|
この日の会合で、規制委は、全ての沸騰水型と、格納容器の小さい加圧水 型・大飯1、2号機に対し、格納容器内の水を外部で冷やして循環させなが ら原子炉の冷却に使う装置の設置を義務付ける案を提案した。事故時には、 まず、この循環冷却装置を使用し、事態が収束しない場合には、フィルタ ー付きベントを使用するとしている。この循環冷却装置は、柏崎刈羽原発 6、7号機、東海第2原発が設置を決めている。 大飯原発1,2号機は、加圧水型であるが、すでに「新規制基準」審査に 合格している3、4号機(加圧水型)に比べると、格納容器の体積が半分余 りと小さいので、事故の際、沸騰水型と同様に炉心温度の上昇によって内 圧が高まりやすく、格納容器を冷す対策をより厳しく行わなければならな い。ただし、さまざまな機器や設備が入った狭い格納容器内での、配管の 補修などの安全対策工事は難しい。一方、格納容器を覆う天井の厚さは、 3、4号機の20%余りの30 cmほどで、事故の際、外部に放射性物質が漏れな いようにするために天井を厚くする工事も必要である。 大飯原発1、2号機は、国内では例を見ない「アイスコンデンサー方式」 といわれる過酷事故時冷却装置を採用している。格納容器の周りに設けら れた1,944本のバスケットに、ブロック状の氷を入れ、事故時に発生する蒸 気を急速に冷却し、圧力を下げて、格納容器の破損を防ぐ仕組みである。 アイスコンデンサーには、計1、250トンの氷を常備している。格納容器を小 さく抑えたため、過酷事故時に格納容器内の温度および圧力が上昇し易い 原子炉で、アイスコンデンサーが有効に働かなければ、格納容器破損の恐 れがあり、関電が1、2号機の審査を申請すれば、「アイスコンデンサー方 式」の有効性が争点になり、規制委が大規模な改修を迫る可能性は高い。 なお、大飯原発3、4号機には、格納容器のコンクリート壁内部にPC鋼撚 (よ)り線(高強度線;テンドン、ピアノ線とも呼ばれる)を入れて、予 め格納容器全体を締め付けておき、事故時に発生する圧力に耐える「プレ ストレスト・コンクリー?(PC)方式」が採用されている。
.. 2017年11月01日 08:26 No.1276011
|