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地下銀行口座の摘発
かつては反社会団体の構成員でも「証券」を保有することが可能でした。しかし、2004年には証券を電子化する法案が公布され、2009年1月から、紙に印刷された上場企業の株券は無効となりました。電子化したことで不正資金の暴き出しが始まったのです。反社会団体の構成員に該当するかどうかなど、保有者のチェックも行われました。
それでもフロント企業のなかには、株取引をシノギとする者もいるといわれています。しかし、所得を正確に把握する効果が期待されるマイナンバー制度によって、密接交際者も含めた所有者確認の漏れはかなり防止できることになります。JAFICは犯罪収益移転防止法関係の捜査も行う組織です。
同法では、金融機関のほかに、全43の事業者が「特定事業者」として位置づけられ、顧客などの本人確認の実施や疑わしい取引の届出などの措置が義務付けられています。特定事業者には、宅地建物取引業者など不動産売買・賃貸をする業者や、貴金属を取引する業者も含まれています。これら特定業者には疑わしい取引の報告義務があるのです。
そしてこの報告義務は、マイナンバー制度によって徹底化するのでしょう。暴力団や密接交際者が不動産売買によって利益を得たり、現金を貴金属などモノに代えたりすることも、取引などに使うことも難しくなるのです。以上のような日本国内でも締め付けによって、暴力団がどこでお金を動かすかといえば、まず考えられるのは海外でしょう。
現在でも「国外財産調査の提出制度」によって、2013年12月31日時点で、海外資産を5000万円以上保有している場合は、申告義務が必要です。申告しないと1年以下の懲役、または50万円以下の罰金という懲罰が科せられています。しかし外国当局と日本当局の間で、情報交換制度がないことで、事実上ザル法と化していました。
ところが2014年からOECDが中心となって、各国と租税情報交換協定が結ばれました。2003年、5代目山口組時代の直系組織・五稜会(当時)が起こした、ヤミ金事件では、租税回避地を経由してマネーロンダリングが行われていました。事件の主犯だった元幹部の口座がスイスにありましたが、スイスとの間には2012年に協定が結ばれています。
.. 2018年06月22日 11:21 No.1431002
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