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その1「北海道地震、大阪北部地震ほか」 ・東日本大震災後の「変化」 島村英紀氏のたんぽぽ舎・講演レジュメより…「連載5」
●東日本大震災後の「変化」
東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)は東日本全体を載せたまま日本列 島が載っている基盤岩を東南方向に大きく動かしてしまった。 正確な測定にはGPSを使うので陸上部だけの測定しか出来ていないが、 宮城県の牡鹿半島では5.4m、首都圏でも30〜40cmもずれた。このために、 各所の基盤岩に生まれたひずみが地震リスクを高めている。
いままで述べてきたように内陸直下型地震は、日本のどこを襲うか、 まったく分からない。いままでも、予想もされなかったところで起きて きた。
海溝型地震は一般には日本の沖で起きるが、首都圏だけが海溝型地震が 「直下」で起きてしまうという地理的な構図になっている。このため、いま までも関東地震(1923年)や元禄関東地震(1703年)といった海溝型地震が 首都圏を襲った。 このうち元禄関東地震のほうが関東地震よりも地震としては大きく、 小田原では津波による大被害が出たほか、海から2kmも離れている鎌倉 の鶴ヶ丘八幡宮も二の鳥居まで津波に襲われた。マグニチュードは関東 地震(M7.9)を超えたM8.1〜8.2くらいだったと考えられている。死者 6700人、壊れたり津波で流された家は28000軒にものぼった。地震は繰り 返すが、一回ごとに違う。まったくの同じ地震の繰り返しではない。
内陸直下型地震はくり返しが分からないが、海溝型地震はくり返す。元禄 関東地震、関東地震とくり返してきた地震も、あと100年ほどは起こるまい と以前は思われていたのが、東北地方太平洋沖地震の影響で、もっと早まる かもしれないと思われはじめている。
江戸時代から現在までの首都圏の地震活動を見ると、不思議なことに関東 地震以来の90年間は異常に静かだったことが分かる。 実は元禄関東地震のあとも首都圏では70年間、静かな期間が続いている。 東日本大震災のあと、首都圏は約90年間の静穏期間が終わって、いわば 「普通の」、つまりいままでよりは活発な地震活動に戻りつつあるのだ ろう。(了)
.. 2018年12月29日 08:49 No.1561001
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