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■--(無題)
++ 島村英紀 (社長)…290回          

世界を核戦争から救った男 冷戦時代、ミサイル信号を誤報と判断
 |  “米国が本気なら5発あり得ず”
 | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その228
 └──── (地震学者)

 北朝鮮と米国の核ミサイルをめぐる情勢が風雲急を告げている。片方が核爆弾
を使えば、間違いなく相手側も使う。こうして全面的な核戦争になる可能性が高
い。
 かつての冷戦時代には西側と東側がにらみ合っていて、おたがいに、相手が核
ミサイルの先制攻撃をするのではないかと、ピリピリしていた。
 相手の核ミサイルの先制攻撃を受ければ、被害が出てから反撃の判断をしても
間に合わない。

 このため、人工衛星とコンピューターを使った自動処理の判断が使われる。当
時、西側も東側も極秘ながら、この早期警戒システムを動作させていた。
 早期警戒システムは光、電磁波などあらゆるセンサーを動員したものだ。現在
も、米国北朝鮮で動いているに違いない。一歩間違えれば、間違いなく全面核戦
争が始まってしまう仕組みである。

 冷戦時代の1983年9月26日、旧ソ連の首都モスクワ近郊にある航空監視センター
のコンピューターが、旧ソ連に向かっている5つのミサイル発射を表示した。人
工衛星からのデータだった。もし、本当なら、核爆弾を積んだミサイルを米国に
向けて発射しなければならない。
 だが、あとから分かったことだったが、この「信号」はじつは誤報だった。人
工衛星が、雲の中の太陽放射からの反射をロケットエンジンの炎と誤認して、ロ
ケット発射のエネルギー放電として感じたと報告したのだ。
 宇宙空間からはふだんからいろいろな電磁波や光が地球に大量に飛び込んでき
ている。そのうちで「意味のある」信号を拾い出すのはなかなかの難事なのであ
る。多くの地震学者が信じない「電波を使った地震予知」も、地球内部からの電
磁波と、地球の外から来るさまざまな電磁波を見分けることの難しさが避けられ
ない。
.. 2017年12月29日 08:40   No.1312001

++ 島村英紀 (社長)…291回       
 このコンピューターの「信号」を誤報だと判断したのは、そのときに担当して
いた一人の中佐だった。当時44歳のスタニスラフ・ペトロフ中佐。この警報の真
偽を判断するのに許された時間はほんの数分だった。
 マニュアルどおりならば、ペトロフ中佐はこの時点で米国からの核攻撃を上部
に報告しなければならなかった。
 だが、彼の判断は「米国が本気で攻撃してくるのなら5発だけのミサイルでは
あり得ず、100発以上の規模のはずだ」という直感によるものだった。
 間一髪だった。旧ソ連のロケットは発射されなかった。彼が核戦争とそれに続
く新たな世界大戦を防いだことになる。

 いまは、システムが「進化」した。ペトロフ中佐のような人間が介在する判断
ではなくて「より早い」AIシステムに替えられている。
 しかし、マニュアルどおりの手続きしかできないAIシステムならば、ペトロ
フ中佐のようにはいくまい。
 人類を第三次世界大戦から救ったペトロフ中佐は5月にモスクワ郊外の小さな
家で人知れず亡くなっていた。極秘の任務のことを明らかにするわけにはいかな
い。彼の死去は、この秋になってようやく発表された。享年77歳だった

.. 2017年12月29日 08:52   No.1312002
++ 今井孝司 (中学生)…30回       
東電柏崎刈羽原発の再稼働はおこなってはいけない
 |  日本海東縁の「歪み集中帯」で発生する地震について
|  原子力規制委による検証が十分に行われていない
|  新潟地震(1964年)は日本海東縁の「歪み集中帯」で発生
 | 「日本海東縁の活断層と地震テクトニクス」を読んで
 └──── (地震がよくわかる会)

○初めに

 新潟地震(1964年)について前回、2017年12月25日のメールマガジン(【TMM:
No3255】)で紹介しましたが、今回は、それと関連して、「日本海東縁の活断層
と地震テクトニクス」(東京大学出版会刊 2002/5/27)を紹介したいと思います。
 何故かというと、新潟地震はこの本のなかで、日本海東縁の「歪み集中帯」で
発生した地震であると指摘しているからです。

 本の内容をできるだけ、分かりやすくするために、筆者がQ&A形式で作成し
たものを当会HP( こちら )特集コーナーにタイトル名「日本海
東縁の活断層と地震テクトニクス」でアップしました。

