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■--活断層タイプの地震
++ 今井孝司 (中学生)…35回          

政府の地震調査委員会の長期評価の手法の有効性について
 |  (11件)を検証
 └──── (地震がよくわかる会)

○初めに
 前回のメールマガジン(2018.2.14【TMM:No3290】)で地震調査研究推進本部に
ある地震調査委員会の長期評価に関する記事(時系列)をアップしました。
 今回はそれに続く、活断層タイプの長期評価の手法の有効性を検証したもので
す。
 地震調査研究推進本部の地震調査委員会が行う長期評価は、政府が発表する地
震の評価であることから、原発の耐震評価や、裁判で参照され、重要な判断材料
となっています。

 しかし、長期評価の手法は、科学の世界では、いわば仮説のようなものですか
ら、新たな地震が起きるたびに、検証が求められます。
 仮説に即さないことが多数起きるのであれば、その仮説を見直すことが求めら
れます。
 この長期評価の成り立ちは、1995年の阪神大震災に対する反省から始まってい
ます。

 よって、当会では1995年以降の11件の活断層タイプの地震をとりあげ、長期評
価の手法の有効性を調べました。
 私は、地震の専門家ではありませんので、厳密な検証はできないかもしれませ
んが、専門家まかせにするのではなく、自らの手で、検証することは意義がある
と考え、当会HP( こちら )特集コーナーにタイトル名「長期評
価(活断層タイプ)」で記事をアップしました。よろしかったら、ご覧ください。

○長期評価の手法の有効性を検証した地震(11件)

(1)2000/10/06 鳥取県西部地震(M7.3)
(2)2003/07/26 宮城北部地震(宮城県連続地震)(M6.4)
(3)2004/10/23 新潟県中越地震(M6.8)
(4)2005/03/20 福岡県西方沖地震(M7.0)
(5)2007/03/25 能登半島地震(M6.9)
 志賀原発では周期の長い成分において「設計用限界地震」を超える揺れが発生。
(6)2007/07/16 新潟県中越沖地震(M6.8)
 原発で世界最大の揺れか 設計想定の2.5倍 最大2058ガル観測(東京新聞 
2007/07/31)
.. 2018年04月09日 10:50   No.1374001

++ 今井孝司 (中学生)…36回       
(7)2008/06/14 岩手・宮城内陸地震(M7.2)
(8)2011/03/12 長野県北部地震(M6.7)
(9)2014/11/22 長野県神城断層地震(M6.7)
(10)2014/04/16 熊本地震(M7.3)
 震源が南下 八代M5.5 川内原発から80キロ(西日本新聞 2016/04/20)
(11)2016/10/21 鳥取県中部地震(M6.6)

○まとめ
 私見ですが、活断層タイプの長期評価の手法の有効性に関して、11件の地震中、
有効性無しが7件、一部有効性有りが2件、有効性有りが2件という結果となり
ました。詳細は当会HPでご覧ください。


.. 2018年04月09日 10:59   No.1374002
++ 今井孝司 (中学生)…37回       
東電は高い津波を予想済み・東電は対策コスト等を懸念して
 |  対策先送り・国はプルサーマル優先で東電の対策遅れを容認・
 |  東電や政府事故調は重要な事実を現在も隠ぺい
 | 「大津波の警告を葬った東電と国」(4/8添田孝史氏講演)の感想
 └──── (地震がよくわかる会)

○初めに
 4月8日(日)14時、添田孝史さんの講演が行われました。私は講演の主催者で
はありませんが、出席した一名として、簡単なレポートを以下に述べたいと思い
ます。
 会場の「スペースたんぽぽ」は、ほぼ満席の盛況でした。前日に町田で行われ
た同氏の講演もほぼ満席でしたから、時季に適した関心が高いテーマであったこ
とが伺われます。

○添田さんの簡単なプロフィールを昨年11月に岩波新書から出た書籍「東電原発
裁判」から、簡単に紹介します。
 1990年朝日新聞入社、大阪本社科学部、東京本社科学部などで科学・医療分野
を担当。2011年に退社、以降フリーランス。1997年から原発と地震についての取
材を続け、東電福島原発事故の国会事故調査委員会では協力調査員として津波分
野の調査を担当した。著書に「原発と大津波警告を葬った人々」(岩波新書、
2014)がある。とのことです。

