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今更何を言っているのか、無責任さにあ然 | 多くの国民は脱原発を求めてきた | にもかかわらず政府の原発輸出の片棒を担いできたのは経団連 | 東京新聞「新聞を読んで」の紹介 └──── (中央大総合政策学部教授)
年末年始、原発を巡る東京新聞らしい報道を読んで考えさせられた。 一つは6日朝刊の社説「神話崩壊、廃炉の時代」(5面)。戦後間もない ころから米国が原発を推進してきた経緯を詳述している。 1955年の日米原子力研究協定仮調印後、原子力イコール原爆のイメージ 払しょくのため、米国の意向を受けて全国で「原子力平和利用博覧会」が 開催された。 5番目の開催地は広島の平和記念資料館。「核兵器の惨状を伝えるべき 通常の展示物を、別の場所に移して」まで平和利用をうたい「原爆ドーム も、本体を電球で飾り立てられて、平和利用の夢を彩る展示品の一つにさ れた」という。
無神経さに言葉を失う。55年といえば、広島・長崎からまだ10年。その 前の年には米国の水爆実験でマグロ漁船「第五福竜丸」が被ばくし、乗組 員が死亡した。 原爆投下が戦争の終結を早めたという投下正当論が根強い米国では、 戦後50年を機に国立スミソニアン航空宇宙博物館で企画された原爆展が、 退役軍人らの反発で中止されたことがある。
昨年も、原爆が開発されたニューメキシコ州ロスアラモスで計画されて いた原爆展が「住民に受け入れられないのでは」という理由で中止されて いる(2018年3月30日夕刊8面)。 人道的視点に立った原爆の展示すら拒まれている、戦勝国と敗戦国の覆し がたい現実。それでも人類は核兵器と共存できないというメッセージを世界 にどう発信し続けるのか。 *** もう一つは、経団連の中西宏明会長のインタビュー記事(1月5日朝刊 1、7面)。 日立製作所会長でもある中西氏は原発について「全員が反対するものを (中略)無理につくるということは、民主国家ではない。国民が反対するもの をつくるにはどうしたらいいのか。真剣に一般公開の討論をするべきだと 思う」と語った。
.. 2019年01月20日 07:50 No.1573001
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