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■--【8年目の3・11】
++ 渡辺悦司 (大学生)…91回          


   「史上最悪」の福島第一原発事故と健康被害
   安倍首相の「健康被害は一切ない」発言で
   歯止めなくした被ばく線量下限  (その1)(4回の連載)
 |  原発事故被害ゼロ論の虚構政府側専門家の
 |  「安全・安心」は二枚舌
 └──── (市民と科学者の内部被ばく研究会)
       インタビュー

 前号に続き福島第一原発事故問題を取り上げる。
 「市民と科学者の内部被ばく研究会」の渡辺悦司さんは先日、「放射線
被曝のもたらす健康影響の全体像の把握に向けて」を書き上げた。
 そこでは、
(1)放射線によるがんや心臓病に加え、脳や神経への影響で能力が
落ちる症状も含め、人体影響への全体を見るべきだ。
(2)政府の「福島事故の被ばく被害ゼロ論」が実行されれば、何度でも
原発事故が許容され、自滅的結果になりうることが最大の問題だ。
(3)「被害ゼロ論」の目的は、今の原発事故被害や将来の事故被害を
隠すためだけではなく、米国をはじめ帝国主義が進める「使える」小型
核兵器の戦争において、放射能は安全で被害無しと言うためである。
(4)被ばくによる危険性を主張すると、さまざまな批判反論にさらさ
れ、被ばくそのものを言いにくくされているが、堂々と主張して国と
明確に対決することが必要であり、それは世界の終わりを世界の変革へ
変える道でもある。
といったことを、膨大な資料をもとに展開した。
    (全文は こちら 
     渡辺悦司さんに話を聞いた。(人民新聞編集部・園)

※《事故情報編集部》より
 今回の文章(4回の連載)は前半部分です。後半部分も連載の予定です。


◎原発事故被害ゼロ論の虚構政府側専門家の「安全・安心」は二枚舌

編‥国は全国のPTA大会や学校現場で『放射線のホント』『放射線副
読本』を配り、「福島事故の被害はゼロ」「被ばくは体に悪影響がない」
と主張し、問題になっています。
.. 2019年03月29日 08:08   No.1625001

++ 渡辺悦司 (大学生)…92回       
渡辺‥被ばく被害の否定は、チェルノブイリ原発事故以降の国際原子力
マフィア=「核帝国主義」の基本路線です。
 事故直後に山下俊一らが福島に入り、「笑っている人には、放射能の
影響は来ません」と講演して回ったのが最初です。
 これは、「みんな笑って病気になって死んでもらいましょう」という
示唆です。
 彼らの「放医研」内部では「これは深刻になるぞ」と言いながら、
市民向けには「影響はない」と言い続けました。
 2枚舌です。彼らは今後何が起きるのかわかっていたのであり、被害
ゼロ論は、事故前から決まっていた、国際的な対応策です。

 次の画期は、安倍首相の東京五輪招致時の「過去・現在・未来も福島
事故の健康影響は一切ありません」との発言です。
 実は日本語のテキストでは、原発汚染水の影響について言ったかのよう
に読めて、そう思っている人も多いですが、英語版では「全てに影響が
ない」と言い切っています。これが本音です。
 そのための方便として、事故当初は「年間100mSv以下の被ばくの健康
影響はわからない」と言っていたのを、安倍発言以降は「影響はない」
と断定しました。
 2枚舌を「影響なし」で統一しました。また、被ばくの影響に閾(し
きい)値はなく、なるべく避けるべきだとする「予防原則」を撤廃しま
した。
 放射能からの避難の必要性・正当性を無くせるからです。こうして
「事故被害ゼロ論」は完成しました。

 『放射線のホント』でも、原爆に関する国側の最近の本でも、放射能
による「致死量」には絶対に触れません。原爆被害に言及はありません。
これは原爆犠牲者への冒涜でもあり、後述する小型核戦争の狙いと関係
してきます。
 年間100mSv以上の被ばく者は居ないと否定していますが、年間20mSvの
帰還困難区域に住民を帰していますから、5年間で100mSvに到達します。
 ですから、今は下限値を「1Sv」に上げようとしています。原子力規制
委員会は、1mSv解釈の変更を進めています。一般住民の年間1mSv/y
基準に相当する被ばく線量率を、現行の4倍または7倍に引き上げるの
です。

.. 2019年03月29日 08:17   No.1625002
++ 渡辺悦司 (大学生)…93回       
これが実施されると、「100mSv」は、国際社会や放医研すら、放射能で
人間が死ぬ下限値と認める「1Sv」を超えるのです。
 なお、規制委がこの根拠にした早野龍吾東大教授らによる論文は、論拠
となる福島県伊達市の住民の被ばく線量を3分の1に過小評価したことが
大問題となっています。
 それでも規制委は、1mSv解釈の改訂を変わらず進めると言っています。
これはいわば、「住民に対する大量虐殺政策」ではないでしょうか。
   (その2)へ続く
(人民新聞2019.3.5発行通巻1675号より了承を得て転載)

