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天下の愚挙 戦時中の戦艦大和、戦後の原子力船「むつ」、「もんじゅ」、 六ケ所村の核再処理工場、辺野古米軍新基地建設
鎌田 慧(ルポライター)
結局、安倍首相は沖縄へ出かけなかった。衆議院補欠選挙で、維新に 敗北した大阪12区には、自公候補の応援に行ったが、辺野古米軍基地建設 に対して抵抗運動の強い、名護市を含む沖縄3区へ出向いて「真摯に」 選挙民を説得する勇気を示すことはなかった。 辺野古基地建設を強行する安倍内閣が推す候補は、翁長雄志知事、玉城 デニー知事に連続敗北。 今年2月の県民投票での「辺野古ノー」の民意に次いで、今回の選挙で も完全敗北となった。
これだけの反対を受けても政策を変えないのは、判断できない「病 膏肓(やまいこうこう)に入る」の状態、もしくは独自に意志決定できない 従属状態、あるいはその複合体、としか考えられない。 安倍内閣は、「世界一危険な」普天間米軍海兵隊飛行場をこのまま 認めるか、その代わりに辺野古に新基地を建設させるのかと沖縄県民に 詰めよっている。 しかし、敵陣に突進する海兵隊を太平洋地域に展開するのは今どき戦略 的価値はないというのが1990年代海兵隊本部の結論のはずだ。
危機を煽って政治を進めるのは独裁者のやり方だ。総工費2兆5500億円 以上。それだけかけても完成するかどうかわからない。 ドブにカネを捨てる。珊瑚の海をドブにする罪深い工事だ。 戦時中の戦艦大和、戦後の原子力船「むつ」。「もんじゅ」、六ケ所村 の核再処理工場。それと並ぶ天下の愚挙だ。 (4月23日朝刊29面「本音のコラム」より)
.. 2019年04月24日 09:38 No.1645001
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