 昨年末に、東電柏崎刈羽原発が新規制基準に「適合」しましたが、本書で指摘
する日本海東縁の「歪み集中帯」で発生する地震について検証が十分に行われた
とは思えません。
 その意味でも東電柏崎刈羽原発の再稼働はおこなってはいけないと思います。

○特に注目した項目(以下の括弧付き数字はHP内のカウンタ)
 以下文章において、※部は筆者のコメントです。
「日本海東縁の活断層と地震テクトニクス」は「日本海東縁」と略しました。
(1)日本海東縁の範囲は?
 その範囲は,南端が富山トラフであり,北端は武蔵堆,礼文島から,サハリン
へと続いている。西縁は,佐渡海嶺,松前海台および奥尻海嶺の西縁とほぼ一致
する。(「日本海東縁」P.54)

.. 2018年01月15日 08:23   No.1312003
++ 今井孝司 (中学生)…31回       
(5)日本海東縁の新生プレート境界説はいつ発表?
 日本海東縁の新生プレート境界説が発表されたのは1982年のことである(印刷
論文となったのは翌83年)。
 中村一明と小林洋二によるこの画期的な新説を契機に,日本海東縁のテクトニ
クスの研究は新しい段階に入った。その直後に発生した1983年日本海中部地震
(M=7.7)のメカニズムは,大陸側のプレートが東に向かって沈み込みを始めつ
つあるという彼らの主張とみごとに対応するものであった。(「日本海東縁」P.
i)めに
(6)「歪み集中帯」とは?
 日本海東縁に存在するのは海溝軸のような単純なプレート境界ではなく,プレー
トの相対運動は何条かの「歪み集中帯」によって担われているとの共通理解に達
した。(日本海東縁」P.i)
(7)日本海東縁部の変形はいつから?
 過去300万年間という期間をかけて,3−4列の短縮歪みの集中帯は形成されて
きたことが明らかになった。(「日本海東縁」P.121)
(10)アムールプレートの移動速度は?
 最近、中国北東部(図2.1のアムールプレートの南縁)で数十GPS観測点の速
度ベクトルが得られたが,それらの点は1cm/yrくらいの速度でユーラシアプレー
トに対して東南東進している。(「日本海東縁」P.25)
(20)歪み集中帯の幅、歪み速度について
 歪み集中帯の幅は数十−200km程度で場所によって変化する。歪み集中帯の内部
では東西ないし北西一南東方向の圧縮が卓越し,歪み速度は0.1ppm/年程度と周
囲よりも一桁程度大きい。水平方向の圧縮に伴う上下変動も生じている。(「日
本海東縁」P.150)
(4)日本海東縁で発生した主な地震
  1)1833年12月7日 酒田沖地震(M7.8)
  2)1940年8月2日 積丹半島沖地震(M7.5)
  3)1964年5月7日 男鹿半島沖地震(M6.9)
  4)1964年6月16日 新潟地震(M7.5)※
  5)1983年5月26日 日本海中部地震(M7.7)
  6)1983年6月21日 日本海中部地震余震(M7.1)
  7)1993年7月12日 北海道南西沖地震(M7.8)
               (「日本海東

.. 2018年01月15日 08:29   No.1312004
++ 島村英紀 (社長)…292回       
不意打ちでやってくる・時期も場所も予測できない「次の大地震」
 |  元日に起きた石狩地震
 |  “東海地震一色”の中で起きた阪神淡路大震災
 |  警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その229
 └──── (地球物理学者)

◎ 自然現象は年末や年始にも起きる。人間の都合を考えて起きてくれるわけで
はない。
 元旦に大地震が起きたことがある。天保5年1月1日に起きた石狩地震だ。起
きたのは午前10時頃だった。正月早々の地震は大きな衝撃だった。いまの暦では
1834年2月9日になる。
 震源は札幌北方の日本海岸の石狩川河口付近。現在の石狩市付近に集まってい
た人家が損壊し、地割れが生じて泥水が吹き出したと記録されている。石狩川河
口は札幌駅から20キロあまり北だ。
 81戸全半壊と記録にあるが、そもそも人口密度がごく低かった。いま200万都市
になった札幌市が拡がっている地域には、現在では想像もつかないくらい人がい
なかった土地だった。

