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(茨城県東海村)の本質的問題 (その3) | 沸騰水型軽水炉の欠陥 炉心安定性の欠如と核暴走の危険性 └──── (たんぽぽ舎副代表)
※《事故情報編集部》より 7月21日(土)に開催された『先月・今月・来月の原発問題』で山崎久隆さんよ り提起された「東海第二原発の本質的問題」(60項目)について、抜粋しながら順 次連載したいと思います。
4.沸騰水型軽水炉の欠陥 炉心安定性の欠如と核暴走の危険性
◎ 軽水炉は原子炉内部の核分裂反応と炉心燃料の冷却共に「水」を使う。その 中でも沸騰水型軽水炉は冷却材と減速材である水が常に沸騰しているので、密度 が大きく変化する。 アワが多い炉心上部は減速材密度が小さく、アワが少ない炉心下部は減速材密 度が大きい。 核分裂反応は原子炉下部が盛んになる。これを平均化するために中性子を吸収 する「ガドリニウム」を下部により多く添加したり制御棒操作により燃焼を平均 化する作業を行う。
◎ 沸騰水型軽水炉のうちBWRタイプ5と呼ばれる東海第二、柏崎刈羽原発1 〜5号機などは、大型の再循環ポンプを2台使い、配管で圧力容器から水を抜い てポンプで加圧して戻している。 この際ラッパのような形をした「ジェットポンプ」と呼ばれる装置を使い周辺 の水を巻き込んでさらに流量を増やして炉心下部に噴出させ炉内での水の循環を 行っている。 再循環ポンプにより原子炉内の水の流れを作ることで、アワを効率よく上部に 押し流すことで燃料の周囲に存在するアワの密度を整えている。 この強制循環を炉心流量というが、再循環ポンプが全部止まると原子炉出力は 効率的な中性子の減速が出来なくなるため、40%程度にまで急降下する。 また、炉内の水が減ると水位が低下し、相対的に冷却能力も低下するためアワ の密度が増えて出力が急降下する。
◎ これらは「ボイド(アワ)反応度係数が負」という性質を説明したもので、 原子力の専門家からは「固有の安全性」などとも言われている。 しかし裏返せば急激なアワの減少や冷たい水の投入はアワを消す方向に働くの で、ボイド反応度係数が負であるために炉心出力が急激に増加する要因でもある。
.. 2018年07月31日 08:14 No.1458001
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