石原莞爾思想の行く末など話していました。その際、様々なご助言をいただきました。戦後の焼跡から出発した父たちは、戦後の時代を馬車馬のように働き、駆け抜けていきました。よくこのようなことを言っていました。
私は、自分の子供や未来の子ども達には、もっと豊かな暮らしをさせたいという願いから石原思想を実践してきた。そしてそれは、実現した。しかしその結果、日本人は本当に幸せになったのだろうか?物質面の豊かさが、心の豊かさになったであろうか?この問いに答えることはとても難しいと思う。「昔は良かった、人情もあった」ということは簡単です。
しかし、現実問題として、共同で農作業をしてかまどで火をおこして飯を炊き、同じ釜の飯を食べる。井戸で水を汲んでタライで洗濯するような生活に、戻りたいという人はいなくなってしまったのではないでしょうか。物質面から言えば、現代の日本国民は、明治維新前の大大名を凌ぐぐらいの生活をしています。
エアコンのきいた快適な室内で、冷蔵庫には食べ物や飲み物が詰まっています。テレビのリモコンのスイッチを押せば、世界中の様々な映像が溢れています。インターネットで、チャットやゲームを楽しむことができます。近所の公園を散策し、図書館に行けば、人間の学問や芸術の集大成から手軽な娯楽作品まで、好きな本を無料で借りることができます。
これは、何も特別な階級の人間だけに許されたことではありません。ニートやフリーターと呼ばれる人々が、現在享受している平均的な生活レベルです。もしもそれを幸せでないと言うのであれば、アジアやアフリカや中東などで、貧困にあえぎ戦火に追われて、生命の危機と直面して暮している人たちに、何と言えばいいのであろうか。
かつて飢えや病のために痩せ細り、望郷の思いに焦がれながら、異郷で散華した英霊たちに、どう申し訳が立つのでしょうか。しかし、それでも敢えていうなら、現実問題として、今の日本の社会には、何かが欠けています。医学の進歩のお陰で、病んで若死にする人がいなくなり、戦死する人もいなくなりました。
.. 2019年07月08日 13:29 No.1699001
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