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原子力空母の防災基準の見直しとその結果 | 市民の安全はまたしても無視された (下) | └────
◯原子炉の運転状況、出力レベルのごまかし 25%→15%へ
2004年の原子力艦の原子力災害対策マニュアルの想定でさえ平均出力を25%、 直前4日間を18時間25%プラス6時間100%としていました。 ところが検証作業委員会は、米軍資料(ファクトシート)が全就役期間平均出力 15%としているという理由で15%とし、直前4日間も、6時間100%プラス18時間 15%と想定を大きく後退させてしまいました。 しかし、ファクトシートは『全就役期間平均出力15%』としています。原子力 空母は年間半数以上入港して原子炉を止めているので、平均出力15%というのは 明らかにミスリーディングで、問題となる航海期間中の平均出力は逆算して30% とされねばなりません。
◯セシウム等の長寿命の放射能核種の無視 セシウム137の半減期は30年
もうひとつ重要なのは、福島第一原発の避難実態や25年運転する原子力空母の 特殊性から、セシウム等の長寿命の核種も加えて試算する必要があるという問題 です。 検証作業委員会は応急対応ということで、短寿命のヨウ素だけを取り上げて、 セシウム等の長寿命の放射能核種を無視しています。 原子力空母は25年燃料交換をしないので、原子炉内に多量に存在する長寿命の 核種の内蔵量を無視するわけにはいきません。検証作業委員会の原発4年運転と いう前提と比較しても、原子力空母の場合、原発の5倍以上の量を考え、それら の内蔵量も各加算した比較が必要です。
◯「重点区域」は少なくとも8キロになるはず
結局、検証作業委員会は、スケーリングという比較においても、この3つの誤 った前提に基づいて、原子力空母の放射能内蔵量は原発のたった4.5%とミスリー ドし、避難を要する「避難区域」1キロ以内、「防災重点区域」3キロ以内は変 える必要はないという見解を示しました。 内閣府が2016年7月17日に発表した原子力艦の原子力災害対策マニュアルの改 訂結果も全く同じものでした。
.. 2017年08月02日 09:31 No.1236001
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