返信


■--正月明けの熊本北部地震
++ 島村英紀 (社長)…437回          

M5.1なのに震度6弱だったワケ
 | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その286
 └──── (地球物理学者)

 正月1月3日に、熊本県北部で震度6弱を記録した地震があった。最大
震度6弱は2018年6月に起きた大阪府北部地震以来だ。九州新幹線が
運転を見合わせるなど、正月明けのUターンラッシュで混雑する交通機関
も乱れたが、被害は少なかった。
 不思議だったのは、起きた地震の規模のわりに震度が大きかったことだ。
マグニチュード(M)は5.1。大阪北部地震のM6.1よりも小さかった。
数字で1しか違わないが、地震のエネルギーでは32分の1しかない。
 ちなみにMは対数目盛だから、2違うと地震エネルギーは1000倍違う。
 一方、震源の深さは、大阪では13キロ、今回は10キロとほとんど同じ
だった。つまり、ずっと小さな地震なのに、同じ最大震度6弱を記録した
のだ。6弱は震度階で上から3番目の強い震動だ。

 地震の規模に比べて、なぜ揺れが大きくなったのだろう。
 このほど発表された研究で、最大の震度を記録した和水(なごみ)町の
地下にあった軟弱な地盤が揺れを増幅したことが分かった。
 周波数によって増幅度は違ったが、いちばん増幅されたのは1秒間に2回
振動する周波数で、この周波数は人間が大きな震度を感じやすい周波数だ。
震度計はそれを反映して作られている。
 不幸中の幸いで、この周波数は家屋に大きな被害を生じる周波数よりも
高く、より小さな構造物には深刻な被害を与える周波数だった。これが家
屋の被害が少なくても震度6弱になった理由だった。
 もし、もっと大きな地震が起きれば、軟弱な地盤の上ではさらに大きな
揺れになって家屋に被害を生む可能性があった。

 熊本・和水町には限らない。今回のように川の近くや、一般に平野部など
で住宅や市街地が広がっている場所では、同じように地下に柔らかくて軟弱
な地盤が隠れている可能性が大きい。
 ごく浅ければ、建築の前に地下を調べる。しかし、数十メートルより深い
地下に何が広がっているのかは知らないまま建物は造られているのだ。
.. 2019年02月27日 09:06   No.1599001

++ 島村英紀 (社長)…438回       
 2009年8月に静岡・御前崎沖の駿河湾でM6.3の地震が起きて震度6弱を
記録した。
 近くにある中部電力の浜岡原発では5号機の原子炉建屋で488ガルを記録
して原発は緊急停止した。耐震設計指針の基準値を超える加速度だった。
数百メートルしか離れていないほかの原子炉よりも、5号機だけが2倍も
揺れたのだ。
 地震の後でボーリングなど詳しい調査が行われた。そして分かったこと
は、原子炉の地下300~500メートルのところにレンズ状の軟弱な地層が
あったことだった。下から上がってくる地震波を、凸レンズが太陽の光を
集めるように5号機に向かって集中させたのである。

 原発でさえ、こんな深いところは事前に調べてはいない。まして一般の
住宅やビルで調べているわけはない。
 地表が軟弱なものならいざ知らず、地表がそうでもないのに、見えない
深い地下構造が地上の揺れに影響するのは恐ろしい。

.. 2019年02月27日 09:13   No.1599002
++ 島崎邦彦 (幼稚園生)…1回       
日本海溝沿い 30年内大地震 本県(茨城県)沖M7超「80%」
 |  政府の地震調査委員会予測
 | 「原発事故の危険 目そらすな」超巨大地震 原発防災に影
 |  「評価不能を理由に最悪の事態から目をそむけてはいけない」
 |   (島崎邦彦・東京大名誉教授)の指摘
 └──── 本日の朝刊2紙(茨城新聞、東京新聞)から

《地震と原発事故情報》編集部より
 今朝の茨城新聞、東京新聞掲載の『30年内大地震発生』を紹介します。

1.2/27茨城新聞1面より抜粋

  日本海溝沿い 30年内大地震 本県(茨城県)沖M7超「80%」

 政府の地震調査委員会(委員長・平田直東京大教授)は26日、東北―関東
地方の日本海溝沿いの海域で、今後30年間にマグニチュード(M)7~8の
大地震が起きる可能性が高いとする予測を公表した。確率90%以上の場所
もあった。
 本県沖でもM7から7.5の地震が起きる確率は「80%程度」とした。
 2011年3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生を受け、同年11
月にまとめた長期評価を改定した。

 平田委員長は「大震災があったので、しばらく大きな地震は起きない、
とは考えないでほしい」と警戒を呼び掛けた。調査委はこうした地震で
発生し、沿岸に達する津波の高さの予測も進める。 (後略)