◎ ところが、近年、液状化の跡が北海道大学農場の跡地で見つかった。札幌市
埋蔵物調査室によって遺跡調査が行われときのことだった。札幌駅の北2.5キロに
ある市街地の真ん中である。
 液状化の大きな跡があったということは、震度6だった可能性が強いというこ
とだ。
 震源から約20キロも離れた現在の札幌市内でも震度6が発見されたことは、震
度6の領域がかなり広かったことになる。その後市内各所で掘削が行われ、ここ
以外でも液状化の跡が見つかっている。

◎ つまり、この石狩地震のマグニチュード(M)は、それまで推定されていた6.
4よりもずっと大きかった可能性がある。
 北海道に住んでいた先住民族は文字を持たなかったから歴史記録は残っていな
い。たとえ大地震があったとしても、本州のようには昔の地震について知られて
いないのだ。だから19世紀の大地震でも歴史記録はほとんど残っていない。
 札幌は有感地震も少ない。転勤族が多いところだが、本州から転勤してきた人
たちは地震の少ないことに驚く。首都圏は1〜2週間に一度、年間で50回も有感
地震があるが、札幌は年間にせいぜい5回ほどだ。それも、札幌から遠いプレー
ト境界である太平洋岸沖の地震が多い。
 

.. 2018年01月15日 10:23   No.1312005
++ 島村英紀 (社長)…293回       
それゆえ、札幌は日本の大都会としては地震の危険が少ないところだと思われ
ている。
 しかし私たち地球物理学者から見れば、札幌も日本の他の場所と同じく、地震
の危険性がない場所ではない。
 札幌市はもともと豊平(とよひら)川の扇状地に開拓されたのだが、戦後は扇
状地と泥炭地の境にある東西に走る鉄道線路を越えて泥炭地で地盤が軟弱な北部
にも発展してきた。しかし都会になってからは、一度も大地震を経験していない。

◎ 札幌には限らない。1970年代の「東海地震騒ぎ」と地震予知が可能だとした
大震法(大規模地震対策特別措置法)を受けて、世の中が東海地震一色になった
ときに阪神淡路大震災(1995年)が起きて大きな被害を生んでしまった。
 それと同じように、南海トラフ地震が「次に起きる大地震」に違いない、とい
う思い込みがはびこっている現在こそ、じつは時期も場所も予測できない「次の
大地震」が日本のどこかで起きるかもしれないのである。

.. 2018年01月15日 10:32   No.1312006
++ 島村英紀 (社長)…294回       
自然災害で最も嫌なのは「地震」
 |  日本でも増えてきている豪雨や竜巻
 | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その230
 └──── (地球物理学者)

◎ 昨年末、クリスマスの季節だというのに、フィリピン南部のミンダナオ島が
台風に襲われて被害が拡がった。死者行方不明者数は450人を超えた。一時は7万
人が避難した。
 フィリピンは台風銀座で、例年平均して20もの台風に見舞われる。だが、人口
2000万人のミンダナオ島を台風が直撃したのはまれだ。
 このフィリピンの台風災害を入れなくても、ある大手の再保険会社の統計では、
2017年の損害補償額はその前年の2倍以上に達し、過去3番目に大きな額だった。
 損害補償額を押し上げたのは米国東部やカリブ海の島々を襲ったハリケーン、
「ハービー」と「イルマ」、「マリア」の被害だった。

◎ プエルトリコなど貧しい国でのハリケーンの被害は大きく、まだ電力復旧の
めどさえたっていない。壊れた家の復旧はまだ遠い。キューバも大きな被害を出
し、国家評議会議長の交代がそのために遅れているほどだ。
 ちなみにハリケーンは台風と同じものだ。大西洋にあるものをハリケーン、イ
ンド洋のものをサイクロンという。
 地球温暖化の結果として、「気象が凶暴化」する。台風やハリケーンがより大
きくなり、日本でも、いままでにはほとんどなかった豪雨や竜巻が増えてきてい
る。日本付近の海水温が上がったために、台風が海水からもらって成長するエネ
ルギーが大きくなり、台風が日本に近づいても弱まらず、なお大きくなっている。

◎ ところで、2017年の保険金支払では南北アメリカ大陸が最大の支払になった。
カリブ海地域や米国南部を襲った複数のハリケーンのほか、メキシコでの二度の
大地震、米国カリフォルニア州の山火事が、いずれも南北アメリカ大陸であった
ためだ。このほか、世界各地で自然災害が起きて支払が行われた。

