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古くて弱い家に住み続けなければならない弱者を | 大地震は「選択的」に襲う | たとえ自治体が耐震補強費の「一部を負担」してくれても | 残りの個人負担が出来ず改良できないままの家屋も多い | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識 その217 └──── (地震学者)
◎ 9月7日に引き続いて19日(現地時間)にメキシコでまた、大地震があった。 首都メキシコシティとその周辺を襲ったマグニチュード(M)7.1の地震で、 330人を超える犠牲者を生んだほか、多くの建物が崩壊した。 学校が崩れて生き埋めになってしまった小学生の救出は世界中が固唾を呑んだ。 先年、私や早稲田大学の先生が泊めてもらった現地の科学者の家も崩壊した。 もし私たちが泊まっているときだったら危なかったに違いない。
◎ 今回の地震は1985年のメキシコ大地震のちょうど32年目の同じ日だった。 1985年の地震では首都を中心に1万人以上が死亡し、3万棟以上の建物が全壊す るという大被害を生んだ。 この大地震を受けてメキシコでは、その翌年1986年に建築基準法を改訂した。 新しい建築基準法では、設計や建築を行う業者は市内のどこで地盤が弱いか考慮 することを義務付けられ、建築の全工程を行政当局が監督して点検することにな った。メキシコの首都中心部の多くは、昔、大きな湖があったところだったので 地盤が弱い。 だが建築基準法は、以前に建った建築に適用されるものではない。今回の地震 でも、多くの古いビルが倒れた。また見えないところでの予算の削減や手抜き工 事も横行してきた。それが大地震で明らかになってしまったのである。
◎ じつは、事情は日本でも似ている。 M7.3の阪神淡路大震災(1995年)で倒壊してしまった家は新しい家に比べて 1971年以前に建ったものが圧倒的に多かった。つまり古い家が選択的にやられた のだ。 また、地震で壊れて初めて分かった手抜きもあった。崩れたコンクリートの柱 の中から塗料の空き缶や材木が出てきたのである。
.. 2017年10月12日 10:16 No.1267002
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