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人命尊重より儲け主義のあらわれ 鎌田 慧(ルポライター)
「メード・イン・ジャパン」。ドイツ製と並ぶほどに安定的な品質を 誇ってきた、日本ブランドもついに斜陽なのか。 三菱自動車、日産自動車、スバルなどの燃費や検査の不正の発覚に つづいて、スズキの200万台もリコールと決まった。 ブレーキやハンドル検査は、安全性つまりは人命に関わるもっとも重要 な工程だが、ここが人員削減、手抜きされているのは儲けファースト、 事故が発生しても構わない思想のあらわれだ。
人間の命を守る住宅でも、レオパレス21に続いて、最大手の大和ハウス が販売した、賃貸アパート、一戸建て2000棟で建築基準法違反の恐れが 発覚。これも人命尊重より儲け主義のあらわれである。 企業内に人間尊重の思想と教養、そしてそれを守るチェック機能、 たとえば労働組合がない。 国際競争に勝ち抜くための社内の非民主主義的風潮が社員を萎縮させ、 国際競争から脱落させる。
「日の丸液晶」と言われた、ジャパンディスプレイ(JDI)の経営が 悪化、中国と台湾資本の傘下入りが、日本製斜陽の象徴か。 庶民感覚とほど遠い「アベノミクス成功」とは、統計の不正、改ざん によって、検査工程で書き換えられたもので、リコールに相応する。 官民一体となった偽装主義は「森羅万象すべてを担当する」と豪語 する総理大臣にも責任があると思う。 (4月16日朝刊27面「本音のコラム」より)
.. 2019年04月17日 08:52 No.1640001
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