○当日の講演は、前述の2冊の本にほぼ沿った内容でした。
 「原発と大津波警告を葬った人々」では、東電、土木学会のメンバー、原子力
・安全保安院等の「人々」による、津波の過小評価、津波のバックチェックの大
幅な先送り、スマトラ沖地震によるマドラス原発事故の過小評価等々を様々な証
拠で明らかに。
 その3年後の「東電原発裁判」では、筆者の情報公開請求、裁判での証拠等に
より、1冊目の本では不明だった、当事者間で隠されていた不都合な事実が明ら
かになってきます。

○講演内容の紹介(一部のみ)
原因・責任問題のポイント
 1.高い津波は予想されていた。
 2.東電は、対策コストや原発停止による電力不足を懸念して対策を先送りし
た。
 3.国は、安全より国策(プルサーマル)を優先し、東電の対策遅れを容認し
た。

.. 2018年04月12日 08:43   No.1374003
++ 今井孝司 (中学生)…38回       
 4.東電や政府事故調は、重要な事実をいくつも隠し続けてきた。今も隠して
いる。

◎数々の「前ぶれ」生かせず
・1993年北海道南西沖、1995年阪神・淡路大震災
 −>歴史記録がなくても、科学的に「起こりそう」と判断される地震を想定す
る。
 −>2002年 地震本部長期評価
・2004年スマトラ沖地震
 −>2006年溢水勉強会 津波で全電源喪失する。
 −>津波による事故リスクは高い。「不作為を問われる」
・2005年宮城沖地震
 −>津波堆積物調査が進む。福島第一の想定を超える大津波が、過去に襲来し
ていた証拠が明確になった。

◎土木学会とは
 土木学会原子力土木委員会津波評価部会(1999年11月〜2001年3月)
 ・委員30人中 電力会社員13人、力中央研究所員3人、電力グループ会社員1人
 ・研究費や会議にかかる費用(約2億円)は全て電力会社負担
 ・議事の公開 事故3カ月後
 ・土木学会は東電株を3万株所有

◎まだ隠していること 2011年〜
・長期評価(2011)の書き換え 文科省が公開前に東電に評価内容を見せ、要望に
応じて書き換えた。事務局にそこまでの姿勢をとらせたのは誰?なぜ?東電企画
部の関与は?
・事故後、事故調査報告書の書きぶりを決定したのは誰か?2002年メールを消す
ことなど
・東電事故調報告書と、政府事故調報告書との「調整」はどのように行われたの
か?
・東電は事故後、専門家や学会にどんな働きかけ、資金援助をしたか?

○終わりに
 パワーポイント(116ページ)で、2冊の本の内容を、質疑応答込みで2時間で
説明されたという感じでしょうか。
 もちろん2時間で2冊の内容を全て説明できるわけもなく、講演に参加した人
で、関心がより深まった方は、是非、2冊を読まれることをお勧めします。
 もちろん、関心はあったが、諸事情により参加できなかった方にもお勧めです。
 最後に、このような貴重な講演を企画した主催者及び、お忙しい中、上京して
講演していただいた添田孝史さんに感謝の気持ちを述べたいと思います。どうも
ありがとうございました。


.. 2018年04月12日 08:49   No.1374004
++ 島村英紀 (社長)…326回       
マスコミからの批判が続き…複雑極まる震度判定
 | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識その243
 └──── (地球物理学者)

◎ 阪神淡路大震災の翌年、1996年4月から震度計による機械観測で判定するこ
とになった。「計測震度」という。
 それまでは、気象庁の職員が震度を判定していた。
 大分前のことだが1964年、東京・大手町の気象庁が木造の古い建物から、すぐ
脇に建った鉄筋の新しいビルに移った。8階建てのビルの2階が地震課だった。

◎ しかし事件が起きた。新しいビルでは木造のときよりずっと地震の揺れが小
さかったのだ。以後9カ月の間に、木造のほうでは震度1が15回もあったのに、
ビルではたった1回。震度3も木造で7回なのにビルでは1回だった。
 しかも階によって揺れかたが違った。茨城で地震が起きたときには、5階で会
議をしていた地震課の人々は震度3の地震を感じて、びっくりして2階の地震課
まで駆けおりてきた。
 気象庁の職員は職業がら、震度3でも、かなりびっくりする。
 ところが、2階の職員はキョトンとしていたのだった。2階の地震課での震度
は0だった。
 気象庁が発表する東京の震度が小さすぎる、とマスコミも騒ぎだした。震度は
誰にでもわかる数字のせいか、マスコミのいい餌食になる。マスコミは役所の失
敗を記事にするのは大好きなのだ。