2.2/27東京新聞3面「核心」より抜粋

  「事故の危険 目そらすな」超巨大地震、原発防災に影

 政府の地震調査委員会が日本海溝沿いの地震予測を改定した。2011年の
超巨大地震(東日本大震災)の震源域に隣接する海域で同規模の地震が発
生することを「否定できない」と言及したものの、データ不足として及び
腰の評価になった。
 原発事故の再発を危ぶむ専門家からは「危険の芽から目をそらすな」と
の批判も。東北太平洋岸にある原発の運転再開を急ぐ電力各社は、負担増
につながる防災想定の見直しには消極的だ。(中略)
 委員長の平田直・東京大教授は「評価できないことはいっぱいある」と
説明する。
 こうした調査委の慎重姿勢を危ぶむのは島崎邦彦・東京大名誉教授(地
震学)だ。
 評価不能を理由に最悪の事態から目をそむけてはいけないと指摘。
 

.. 2019年02月28日 10:54   No.1599003
++ 木村雅英 (社長)…357回       
「規制委員会の地震動想定は大きな安全裕度」と
 |  吹聴して対策先延ばし規制委員長
 |  30年内にM7「90%以上」・M9「30%」(地震調査委員会)に
 | 東通も東海第二も福島1―2も影響無し!?
 |  原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その194
 └──── (再稼働阻止全国ネットワーク)

 2月26日に政府の地震調査委員会(地震本部、地震調査研究推進本部)
が「日本海溝添いの地震活動の長期評価」を発表した。
 3.11東北地方太平洋沖地震発生後に発表した「三陸沖から房総沖に
かけての地震活動の長期評価(第二版)」を8年かけて改訂したものだ。
 今後30年以内の地震発生確率(2019年1月1日現在)を見ると恐ろしい。
・プレート間巨大地震(M7.9):青森県東+岩手県北沖(30%)、宮城県
沖(20%)
・プレート間地震(~M7.5):青森県東+岩手県北沖=90%、岩手県沖
南部=30%、宮城県沖=90%、福島県沖=50%、茨城県沖=80%、…
・海溝寄りのプレート間津波地震(~M9):青森県東方沖から房総沖に
かけての海溝寄り=30%
・沈み込んだプレート内の地震(~M7.5):青森・岩手沖~茨城県沖
(60~70%)
・海溝軸外側の地震(M8.2):海溝軸外側(7%)

 東京新聞によれば、平田委員長は「大震災があったので、しばらく
大きな地震は起きない、とは考えないでほしい」と警戒を呼びかけた。
 一方で、島崎邦彦氏(東大名誉教授地震学、元原子力規制委員会委員長
代理)が、評価不能を理由に最悪の事態から目を背けてはいけないと「11
年の地震の北と南で別の超巨大地震が発生しうるということは、もっと全
面に出して伝えるべきだ」と調査委の慎重姿勢を危ぶんでいる。
 

.. 2019年03月08日 08:41   No.1599004
++ 木村雅英 (社長)…358回       
それにしても、今回の発表に対する更田規制委員長の反応が、規制委が
誰に向けて仕事をしているかを如実に示している。記者の質問に
「共通理解として一般化された理解として影響を与えるようなものか
どうかは、今の時点でお答えしかねる」と逃げながら、
「規制委員会の地震動の想定というのは、大きな安全裕度を考えて設定
されているもの」と大嘘を述べた。さらに、女川、東通、東海第二の審査
への影響を尋ねられて
「今のところ、いずれの感触も持ってはおりません。」と検討を先延ば
し・あるいは避ける意向。

 規制委の基準地震動が甘い甘い設定であることは、本シリーズで何度も
述べてきた。柏崎刈羽原発敷地で2000ガル以上、一関で4000ガル近くを
観測している事実を忘れてはいけない。一方、東海第二の審査では明らか
に不合格である数値を見ても合格させていた。
 更田委員長は、負担増になる防災想定の見直しに消極的な電力各社を
思いはかって、「地震動に大きな安定裕度」などと大嘘を述べた。

 それにしても、東電刑事裁判では、地震調査研究推進本部(地震
本部)が2002年7月に発表した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の
長期評価について」で福島沖で大津波をもたらす地震が発生する可能性が
あると予測していたにも拘らず、東電トップが対策を回避したことが破局
を招いたと糾弾されている。
 同じ過ちを、原子力規制委員会が繰り返すことにならないか?!

