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電力会社と結託して人命と人権を危うくするのは憲法違反
鎌田 慧(ルポライター)
「復興は着実に進んでいる」。3・11大震災から8年目。菅官房長官 談話だが、この後「復興五輪」への拍車をかけるのだろうか。 悲しみと怒りと苦しみが始まったのは、地震と津波の被災だけではなく、 翌日からの原発爆発事故によったのは言うまでもない。 復興どころか、まだ膨大な地域が立ち入り禁止で、手つかずのままだ。 日曜日。都内でいくつかの3・11集会が開かれ、私も2つに参加 して、事故責任について話した。避難者は47万人。冬の寒い時期だった。 もちろん、原発だけの責任ではない。しかし、入院先から放射能に追わ れて、緊急避難した60人以上が死亡した。それを思うだけでも心が凍る。 5万人が未だ帰還できていないのには、原発事故発生源の東京電力の 責任が大きいのは間違いない。危険物を使って利益を上げようとして、 人命や環境ばかりか、精神的にも大きなダメージを与えたのなら、その 事業はやめるべきだ。電力は他の方法でいくらでもつくれるからだ。 国民の生活と人命を守るのが、政府の最大の任務だ。電力会社と結託 して、人命と人権を危うくするのは憲法違反だ。 「過ちを改めるのに憚(はばか)るなかれ」。 東電の経営者が自分たちの罪と責任の大きさに恐懼(きょうく)した なら、率先、脱原発に踏み切るはずだ。 それが罪の償いであり、謝罪だと思う。 (3月12日朝刊25面「本音のコラム」より)
.. 2019年03月14日 09:25 No.1613001
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