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4.日立が英国へ原発輸出
東電川村隆会長は日立製作所の会長だった。 その日立製作所が受注した英国中部アングルシー島ウィルヴァ原発建設 について、5月3日、中西宏明会長がテリーザ・メイ首相と首相府で会談 し、英国政府の支援強化を要請した。「政府がコミットしないとできない ということが、英国政府・日本政府・日立の共通理解」などと、民間のみ での事業継続は困難だとの見解を示したという。
日立は2012年に英国の原発会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」 を約900億円で買収し、20年代半ばまでの運転を目指している。この計 画には、日本原子力発電も合弁会社を通じて算入している。 ところが現時点で総事業費は既に約3兆円と当初の二倍にまで膨れ上が り、この費用負担が課題となっていた。 建設予定はABWRで出力130万キロワット級が2基。柏崎刈羽原発6、 7号機(135.6万キロワット)と同規模だ。柏崎刈羽原発は1990年代とは言 え、2基で合計7800億円程度で建設されている。
費用がうなぎ登りになったのは、言うまでもなく福島第一原発事故後の 安全対策費と建設費の高騰だ。このままでは極めて高額の卸売り電力価格 になってしまい、競争力はない。 日立は英国政府に対し固定価格での買い取りを求めているが、現在建設 中の原発の電力買い取り価格は既に92.5ポンド/メガワットアワー (13,688円・日本風に直せば13.7円/キロワットアワー)で、これは現在 の市場価格の約2倍に相当する。
日立は損失を出した場合の被害を小さくしようと、子会社への出資比率 を下げたがっている。今回のメイ首相との会談では英国政府に出資比率を 高めることなどを求めたとみられている。しかし英政府も費用負担を最小 限に抑えたいのは同じで、交渉がまとまるかどうかは不透明と、毎日新聞 などは報じていた。
.. 2018年06月25日 11:45 No.1432002
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