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いずれも耐震安全性は「失格」
5月12日午後2時28分(日本時間3時28分)、四川省でマグニチュード8の巨大地震が発生した。 被災者は一千万人を超え、100万都市がいくつも被害を受けた。震災及び震災関連死は10万人規模にもなる恐れがある。中国市民には心からのお見舞いと可能な限りの支援をしていきたいと思う。しかし中国政府には大きな問題がある。 1976年7月28日に発生した唐山地震(マグニチュード7.8)で24万人以上が犠牲になった経験と教訓は、今回の地震では生かされなかった。 既に中国市民の間で「嘆願書運動」が広まっているが、それは特に学校の倒壊が子どもたちを中心にたいへんな被害を出し、これが人災であることへの怒りからだ。そしてこれは中国建設事情の悲惨さをも象徴している。崩壊した建物の残骸にほとんど鉄筋らしきものが見えない。レンガ造りの構造物で建てるなど、最も安全であるべき学校が、最もひどい被害を出しているところが随所にある。特に重慶の学校倒壊はにわかには信じがたい。重慶は震源から150キロも離れており、震度は3程度だったと言われている。しかし大地震特有の長周期揺れが何分も続いたため、強度がないうえ、背の高い学校が共振を起こして倒壊したと思われる。 しかし日本もまた同じ問題をかかえている。 2007年4月1日現在の文部科学省のデータでは、「耐震性無し」及び「未診断」あわせて41%余り、53,636棟もあるのだ。 理由は「予算不足」が大きいと言うが、ミサイル防衛システムに1兆円以上も支出する「余裕」がある国が、学校の耐震補強工事さえまともに出来ないはずがない。子どもたちの命よりも軍需産業に湯水のごとく税金を投入することに余念がないこの国の実体なのだ。そして中国も同様だ。経済発展のおかげで莫大な税収があるはずだが、核兵器を保有し通常戦力を拡大することには湯水のごとく税金を投入しながら、学校耐震化には何ら関心さえ持たなかったのである。
中国核施設はどうなったのか
四川省には核弾頭プルトニウム製造用原子炉があり、戦略核も保管しているとされている。 それらの施設がどうなったのかは、明らかにされていない。わずかに「重大な事態にはなっていない」「放射能漏れはない」という通り一遍の報道がされているだけだ。 確かにミサイルサイトなどは堅牢に作られている。なにしろ核攻撃にも耐え、自らの発射エネルギーでも壊れないように作るであろうから。 しかしプルトニウム生産原子炉やその燃料を再処理する施設は、どうなっているのかを確認することも出来ない。震源断層の真上にそのような施設があれば、どんなに頑丈であっても地盤崩壊で破壊される可能性がある。 その一方で、民生用放射性物質の一部ががれきに埋まっているという報道はある。 病院さえ倒壊しているのだから、医療用線源など多くの放射性物質が行方不明になっていても不思議ではない。それらによる汚染や被曝事故は大きな懸念材料 である。 米国は軍事衛星を使って、放射性物質の兆候などを調べているようだが、さすがに大規模汚染にでもならないと衛星で捉まえることは難しい。 そのこともあって、外国の救援を受け入れなかった可能性もある。 およそ核武装などは、自国の安全を確保するどころか、自らの市民や周辺国を危険にさらすだけだということを改めて強調しておきたい。
.. 2008年06月06日 08:12 No.133001
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