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放射能汚染土再利用の全内幕 | 録音データ入手! (その1)(3回の連載) | 汚染土は「廃棄物」ではなく「資源」だから再利用する建前 └──── (毎日新聞記者)
東京電力福島第一原発事故からもうすぐ8年。現在、着々と進められて いるのが、除染で発生した汚染土の再利用だ。環境省が秘密裏に行った会合 では、汚染土の押し付けを図る官僚らの本音が露骨に語られていた。 筆者が入手した会合の録音データから、国家の欺瞞を暴く。
〇 この国の政府は福島第一原発事故後、住民が汚染地帯を離れる避難で はなく、汚染した地表面をはぐ除染を被ばく対策の中心に選んだ。 避難指示の基準線量が年間20ミリシーベルトだったのに対し、除染が 年間1ミリシーベルトだったことが政策の本質を物語る。(中略) 5年にわたった除染作業によって発生した汚染土はフレコンバッグ( 土嚢袋)に詰め込まれ、ピラミッドのように積み上げられている。(中略) その量は福島県内だけで最大2200万立方メートルと推計されている。 また環境省によると、17年末までの発生量は約1600万立方メートルに上る。
この膨大な汚染土はどこへ行くのか。福島第一原発を囲むように建設が 進められている「中間貯蔵施設」に運び込まれ、最長30年間保管された 後、まだ決まっていない福島県外のどこかで最終処分される―。 これが「公式シナリオ」だ。(中略) そもそも、15年3月に本格搬入が開始されてから4年近くの間に運び 込まれた汚染土はわずか約230万立方メートル(19年2月12日時点)。 環境省は昨年12月、21年度中に搬入を完了させる方針を示したが、実現 するかは不明だ。
そのため環境省はもう一つのシナリオを着々と進めている。それが汚染土 の土木工事への再利用。防潮堤や道路盛り土などの造成に使う計画だ。 昨年6月には園芸作物を植える農地の造成にも使う方針を発表。用途の 拡大を進めている。 土は「廃棄物」ではなく「資源」だから再利用する、というのが環境省 の建前だ。 そもそも誰も引き受けない廃棄物を資源と装い、再利用(リサイクル)に 見せかけて棄てる行為を「偽装リサイクル」と呼ぶ。(中略)
.. 2019年03月07日 09:47 No.1607001
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