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(鎌田慧 本音のコラム)
「日本を取り戻す」安倍首相得意のスローガンだが、どこから何を取り戻す かはわからない。それでも、今の日本のように先行き不透明、不安感が広がって いる社会では、意味不明な言語でもなんとなく頼りがいを感じる人もいるようだ。 「2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と、こんどは、いよいよ戦 争のできる国へ改憲のご託宣。まだ何も議論されず、それも「高等教育の無償化」 を餌に、奨学金ローンに苦しむ学生たちを改憲に引き込もうとする阿漕(あこぎ) さ、バカにされてはいけない。 世界最強の米政府の極秘監視システムを、たった一人の勇気で暴露した、元C IA職員、エド・スノーデンは、日本の秘密保護法をデザインしたのは米国だ、 という。 「これは国家安全保障に関するから」「反テロ活動だから」とされた秘密が、 民主主義の仕組みを次第に破壊する、と独占インタビュー全記録『スノーデン、 監視社会の恐怖を語る』(毎日新聞出版)で強調している。 なにが共謀と認定されるかわからない「共謀罪」を、今国会で採決したい安倍 首相は「一般人には関係ありません」と猫なで声。「隠すことがないなら恐れる ことはないだろう」とは、かつてのナチスのプロパガンダ。軍隊や政府の悪口を いった一般人が、憲兵や特高に捕まった時代が、いま取り戻されようとしてい る。 (ルポライター) (5月9日朝刊25面より)
.. 2017年05月12日 08:32 No.1193001
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