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原文のある箇所をカットしている訳文をカット訳となづけることにする。ちょくちょくある。佐藤亮一訳の第二次世界大戦にも、カットしている部分がある。原子爆弾の章の次の箇所である。「大統領と二人だけの、あるいは彼の側近の居合わせるなかでの何回かの長い話し合いのなかで、私は何をなすべきかを論じた」の次に、原文では、こう書いてある。「週のはじめにスターリンは私的に私に話したことには、彼の一行がモスクワを出発しようとしていた時に、日本の大使から宛名のないメッセージが届けられた、それはたぶん彼自身か、カリーニン議長か、ソビエト政府の他の誰かあてにということだろうが、日本天皇からのものであった。それは、日本は無条件降伏を受諾することはできないが、他の条件については妥協する用意があると述べていた。スターリンは、メッセージには具体的提案がないので、アクションをとらないと返事をした。私は大統領に、スターリンが直接彼に話をしなかったのは、ロシアが彼に和平をすすめようとしていると考えるといけないからだと説明した云々」。ポピュラーな歴史の本にはあまり書いてないが、聖断により和平をはかろうとして、ソ連に和平の斡旋をたのんだが、ソ連はいちおうことわったようだが、明確な返事をしなかった。昭和天皇は、ポツダムでの会談の前にこちらの和平の意向をつたえておけばよいということで、ソ連の斡旋は期待していなかったと思われる。(もちろん、萬が一、千が一の期待はあったであろう)。コミンテルンはすでに解散していたが、ソ連の動きは、ある程度ご存知だった筈である。
.. 2008年02月08日 21:00 No.120001
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