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1703年「元禄関東地震」 | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その298 └──── (地球物理学者)
1923年に関東地震が起きた。「関東大震災」と呼ばれるように、10万人 を超える死者を生んだ大災害である。 これは首都圏を襲う海溝型地震のひとつで、フィリピン海プレートが 神奈川県沖の相模トラフから首都圏の下に潜り込むことで起きる。 ほかの場所では太平洋岸の沖にしか起きない海溝型地震が陸の直下で 起きるのは、日本ではここにしかない。 海溝型地震ゆえマグニチュード(M)が8クラスと内陸直下型地震よりも 大きいし、プレートが動くにつれて地震のエネルギーが溜まっていく から、いつかは起きてしまう地震だ。
そのほかに首都圏では、日本の各地で起きる内陸直下型地震も起きる。 げんに安政江戸地震(1855年)は、日本で起きた内陸直下型地震としては 最大の死者1万人を生んだ。首都圏は海溝型地震も内陸直下型地震も 起きるところなのだ。 海溝型地震は1923年に起きた関東地震の「先祖」として、1703年に 起きた元禄(げんろく)関東地震が知られている。
今度、いつ海溝型地震が襲ってくるのかが大問題である。そのために は、過去の海溝型地震の繰り返しを知らなければならない。 首都圏は京都や奈良ほどではなくても、千年以上も人が住んでいて、 地震の歴史も残っている。 しかし問題は、歴史上の記録は、地震による被害が書かれているだけ で、被害のありさまや拡がりから海溝型地震と内陸直下型地震を見分け るのは不可能なことなのである。
元禄関東地震は大きな津波が襲ってきたので海溝型地震だったことが 分かった。つまり津波と津波が運んできた堆積物が決め手になったのだ。 だが、そもそも首都圏では沿岸部まで開発が進んでいるから、陸上 では、津波堆積物が残りにくい。このため、津波があったかどうかが 分からないことが多い。
.. 2019年05月29日 08:44 No.1669001
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