◎ こうして気象庁では、震度を測るための職員を、わざわざビルの最上階に張
り付けることになった。大きく感じたほうを気象庁の震度にしよう、というわけ
だ。だっ
 それでも、都内で地震を感じても気象庁では震度0のことが多く、マスコミの
批判は止まなかった。
 このため気象庁は、さらにすぐ近くの北の丸公園にある気象庁の職員宿舎で誰
かが地震を感じたら、3つのうちのいちばん大きな震度を発表する仕組みにした。
そのうえ「正式の震度」と「一般人のための地震情報の震度」と使い分けまです
ることになった。

.. 2018年04月13日 09:34   No.1374005
++ 島村英紀 (社長)…327回       
◎ 「正式の震度」は、一般人の眼に触れないまま、気象庁の内部で、津波警報
などのために使われる。「これで震度について苦言は聞かれなくなった」と当時
の気象庁の技術レポートにある。お役人は、ようやく安心したに違いない。
 ところが、批判はその後も続いた。体感で決めるのは非科学的だとか、速報し
ないのは困るとか、気象庁の職員がいないところでは震度が決まらないのも困る
という批判だ。
 じつは、人間が大きな地震だと感じたり、被害が大きくなるほど、素直に数字
が大きくなる目盛りを科学的に決めることは、簡単ではない。
 このため、震度計を導入するときには、職員が感じた「震度」と機械観測が同
じになるように、研究者や気象庁の職員が何度も検討を重ねることになった。

◎ 結局、こうして決まったものは複雑なものになった。「地震計が記録した加
速度の時間変化をスペクトル分析し、それに日本家屋向け周波数フィルターを掛
け算したうえで、もう一度、周波数積分して平均の被害規模に合う数字にして、
さらに規格化した」というものだ。
 震度を機械で決めるのも、いろいろ大変なのである。

.. 2018年04月13日 09:43   No.1374006
++ 島村英紀 (社長)…328回       
.「耐震基準最高」の住宅さえ倒壊した熊本地震
 |  警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その244
 └──── (地球物理学者)

◎ 熊本地震から2年たつ。政令指定都市が震度6弱以上の地震に襲われたのは
2011年の東日本大震災以来5年ぶりだった。
 私たち地震関係者にとって大きな衝撃だったのは、耐震基準が最高という最新
の住宅でさえ壊れてしまったことだ。

◎ 阪神淡路大震災(1995年)以降は、新たに「2000年基準」が適用されること
になった。通称「新・新耐震基準」だ。それ以後に建てられた家は、以前のもの
よりも地震に強いはずだった。
 熊本の被災地では「2000年基準」の住宅が熊本・益城(ましき)町の1割あっ
た。だが、そのうちの3〜4割が倒壊、大破してしまった。

◎ それよりもっと前、1981年以降で「2000年基準」が導入される前に適用され
ていた「新耐震基準」の被害はもっと大きかった。約100棟のうち、6〜7割が倒
壊したり大破してしまった。これは同じマグニチュード(M)7.3の阪神淡路大震災
以上の壊れ方だった。
 熊本地震は震度7の揺れが2回あった。最初の震度7は4月14日の夜でM6.5、
二回目は4月16日未明でM7.3だった。震度7は同じだが、あとの地震の方が地震
としては大きかった。
 現在の耐震基準は、単発の大きな地震には耐えられる設計でも、繰り返し大き
く揺れることは想定されていない。これが最高の基準の住宅でも壊れてしまった
最大の原因だ。

◎ これまでの耐震基準は大きな地震を経験するたびに強化を重ねてきた。
 1972年以前は「震度5強の地震で損傷しない」ことを基準としていた。
 だが、1978年(M7.4)に起きた宮城県沖地震で建物の全半壊7400戸を生んだこと
から、1981年には「震度6強から7の揺れでも倒壊や崩壊を防げる」強度を基準
に強化された。「新耐震基準」と言われる。

◎ しかし阪神淡路大震災を受けて、新耐震基準なら大丈夫という安心がもはや
通用しなくなってさらに強い「2000年基準」が作られた。
 そして熊本地震。これをきっかけとして現行の2000年基準がさらに見直される
かもしれない。

.. 2018年04月18日 08:15   No.1374007
++ 島村英紀 (社長)…329回       
◎ しかし阪神淡路大震災を受けて、新耐震基準なら大丈夫という安心がもはや
通用しなくなってさらに強い「2000年基準」が作られた。
 そして熊本地震。これをきっかけとして現行の2000年基準がさらに見直される
かもしれない。

