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笑わせる人というのは題がよくない。考える人というとロダンの彫刻を思い浮かべるが、笑わせる人というのは彫刻はむつかしいだろう。笑わせるなという場合は、笑止なという意味もあるので連想がよくない。それで、石原莞爾の笑わせる人の一面というと、誤解をまねきそうだが、単に人を笑わせるのが好きだったらしいという一面である。石原六郎によると、「バカ話は実にうまかった。参謀本部勤めのころは私も知っているが、出勤で玄関を出るときは必ずと言ってよいほど女房や女中に向かって、おどけて見せて笑わせるのだった。来客が多くて姉の手が回りかねて派出婦を頼むことがあった。食事のとき兄がダジャレを始めても家族は、いつものことだから大して感じないが、派出婦は吹き出してしまっていっしょに食事ができず、自分のものだけ持って別の部屋に逃げ出すことがあった。兄が冗談や皮肉を言ったあとで、にこっと笑う顔には一種の特色があって、それに親しみを感じた人も多かったのではあるまいか。」
.. 2008年12月06日 10:51 No.166001
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