.. 2018年01月15日 11:26   No.1312007
++ 島村英紀 (社長)…295回       
◎ 2017年では不幸中の幸いもあった。それは災害の被害額は増加したものの、
死者数は上昇が見られなかったことだ。2017年の災害で1万1000人以上が死亡、
あるいは行方不明になったが、これは2016年と同水準だった。
 災害による死者数では地震による死者が、毎年、圧倒的に多い。たとえば国連
が過去20年間に世界で起きた自然災害を数えたら、1996年〜2015年の20年間に自
然災害で死亡した135万人のうち半分以上の75万人が地震によるものだった。
 2017年の場合は、地震による死者数が例年より少なかった。それでもメキシコ
の二回の地震で1000人近くがなくなった。

◎ 自然災害には、地震や火山噴火のほか、洪水や土砂崩れ、熱波、暴風雨とい
った気候変動に関連した災害もある。
 どれも怖い。だが、台風はだんだん近づいてくるのが分かる。豪雨や洪水もい
きなり、ということはない。
 それに比べて、突然、不意打ちで起きる地震が、自然災害のなかでももっとも
嫌なものに違いない。

.. 2018年01月15日 11:34   No.1312008
++ 島村英紀 (社長)…296回       
.「チバニアン」が示す地球の磁場
 |  「…地球磁場は短い間にも増減を繰り返していた」
|  地球磁場がゼロになるという定説が覆るかもしれない
 | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その231
 └──── (地球物理学者)

◎ 千葉県市原市の養老川沿いに突然、多数の観光客が押しよせはじめた。休日
は多い日で1000人近く、平日でも200人もが殺到している。
 「チバニアン」という地層を見るためだ。見たらがっかりするような、なんの
変哲もない地層だが、国際学会の作業部会が地球の歴史の一時代を代表する「国
際標準地」として答申することを決めた。以後、物見高い観光客が殺到したので
ある。
 しかし、まだ本決まりではない。今後、委員会や理事会の審査で、それぞれ6
割以上の票を獲得して正式になる。
 この地層は77万年前のもので、地球の磁場が南北で逆転する現象が最後に起き
た地層だ。

◎ 地球の磁場は地表から2900キロの奥深くにある溶けた鉄の巨大な球の中を流
れている電流が作っている電磁石だ。不思議なことに、地球の歴史で、いままで
十数回も南北が逆転している。
 なぜこの逆転が起きるのかは学問的には分かっていない。地震の発生をはじめ、
地球にはまだ分からないことが多い。いままでの例では逆転はけして等間隔では
なくて、突然起きる。
 突然、といっても、数千年にわたって地球の磁場が弱くなって、そして逆転す
る。

◎ じつは地磁気を正確に測れるようになってからまだ180年しかたっていない。
その間、地磁気は直線的に下がっている。つまり、数千年以内に、磁場がゼロに
なって、その後南北が逆転するのではないか、というのが定説になってきた。
 ところで地磁気が弱くなってなくなってしまうあいだには地球に降り注ぐ宇宙
線やX線が増える。これは地球上の生物にとって、とても危険なことだ。全滅す
るのではないかと考えている学者もいる。私たち人類をはじめ、地球上の生物は
地磁気が作ってくれるバリアの中にいるから安全なのだ。

.. 2018年01月18日 11:41   No.1312009
++ 島村英紀 (社長)…297回       
◎ つまり、いままでの定説では、数千年以内に地球上の生物の危機が訪れるは
ず、ということになっていた。
 ところが、最近、まったく違う発見があった。イスラエル・テルアビブ大学の
科学者による研究だ。
 それはエルサレム近辺から出土した3000年前の古代エジプトの陶器の分析から
分かった。陶器の壺の取っ手に、それぞれの時代の王特有のマークや古代ヘブラ
イ語が書いてある。つまり壺が作られた年代が正確にわかる。
 陶器を焼くときの高温で、材料の粘土の中にある微細な鉱物の磁性がリセット
される。リセットされる温度をキュリー温度という。そして冷えていくときの地
球磁場が改めて陶器に記録されるのだ。

◎ 600年間にわたるデータが得られた。それによれば、紀元前8世紀後半には磁
場が一時的に高くて、いまの2.5倍に達し、その後30年間で20%も落ちたことが分
かった。つまり、地球磁場は、短い間にも増減を繰り返していた。
 だとすれば、現在までの180年間で10%という減少が、そのまま続いてやがてゼ
ロになるという定説が覆るかもしれない。世界の終末が少し遠のいたのだろうか。

.. 2018年01月18日 12:10   No.1312010


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