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「(同機構の)予算や人員が不足して、核物質や放射性廃棄物の管理が行き届 かなくなった」という読売新聞の主張は、結局、今回の事故により、原子力機構 の予算不足・人員不足を世の人々はもっと理解し、もっと予算や人材を配分する ようにしなければならないという「火事場泥棒的」論理で書かれていると言って も過言ではありません。 典型的な「モラルハザード」です。
3.さらに、同社説では、作業員の内部被曝は、いつの間にか「なかったこと」 にされています。 「千葉県にある放射線医学総合研究所が全員を再計測した結果、プルトニウム は検出されなかった。一部の人からアメリシウムという放射性物質が検出された が、微量だ。放医研によると、健康への大きな影響はないという。」 前回指摘しましたように、肺モニターのプルトニウム肺内被曝の検出限界は5 千〜1万ベクレルです。
このことは、全く忘れられて、いつの間にか被曝はアメリシウムで「微量」に され、プルトニウムでは「不検出」すなわち「ない」とされています。 さらに、将来についてまで、「大きな健康影響はない」と断定されてしまって います。 もちろん「大きな」という限定詞が何を意味するかは不明ですが、「がんなど の」と読むのが普通でしょう。
プルトニウムの被曝量は、原子力機構の評価では、アメリシウム被曝量の100倍 程度です。同社説の「微量」とされる数字でも、実際には、その100倍です。 放医研は、そのことを知っているので、アメリシウムの内部被曝量は「個人情 報」を口実に公表していません。 つまり、アメリシウムで数10ベクレルでも、プルトニウムでは数1,000ベクレル です。 いま、この「微量」を食品基準の100ベクレルでとれば、プルトニウムでは1万 ベクレルです。 何度も言うようですが、7400ベクレルが肺内にあれば、ビーグル犬にがんを引 き起こすのですから、決して「微量」ではありません。
.. 2017年06月21日 09:03 No.1209008
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