.. 2019年03月08日 08:55   No.1599005
++ 島村英紀 (社長)…439回       
磁北極の移動加速、下がり続ける地磁気
 |  生物脅かす地球深部の異変!!
 |  警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その287
 └──── (地球物理学者)

 地球に不思議なことが起きている。最近、磁北極の移動が加速している
ことだ。
 磁北極がどこへ行こうと関係がない、と思っている人は多いだろう。
 だが磁極の位置を使う「世界磁気モデル」は、スマホや航海には不可欠
なものであるほか、軍用ナビゲーションにも使われている。
 このままではモデルが実際とずれてしまう。このため、いままでは5年
ごとに更新されて来たが、1年前倒しして、この2月に更新された。

 地球はひとつの大きな磁石になっている。北極の近くと南極の近くに極
がある。つまり地球の中に長い棒磁石が埋まっているのと同じ磁界を作っ
ている。
 地球の磁石は、ただの磁石ではなくて電磁石である。普通の電磁石は
巻いた電線の中に電気を流して磁石にする。しかし地球では、溶けた鉄の
球の中に電気が流れて電磁石になっているのだ。
 この溶けた球は、地表から2900キロ下にある。地球の半径は6370キロあ
るから、球は半径で約3500キロ、つまり月の倍もある大きなものだ。この
中を強い電流が流れていて、それが電磁石を作っているのだ。

 地球の磁石は、もともと地球の自転軸と少しずれている。
 北の極は磁北極といわれ、地球の回転軸である北極からは、カナダ側に
ずれている。
 オーロラは地球の出す磁力線に沿って宇宙から飛び込んできた粒子が
光るものだから、磁北極のあるカナダやアラスカでよく見える。逆に
ヨーロッパでは同じ緯度でも、それほどは見えない。
 そもそも正確な磁北極を初めて現地踏査で確認したのは1831年だった。
磁北極の位置はそれ以来、ずっとカナダにあった。カナダの北極側にある
島のあいだを微妙に動きながら、カナダにとどまっていた。

 だが、21世紀に入ってカナダを飛び出して北に向かって急に動き出し
た。いまは年間に55キロといういままでにない速さで動いている。
 この勢いだと1~2年のうちには北極の近くまで行ってしまう。さらに
シベリアまで行くかも知れない。なぜ、急に動き出したのか、どこまで行
くのかは、誰も知らない。


.. 2019年03月11日 08:46   No.1599006
++ 島村英紀 (社長)…440回       
 ところで、地球の磁場は、現在までの180年間で10パーセントほど
減っている。これも原因は分からない。地磁気を正確に測れるように
なってから、地磁気は一途に下がり続けているのだ。
 地磁気が弱くなって、ついになくなってしまうと、地球に降り注ぐ宇宙
線やX線が増える。これは人間に限らず、地球上の生物にとって、とても
危険なことだ。

 かつて月に行った米国のアポロ計画に参加した宇宙飛行士が、心臓や
血管の病気での死亡率が高いという研究があった。これは地球の磁場が
作るバリアの外に出たので、強い宇宙線に曝(さら)されたからだ。
 ちなみに日本人宇宙飛行士が行く国際宇宙ステーションは地球の半径の
1/16のところにすぎないから、バリアの中だ。
 地球上の生物は、地磁気が作ってくれるバリアの中にいるから安全
なのだ。
 地球の深部に何が起きているのだろう。

 (島村英紀さんのHP こちら
 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より2月22日の記事)

.. 2019年03月11日 08:54   No.1599007
++ 今井孝司 (高校生)…59回       
昭和東南海地震(1944年)を当時の新聞記事等から探る
 |  戦時下の情報隠ぺいで被害状況が十分に後世に残されなかった
 └──── (地震がよくわかる会)

〇 南海トラフの超巨大地震を考える材料として、1944年発生した昭和東
南海地震について、調べたものを当会HP( こちら )にア
ップしました。
 特集コーナーの「東南海地震(1944)」に有ります。
 直接リンクは以下の通りです。
 こちら
 以下はHP上の[初めに]の抜粋です。
<< 引用開始
 以下の記事は敗戦の前年1944年に発生した東南海地震に関連する記事を
時系列に97件収集したものです。
 この地震が発生したのが12月7日の午後1時半頃、マグニチュードは7.9
、最大震度は6、死者は1223人に達しました。この地震は南海トラフで起
きたごく当たり前の地震でしたが、戦時中ということで、軍部により情報
が隠されてしまいました。
 「(80)戦時下に起きていた「逆神風」(島村英紀)」によると、「被害
を受けた住民は、被害について話さないように、話すことはスパイ行為に
等しいなどとされたのだ。」とあります。