.. 2019年03月29日 08:24   No.1625003
++ 小若順一 (小学校中学年)…11回       
迷惑を他県に押し付ける福島県知事
 |  燃料デブリは使用済み核燃料より桁違いに危険性が高い物質です
 |  これを他県に押し付ける
 └────  (食品と暮らしの安全基金 代表)

◎ 3月7日、NHKは「震災8年・内堀知事インタビュー」で、廃炉の
最難関となっている燃料デブリは取り出して、県外で処分することを知事
が求めた、と放送しました。
 核燃料が溶けて落ちたのが、燃料デブリ。
 溶けていない使用済み核燃料は、原発敷地内のプールで貯蔵されて
います。どの原発も満杯に近いので、他県に持ち出して処理することに
なっていますが、受け入れを表明した県はありません。
 燃料デブリは使用済み核燃料より桁違いに危険性が高い物質です。
これを他県に押し付けると、内堀雅雄知事は主張したのです。
 原発事故で日本中に多大な被害を与えた自治体、という認識がないの
でしょう。

◎ 1970年代に、私は消費者団体を代表して、電気料金値上げ反対の集会
に出ていました。
 「世界一高い電気料金をまだ上げるのか」というのが、消費者側の
言い分でした。
 電気料金を高くして都市住民からお金を巻き上げた原発利権族は、
莫大なお金をばらまいて原発を建設したのです。
 「事故が起きる確率は天文学的に少ない」と国が言っていたら、1979
年にスリーマイル島原発事故が起きました。
 「大事故は起こらない」と国が開き直ると、1986年にチェルノブイリ
原発事故が発生。

 その後、佐藤栄佐久・福島県知事が原発の欠陥を何度も明らかにし、
原発反対派は大事故の危険性を言い続けました。
 事故が起きたら帰れる故郷がなくなると、原発のある大熊町や双葉町の
住民は数100回以上も聞いていたのです。
 ですから多額のお金を受け取った大熊町と双葉町には大きな責任が
あります。
 受益者だった2町の住民は、「帰る権利」を隣町と同じようには主張
できません。

.. 2019年03月29日 08:31   No.1625004
++ 小若順一 (小学校中学年)…12回       
 避難指示が一部解除される予定の大熊町について、「帰れるエリアが
あるんだ、ということを町民の方に実感していただくことが重要」と、
知事は話しました。
 大熊町に造られた焼却施設のバグフィルターで取れるのは0.1ミクロン
(1000分の1mm)まで。それ以下のチリは放出されているので、町に帰る
と放射能を吸い込みます。
 チリをすべて取り除く電気集塵機を設置しないで放射能を拡散させて
いる知事が、住民を危険な町に戻すのは、殺人に匹敵する行為です。

 知事が風評被害を嘆くのは、詐欺師が毒物を売ろうとするようなもの。
 周辺自治体は、汚染が減ったのに住民が戻らないので困っています。
テレビで大熊町の住民が「帰りたい」と言いましたが、実際に戻って
住む住民は極くわずかです。
 ここから放射能が飛び散って汚染したのですから、「全国民に迷惑を
かけて申しわけない」とお詫びするのが、まともな感覚をもつ行政の
すること。
 原発の最大の受益者だった2町は、全国に迷惑をかけたお詫びとして、
放射性廃棄物を引き取るための巨大施設を造るべきです。
 除染は必要なくなるので、浮いたお金で、避難先の住民の生活を向上
させます。
 このパッケージ政策なら、税金や電気料金を投入しても、消えた町が
潤っても、国民は納得するでしょう。

.. 2019年03月29日 08:41   No.1625005
++ 山崎久隆 (社長)…840回       
8年目の現実 福島原発震災の教訓と危機状況 (その2)
 |  汚染水「長期保管」でトリチウムの減衰を待つ
 |  デブリはいじらず石棺で長期密封すべき
 |  原発再稼働が福島第一原発事故対応を阻害する
 └──── (たんぽぽ舎副代表)

     ※(その1)は3/27発信の【TMM:No3611】に掲載

3.未解決の汚染水問題 「長期保管」でトリチウムの減衰を待つ

 汚染水問題は2つのカテゴリーがある。1つは敷地に流れ込む地下水と
降り注ぐ雨水が放射能に汚染されて環境中に流出していること。
 もう1つのカテゴリーが、原子炉を冷却するために水を循環させている
システムから出る汚染水で、トリチウムを大量に含んでいる「トリチウム
汚染水」だ。

