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観測難しい海底火山、過去に悲劇も | 警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識その198 └──── (地球物理学者)
このところ、首都圏から南に延びる火山が騒がしい。3月末、気象庁が「ベヨ ネース列岩」に噴火警報を出した。4月下旬には西之島新島の噴火が1年半ぶり に再開して、新島は約170メートル四方ほど拡大した。 ベヨネース列岩は東京の南約400キロ。西之島の約半分のところだ。19世紀半ば にフランスの軍艦「ベヨネーズ」が発見したのでこの名がついた。 今回、ベヨネース列岩で変色海域が見つかった。海が黄緑色になっていて、海 底噴火が始まったのだ。その後も泡が海面上に見つかるなど、盛んな活動が続い ている。 ここは海面上にいくつかの岩礁が突き出ているほか、海面下にもいくつもの岩 がある。だが、この付近の海底は水深1000メートルを優に超える。つまり高い火 山の山頂がいくつもある海域なのである。 海上に見えていない海底火山も多い。ベヨネース列岩も、かつての噴火で海上 に島が現れたことも何度かあるが、海の浸食で削られて、その後海上からは消え てしまった。 このベヨネース列岩では、かつて悲劇が起きた。1952年のことだ。海上保安庁 の観測船「第五海洋」が海底火山の噴火で吹き飛ばされた。船はバラバラになり、 船に乗っていた31名全員が殉職した。 火山がこれから噴火するかどうか、その動向を調べる大事な手段の一つは山体 膨張だ。マグマが上がってきて山体が膨らんでいけば、噴火が近いことになる。 陸上の火山ならば傾斜計やGPS測定装置も設置できるので山体膨張は見える。 遠くからでも表面温度も測れる。だが海底火山では観測の手段が限られる。山体 膨張も、観測船が真上に行って測深儀(そくしんぎ)を使って水深を測るしかな いのだ。 測深儀による水深の測定は超音波を船から海底に向かって出し、反射波が帰っ てくる時間から水深を知るものだ。船が火山の上にいなければ測れない。第五海 洋もほぼ間違いなく、水深の測量中に突然の噴火に遭ったに違いない。
.. 2017年05月31日 08:52 No.1203001
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