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住宅の保障こそ最大の人権擁護である 鎌田 慧(ルポライター)
住民に避難訓練をさせながら工場を稼働させる。そんな危険な工場は いやだ、と住民が反対しても政府は無視して会社にハッパをかける。 ひどい国の話のようだが、ほかならぬ日本の現実だ。 避難途中に多くの病人が亡くなった。「原発事故さえなかったら」と 書いて酪農家が自殺した。牧草地もウシも希望も奪われた。政府は犠牲を 顧みない。まるで戦争だ。 福島原発事故から8年、避難者の生活はますます苦しくなっている。 3月29日、福島県は東京の国家公務員住宅に住んでいる55世帯に、 「3月末で退去」「退去しない場合は、家賃の2倍の損害金を請求する」 と文書で通告してきた。 退去届の提出を強要され、心身に変調をきたしたひともいる。「4月 1日で荷物と共に放り出されるのでは」と不安な気持ちで生活している。 大熊町から避難してきたKさんは「県が貧困をつくりだしている」と 批判した。彼女は避難指示区域からの避難者だが、区域外からの「自主 避難者」は「勝手に逃げた」扱いで、視線は厳しい。 しかし、故郷を離れ、不安定な仕事について、誰が好きこのんで苦しい 生活を続けているのか。 国は原発を遮二無二進め、県はその方針に従って財政的に潤った。 住民の人権を無視してきた政治責任は、キチンととるしかない。 住宅の保障こそ最大の人権擁護である。 (4月2日朝刊25面「本音のコラム」より)
.. 2019年04月04日 09:47 No.1631001
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