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原子力発電所の利用が増えるにつれて、日本国民も放射線にさらされる機会が次第に多くなりました。常識的に放射線はすべての生物に様々な障害を与えます。特に遺伝に及ぼす影響は重大です。放射線が生物の突然変異を誘発する事は、多くの研究によって明らかになっています。もちろん人類もその例外とは考えられません。
突然変異は自然にも起こっていますが、放射線はその出現頻度を高めているのです。突然変異の大部分は人類にとって有害です。そして、その影響は直ぐ子どもに現れます。孫以後の代になって初めて現れてくることも多いです。したがって、子の代に影響が見られないからといって、遺伝的に安全であるとはいえません。
突然変異の起こる割合は、生殖腺に受ける放射線の総量に比例して大きくなると言います。また、例え途中で照射が切れても続いても、受けた放射線の総量が等しければ、その影響には変わりがないのです。これは一度突然変異を起こした遺伝物質が、照射の中止された後も消えないで伝わるからです。
このように生殖腺に受ける放射線の影響は、直接、身体に受けた放射線障害が、照射を中止すれば回復する場合があるのに比べると、本質的に異なっています。放射線により人為的に突然変異の出現頻度が高まると、この自然の平衡が乱れて、その集団のもつ突然変異の総量が増していきます。
その為、健康や能力などの劣るものが次第に多くなって、個人の犠牲と社会の負担とを増し、人類の将来に重大な不幸を招くおそれがあります。以上のことから、放射線はたとえ少量でも遺伝的に有害であると考えなければならないでしょう。
職業的に放射線を受ける人たちに対しては、最大許容量というものが定められています。これは照射を受ける人自身の健康を保つことを目的としたものです。子孫に及ぼす遺伝的な影響を考えれば、どの程度以下の照射量ならば遺伝的障害は起こらないというような限界があるとは、理論的にはいえません。
.. 2018年05月30日 09:56 No.1413001
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