 この2つのうち、主に議論になっているのは「トリチウム汚染水」。
 東電は敷地内のタンクを増設し続けており約112万トンを保管している。
 建屋には地下水と雨水と冷却用に投入している水が流入し、その一部は
環境中に流出、そして大部分は吸い上げられてアルプス(トリチウムを除
く放射性物質を低濃度まで除去する設備)を通して再度「冷却に使用」さ
れるラインと、タンクへ貯蔵されるラインに振り分けられる。このうちの
後者が「トリチウム汚染水」だ。

 原子力規制委員会は早期の海洋放出を求めているが福島県や地元の人々
から、海に流すなとの強い要求を受けている東電は結論を出さず、国の
汚染水処理対策委員会に下駄を預けている。
 その委員会が、地元と東京の3箇所で公聴会を開いた。意見表明をおこ
なった44人のうち海洋放出に賛成したのは2人。これを受けて汚染処理対
策委員会は早期放出案を一旦中止し、対策の選択肢の中に長期保管を加え
て検討することとしている。
 半減期の10倍の時間が経過すれば放射線量はほぼ1000分の1になるの
で、800兆Bqくらいと想定されている汚染水中のトリチウムは123年後
には8000億Bqほどになる。
 それを100万トンで割れば1リットル当たり800Bqで、今の東電の基準
1500Bq以下になる。こうした減衰を待つ方法が問題解決には有効だ。

.. 2019年04月01日 08:22   No.1625006
++ 山崎久隆 (社長)…841回       
4.デブリはいじらず石棺で長期密封すべき

 溶けた燃料がどうなったのか。2017から2018年にかけて少し見えて
きた。
 ロボットカメラで調査し、1、2、3号機で燃料の溶け落ちた様子など
格納容器内の状況が一定程度わかってきた。
 しかし、それらを三次元的に把握するには至っていない。
 デブリの場所は確認できても、それが張り付いているのか浮いているの
か、重さや固さは、持ち上げられるかもわからない。今は2019年度のどこ
かの時点でデブリのサンプリング調査をする段階だ。
 デブリの取り出し方法も不明確だ。

 むしろデブリを取り出すことを考える前に、100年程度は密封して管理
することだ。まず最初に10年くらいかけて水が出入りしないように地下に
「石棺」を造るべきだ。
 中途半端な状態でデブリをいじり出すのが一番危険だ。万が一にも臨界
になったり水蒸気爆発を起こしたりすれば手に負えない。建屋の破損箇所
から流出することも怖い。東電もそれはわかっているはずだ。

 密封して管理するしかないことを地元に納得してもらうほかない。
 今は「あらゆる手段を尽くして頑張っているのだ」という姿勢を見せ続
けることが目的化している。
 しかしそれは、巨額の資金を投入し続けることになる。それが税金であ
ることは忘れてはならない。

5.原発再稼働が福島第一原発事故対応を阻害する

 資金投入といえば、原発再稼働に日本中で巨額の資金が投じられている。
東電も柏崎刈羽原発に6800億円を投じた。
 東海第二原発にも1900億円をつぎ込む予定だ。福島第一原発に集中すれ
ば、もう少しまともな対策が進められる。
 再稼働ありきの国や電力会社の姿勢は、資金や人材を、再稼働出来ない
原発に投じながら「フクシマ」を無かったことにしようとしている。

 九州電力は川内原発と玄海原発を再稼働させた結果、管内の電力需要に
比して過大な発電設備になり、太陽光など再生可能エネルギーからの供給
を強制遮断した。本末転倒である。

.. 2019年04月01日 08:29   No.1625007
++ 山崎久隆 (社長)…842回       
 他にも弊害が出ている。北海道電力の全道停電も泊原発の再稼働を当て
にしているため本州との連系線を含む送電網や新規発電所の整備が遅れた
結果である。
 東海第二原発は、運転制限期間40年を超えており、本来は廃炉だが3000
億円もの費用を掛けて再稼働しようとしている。100万人いや、それ以上
の人々の生命と生活を危機にさらしながら。

 再稼働への「意気込み」を醸成したのは国の「原子力をベースロード
に」とのエネルギー基本計画だ。実態は現時点で再稼働している原発は
9基だけ。「2030年に20%」など達成できるはずもない。

 再稼働の旗振りが続く限り「国策」に寄生して原子力産業は巨額資金を
調達し続け、そのツケは国民に回る。もし事故が起きれば数十、数百倍へ
と膨れ上がるだけだ。
 この「悪夢のサイクル」を止めなければ、どんな政権が出現しても変わ
らない。
 再稼働阻止とは日本の仕組みそのものを問い直すことでもある。(了)