 この地震について、その当時の新聞を調べてみました。以下にあるのが
その紙面です。 見出しを見ると、「空襲にも翼の増産突撃だ 一歩も退く
な職場戦 急げ軍隊的統整 必勝の熱意こそ道拓く鍵」「止むに止まれぬ特
攻隊魂 富永中将談 死して生きる心 国を動かす真の死」「『B29』何する
ものぞ 馬乗りで叩き落す 生還にかがやく中野機」(中略)等の戦時色満
載であることが分ります。


.. 2019年03月11日 09:35   No.1599008
++ 今井孝司 (高校生)…60回       
 その中に、「昨日の地震 震源地は遠州灘 徹夜復旧作業 疎開学童は無事」
というこの地震の記事が載っていました。面積にして紙面の5分の1程度
程度でしょうか。この記事以降、この地震に関する報道は無いか、調べて
みましたが、掲載されていないようでした。
 この東南海地震については、当然行われるべき地震直後の総合的な学術
的調査も行われた節もないまま、予想される南海トラフの超巨大地震にお
いては、常に話題として出てくるという、大変残念な情報の欠落となって
います。(後略)
引用終了 >>

.. 2019年03月11日 09:45   No.1599009
++ 島村英紀 (社長)…441回       
鳩山元首相の「地震は人災」ツイート、
 | じつはデマではなかった?
 | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その288
 └──── (地球物理学者)

 この1月に、滋賀県が「毒虫が降り、触ると死ぬ」などのデマがあった
姉川地震のときの公文書を公開した。
 1909(明治42)年に滋賀県北東部でマグニチュード(M)が6.8の地震が起き
た。現在の長浜市で震度6、県内全域で震度5~4を記録した。同県では
珍しい典型的な直下型地震で、死者41人を出した。

 地震が起きた明治42年は「死に年」に通じると言われたこともあって
「まもなく灰や毒虫が天から降り、触れるとすぐに死ぬ」と告げる行者が
現れたほか、「大地が割れて、泥がわき出てくる」「多くの彗星(すいせい)
が衝突して地球が壊れる」とデマが流された。悲観した人たちが「財産を
残しても仕方がない」と散財したり、神仏に加護を求めたりしたことも伝
わっている。

 地震のときのデマでいちばん被害が大きかったのは関東地震(1923年)の
ときに、朝鮮人や、誤認された人々が数千人も殺害された事件である。
 悪質だったのは、このデマは政府主導だったことで、警察を統括する
内務省が各地の警察署に下達した。「混乱に乗じた朝鮮人が凶悪犯罪、
暴動などを画策しているので注意すること」との通達だった。井戸に毒を
投げ込んでいるという情報も流れた。
 これらはデマだったが、震災の混乱の中で、官憲や民間の自警団などに
よって多数の朝鮮人が殺されたほか、朝鮮人と誤認された中国人や、日本
語の受け答えが十分に出来ない聾唖者、そのほか混乱に乗じて多くの社会
主義者も殺された。

 2016年に起きた熊本地震(M7.3)でも、熊本市の動物園から「ライオンが
放たれた」とのデマが拡散した。2018年の西日本豪雨でも「中国人、韓国
人、在日朝鮮人たちが火事場泥棒」とのデマがSNSで飛び交った。

.. 2019年03月12日 10:10   No.1599010
++ 島村英紀 (社長)…442回       
先週起きたM5.8の北海道の胆振(いぶり)東部の地震で鳩山由紀夫元首相
のツイートが大きな論争になっている。
 鳩山氏は地震直後、ツイッターで地震の原因に触れ、震源に近い苫小牧
市で経済産業省が行っている二酸化炭素の回収貯留(CCS)実験について
「本来地震にほとんど見舞われなかった地域だけに、CCSによる人災と
呼ばざるを得ない」などと書き込んだ。
 これに対して北海道警察はデマだとしたが、じつはデマではないかも
しれないのだ。
 国会論戦で、中越沖地震と中越地震が2003年から長岡ガス田で行われて
いたCCSによって引き起こされた可能性があるとされ、長岡のCCSは
中止となった。
 ガス田は、後に起きた新潟県中越地震(2004年)の震央から約20キロ、
新潟県中越沖地震(2007年)のときにも反対側に20キロしか離れていない
ところだった。

 新潟県中越地震はM6.8で死者68名、中越沖地震もM6.8で死者15名を
出した。米国で行われたCCSが地震と関係があるという論文もある。
 天変地異のときはデマが生まれやすく、また、広がりやすい。不確か
な情報でも受け入れてしまう状態になっているのだ。
 だが、デマかどうかをその場で判断するのは、じつはとても難しいこと
なのである。

.. 2019年03月12日 10:17   No.1599011


▼返信フォームです▼
Name
Email
ホームページ    
メッセージ
( タグの使用不可 )
Forecolor
アイコン   ICON list   Password 修正・削除に使用