|
損害をカバーしてくれない地震保険 地震保険では、一回の地震での支払の総額が決まっていて | それを超えたら、それぞれの支払が減額される | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その268 └──── (地球物理学者)
地震保険の支払額が6月18日に起きた大阪北部地震で、阪神大震災の783億円を 上回った。 地震の大きさからいえば、6400人以上の犠牲者を生んだ阪神淡路大震災(1995年) はマグニチュード(M)7.3で、大阪北部地震はM6.1で犠牲者は5人だった。阪神 淡路大震災の方が地震のエネルギーは60倍以上も大きかったが、大阪北部地震の 方が支払額は大きかったのだ。 支払額は866億円で、地震保険の支払額では過去3番目の規模だった。2016年の 熊本地震(M7.3)では3824億円だった。つまり、最近は支払額が急増している。
理由のひとつは、このところ地震保険の加入率が上がっていることだ。たとえ ば、2017年度に火災保険を新たに契約した人のうち、地震保険にも加入した割合 (付帯率)は63%になった。数年前の地震保険加入率は20%台だった。なかでも 熊本や、南海トラフ巨大地震の被害が予想される地域で増えた。
しかし地震保険に入ったからといって安心してはいけない。地震保険に大きな 制約がある。 第一に損害額が受け取れる地震保険金となるわけではないことだ。被害額がカ バーされる火災保険とは大いに違う。 保険に入っていても、失った住宅や家財を元通りにはできない。理由は支払額 が火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内しか出ないからだ。地震で全壊してし まっても、最大でも火災保険の半分しか支払われない仕組みなのである。
そのうえ、地震保険では、一回の地震での支払の総額が決まっていて、それを 超えたら、それぞれの支払が減額されることになっている。つまり大規模な災害 が起きると、貰える金が減る仕組みなのだ。 民間の保険責任額を超えれば、国が支払うことになっている。しかし一回の地 震で政府が支払う再保険金の総額は11兆1268億円で、民間保険責任額と合計した 一回の地震等による保険金の総支払限度額は11.3兆円が限度なのだ。
.. 2018年10月16日 08:39 No.1504001
|