◎ じつは、もうひとつの重大な問題があった。それは4月14日の地震の後、気
象庁や政府が「家に帰れ」と呼び掛けていたことだ。あとから起きた16日の地震
で家が潰れて圧死した人数は14日の地震の圧死者を超えてしまった。
 気象庁は14日の地震発生後の15日に「震度6弱以上の余震が発生する確率は
20%」と発表していた。つまり、気象庁は14日の地震より大きな地震が起きるこ
とはまったく想定できていなくて、ずっと小さい地震が、それも、20%という低
い確率でしか起きない、と発表していたのだ。
 一般人の受取り方からいえば、20%という確率は、同じように%で発表される
降雨確率で言えば傘を持たないで家を出る程度の、普通には起こらない数字だ。
 14日の地震に耐えて残った家が、気象庁が予想しているような小さな余震で倒
れるはずがない、という判断もあったにちがいない。

.. 2018年04月18日 08:28   No.1374008
++ 木村雅英 (社長)…294回       
.「火山ガイド」を骨抜きにして破局的噴火に
 |  目をつぶる原子力規制委員会
 | 添田孝史<国際基準より10倍危険な
 |  「世界で最も甘い基準」へ>(週刊金曜日から)
 |  原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その167
 └──── (再稼働阻止全国ネットワーク)

 田中前委員長が、カルデラ噴火が起こったら「九州全域の人はほとんど即死状
態になると言われています。そのような状況のときに一原発だけの問題として捉
えていいのか」と川内原発再稼働を推進した。

 これに対して、本シリーズ「その59 カルデラ噴火で九州の人が住めなくなっ
たら原発はどうなってもいい?」で「人類は、制御できない悲惨な被害をもたら
す技術を取得してしまった。
 だからこそ、予想されるどんな自然災害に対しても、地球上の総ての生き物に
説明できる備えをするべきである」と書いた。

 一方、広島高裁が2017年12月13日に伊方原発運転差止仮処分の抗告審で「火山
影響評価ガイド」に従って検討すると「立地不適」になると判断し、伊方3号機
は9月まで稼働を止められている。
 この状況を打破するために更田委員長率いる原子力規制委員会が<自ら定めた
「火山ガイド」を無効にしようとしている>のだ。

 以下は、添田孝史さんが週刊金曜日4月20日号に書いた明解な文章から。

<添田孝史さん(週刊金曜日)

○原子力規制庁は18年3月7日、とても不思議な文書を出した。「原子力発電所
の火山影響評価ガイドにおける『設計対応不可能な火山事象を伴う火山活動の評
価』に関する基本的な考え方」(以下、基本的考え方)だ。

○河合弘之弁護士は批判:火山ガイドに素直に従えば広島高裁のような判断が続
くことになる。…、巨大噴火のリスクが大きい原発の運転に目をつぶるため、ガ
イドの改訂という手続きを経ずに、骨抜きにしようとしているのだ。

○火山災害だけは原発以外の分野で想定していないことを理由に、1万年に1回
の巨大噴火を無視しようとしている。

.. 2018年04月24日 08:49   No.1374009
++ 木村雅英 (社長)…295回       
○「基本的考え方」によれば、1万年に1回の火山噴火による事故を容認するこ
とになるので、…、IAEAの大規模事故確率目標「10万年に1回」よりも10倍
危険度の高いものにしてしまい、「世界で最も甘い基準」になる。

○「基本的考え方」という根拠のよく分からない運用の抜け穴をつくってしまう
のは「いつか来た道」である。原子力安全・保安院や原子力安全委員会が福島第
一原発事故を引き起こしたのと同じ道をたどりつつある。

 あなたは、「基本的考え方」にある次の文を容認しますか?
<「原子力規制委員会「基本的考え方」から
○巨大噴火が差し迫った状態にあるかどうか、及び運用期間中に巨大噴火が発生
するという科学的に合理性のある具体的な根拠があるかどうかを確認
○巨大噴火は、広域的な地域に重大かつ深刻な災害を引き起こすものである一方、
その発生の可能性は低頻度な事象。巨大噴火によるリスクは社会通念上容認され
る水準であると判断できる。
○運用期間中に巨大噴火が発生するという科学的に合理性のある具体的な根拠が
あるとはいえない場合は、少なくとも、運用期間中は、「巨大噴火の可能性が十
分に小さい」と判断できる。


 稼働を容認する為の余りに甘い考え方だ。他の多くの規制審査においてもこの
ような甘い考え方で審査しているとすれば、原子力規制委員会の審査は全く信用
できない。さすが再稼働推進委員会だ!


.. 2018年04月24日 08:55   No.1374010


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