 (初出:月刊たんぽぽニュース2019年3月No279より転載)


※《たんぽぽ舎よりご案内》

 5/12(日)木幡ますみさんを激励する集い
     『福島第一原発事故から9年目 福島の現状
      町議として活動4年目で見えてきたこと』

 日 時:5月12日(日)13時より17時
 お 話:木幡ますみ (福島県大熊町町議会議員)
 会 場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F)
 主 催:たんぽぽ舎  協力:ウシトラ旅団
 参加費:800円   懇親会費は別途。

.. 2019年04月01日 08:36   No.1625008
++ 渡辺悦司 (大学生)…94回       
【8年目の3・11】
 |  「史上最悪」の福島第一原発事故と健康被害
 |  安倍首相「健康被害は一切ない」発言で
 | 歯止めなくした被ばく線量下限  (その2)(4回の連載)
 |  全省庁を動員した被害隠し「放射能安全キャンペーン」
 |  子どもと若者の白血病・がんリスクを高める被ばく
 └──── (市民と科学者の内部被ばく研究会)
       インタビュー
          ※(その1)は3/28【TMM:No3612】に掲載

◎全省庁を動員した被害隠し「放射能安全キャンペーン」

 どんなに不正が発覚しても突き進む政府の方針は、2017年末に全省庁へ
指示した「風評被害払拭のための原子力タスクフォース」です。「被ばく
の被害があると思うから病気になる」という「主観主義」が取られ、「取
り締まらなければならない」とまで公言しています。
 これにより農水省は「福島県産を食べて応援」宣伝を一層強化。外務省
は、海外に放射能安全キャンペーンを大々的に発信し、日本に呼び込もう
としています(日本の海外観光客は過去最高を更新中)。また総務省は、
マスコミ対策でしょう。原発被害や避難者の報道をさせず、福島に帰還し
た人々だけを報道しています。
 昨年の「紅白歌合戦」で、『嵐』の歌唱中に彼らの飯舘村訪問映像を流
しました。厚労省は、とにかく東日本の病院の病者・死者データを隠し続
けています。そして文科省は、「放射線のホント」で「被ばくしても影響
は無い、遺伝的影響も一切無い」と生徒児童を洗脳し続けるのです。
 しかし被害は莫大で、隠しきれずに出てきています。だから、国の主張
は暴論化しています。「放射線のホント」「放射線副読本」などは、私た
ちが被ばくを広く問題化するチャンスにすべきです。

.. 2019年04月01日 10:57   No.1625009
++ 渡辺悦司 (大学生)…95回       
◎子どもと若者の白血病・がんリスクを高める被ばく

編‥健康被害はどのように増えているのでしょうか。国が一切調査しま
せんが、若い著名人の大病や急死も目立っています。
渡辺‥脳や臓器への重い病気と、うつやアレルギーなどの疾患が増えま
す。もちろん被ばくの影響を個々に証明はできませんが、著名人の病態か
ら市民の状態を推察できると思います。
 2月にまだ18歳の水泳の池江璃花子選手が白血病を発症し、国内外に
大変なショックを与えました。彼女は3・11当時、10歳です。広島原爆の
後に急性白血病で死亡した人は、被爆時の年齢が10歳前後の人が極端に
多いことがわかります。8年後からですが、子ども・若者は放射線感受
性が高く、被ばくと白血病の因果関係は明確です。

 彼女の住む江戸川区は、年間1mSv以上の地域に含まれ、東京都でも最
も線量の高い地域の一つです。知人は、今でも雨どいから庭石に放射能
測定器を落とすあたりで数値が急上昇するといいます。
 また東京東部の亀戸の室内プール(荒川・利根川水系、金町浄水場)が
池江選手の本拠地です。金町浄水場は事故直後に高い放射能が検出され
ました。東京湾など、水自体がひどく汚染されています。病院の統計で
も福島・関東の白血病や血液がんは明確に増えています。

 東京23区で14歳以下の子どもは、約100万人です。この子たちの放射線
感受性を、ICRP(国際放射線防護委員会)の基準によって3倍とし
ましょう。同じくICRPによる白血病発症リスクは、約42〜54件/
万人・Svです。
 池江選手の被ばく量を8年間で5mSvと最低値で推計したとしても、
100万人の子どもたちに対しては4200〜5400人程度の白血病が、発症して
いる可能性があります。
 そしてECRR(欧州放射線防護委員会)によれば、ICRPは約
40〜50分の1の過小評価ですから、子どもの白血病も、人数が何倍にも
増加する可能性があります。池江選手の白血病は氷山の一角でしょう。
 (その3)へ続く
     (人民新聞2019.3.5発行通巻1675号より了承を得て転載)

.. 2019年04月01日 11:08   No.1625010


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