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■--.「裁判勝利!福島切捨てをゆるさない」
++ 冨塚元夫 (大学院生)…121回          

2・19原発被害者訴訟原告団
 |  全国連絡会の総決起集会に参加しました
 |  山場を迎える裁判闘争勝利のために皆様のご支援をお願いします
 └──── (たんぽぽ舎ボランティア)

◎ 2月19日、全国21か所で提訴している裁判の原告団が、東京労働会館ラパス
ホールに集まりました。
 参加者のうち原告は43人、弁護士17人、支援者54人合計114人でした。6人の共
同代表から挨拶がありました。
 楢葉町の宝鏡寺住職で、福島原発避難者損害賠償訴訟団長の早川篤雄さんは、
本人にとっては「血気集会」だといいました。
 関西訴訟の森松明希子さんは、いじめの問題を取り上げて、この問題が最近や
っと取り上げられるようになって、世間の注目を集めて、いじめをなくす方向に
向かえばよいが、一方ますます福島を隠して生活する人が増える心配もあると言
いました。国の意図的な無策によって、被ばくと闘う人々が孤立しているので支
えてほしい。健康を享受する権利を皆で守ることが必要だと訴えました。
 東京訴訟の鴨下さんは、いわきの自宅の庭の土壌は半年前のデータで、平米あ
たり1万ベクレルあった。このような放射線管理区域の2倍以上の汚染環境に戻
ることはできない。福島市、郡山市、いわき市という避難指示区域外の都市で小
児甲状腺がんが多発している事実が如実に物語っている。
 このような汚染地域を逃れてきた避難者には加害者・国に住居を提供させる権
利がある、住宅「支援」ではないと言いました。
 また国が「子ども被災者支援法」の支援対象地域から、このような都市を除外
しようとする陰謀があるので注意してほしいと訴えました。

◎ 決起集会の司会は群馬裁判の丹治杉江さんでした。
 群馬裁判は一番早く結審して、3月17日判決が出る予定です。
 先日、1月31日に結審した千葉裁判は9月22日判決予定ですから、群馬裁判は
他に比べて非常に早い判決です。
 次は、生業訴訟が3月21日結審です。3月20日前夜集会、3月21日期日前集会、
結審集会と報告集会が予定されています。

◎ 各裁判で共通点があるという指摘がありました。
 国・東京電力の責任を明らかにして、損害を完全に賠償させる必要がある点で
す。
 各裁判の弁護団は、お互いが情報を交換して協力して、東京電力の
.. 2017年02月23日 09:17   No.1159001

++ 冨塚元夫 (大学院生)…122回       
無作為責任、
国の規制権限不行使責任を明らかにしてきました。
 被告の反対弁論(国には被災地住民に情報を提供する義務はない、被ばくの被
害は無視できる)を完全に論破してきました。
 (崎山比早子さんは先日の京都訴訟で専門家証人として、御用学者3人を相手
に、低線量長期被ばくの危険性を医学的・疫学的に証言しました)

◎ しかし、福島県には国の強引・陰険な帰還政策を批判できない、自らの正当
な権利を主張できない、重苦しい空気があります。
 全国各地で、福島から避難した子どもと、福島に戻った子どもが「いじめ」に
あっています。歴代権力者の分断統治政策によって根強く残る差別構造のためと
思われます。
 群馬は、保守王国でそうした空気が非常に強いために、原告の人々は周りに知
られないように福島を隠して暮らしているそうです。

◎ 驚くべきことに、群馬訴訟原告団が結成されていないのです。本日の集会の
司会を務めてくれた丹治杉江さんが唯一名前を公表している群馬訴訟の原告だそ
うです。
 前橋地裁の裁判官もそうして群馬県の空気に影響されるのではないか心配です。
3月17日は前橋裁判所を包囲するべく多くの方に応援をお願したいという発言が
ありました。

◎ 原発事故災害は、最大の公害事件ですので、この集会には各地で長年公害訴
訟を闘ってきた原告の人々が応援に来てくれました。水俣病裁判、スモン裁判、
排気ガス汚染訴訟、アスベスト訴訟などです。水俣やアスベスト裁判も今年結審
を迎えるようです。
 国を相手に困難な裁判闘争を闘ってきた人々の応援は心強いものです。
 こうした裁判を知らずに孤立している避難者の人々も多いと思われます。

◎ 千葉では、県の住宅支援策がほとんどない状況で、一人の区域外避難者が声
を上げて千葉市の職員から人権無視の追い出し攻撃を受けたと訴えました。
 千葉訴訟弁護団が対応して、千葉県、千葉市に抗議し、国、福島県、マスコミ
にも告知した結果、千葉県もやっと重い腰を上げようとしています。全国で地元
の避難者・原告を支援してください。よろしくお願いします

.. 2017年02月23日 09:28   No.1159002
++ 武藤類子 (幼稚園生)…3回       
福島第一原発事故は今も収束してはいない
 |  被害者のために完全な賠償をして下さい
 |  命がけで収束作業を続けている作業員を、
 |  搾取や危険にさらさないで
 |  3・11東電合同抗議へメッセージ
 └────  (福島原発告訴団)

 毎月、たゆまず東電への抗議を続けておられる皆さまに、心から感謝致
します。
 今年も3月11日が近づいてきました。昨年11月に福島県沖で起きた震度
5弱の地震が、多くの人にあの日をフラッシュバックさせ、改めて傷の深
さを思い起こさせました。
 今、福島では次々と避難指示が解除され、人々の帰還政策が推し進めら
れています。
 しかし、この帰還は「安全になったから帰って下さい」と言うものでは
ありません。「一応除染をしたから、まだ放射性物質はあるけれど我慢し
て暮らして下さい」と言う意味です。

 避難指示が解除されていく地域に、除染廃棄物の黒や青い袋が山積みさ
れ、減容化のための焼却炉が作られています。復興のお金を巡って多くの
原発関連企業が群がり再び利権を得ています。
 3月末に解除となる予定の地域ではまだまだ放射線量が高い場所があり
ます。帰らない決断をしている人も多いです。昨年解除になった地域の
帰還率は1割にも達していません。待ちわびた帰還をしても、商店や病院
の充実は十分とはいえません。農作物が作れない地域もあります。

 帰還政策の中で国と福島県は区域外避難者の、住宅無償提供の打ち切り
を強行しようとしています。
 原発事故のために、人生を大きく変えられてしまった避難者たちが、
この打ち切りが実行されると、住まいを失う、または経済的に困窮する、
家族がバラバラになる、ようやく慣れた環境から出なくてはならない、
望まない帰還をしなくてはならないなど更なる困難の中に置かれます。

 一方、避難解除や、新たな企業誘致のために莫大な復興予算が投じら
れ、2020年までに避難者をゼロにすると言う福島県の目標のもとに、帰還
困難区域の除染や次々と居住モデル地域の建設が計画されています。
 福島第一原発から4kmのところに建設される双葉町アーカイブ拠点に
は、50億の予算が計上され、原発事故の様相を伝えるための施設が建設さ
れ、高校生の修学旅行を誘致するということです。

.. 2017年03月11日 19:23   No.1159003
++ 武藤類子 (幼稚園生)…4回       
しかし、原発事故は今も収束してはいないのです。
 汚染水のタンクは今も増え続けています。期待された凍土壁はほぼ失敗
だと言われています。
 福島第一原発1・2号機の120メートルある排気塔を支える鉄骨に生じ
たヒビや破断が増え、いつ倒れるか心配でなりません。
 2号機のデブリと思われる写真が公開されましたが、そこは650シーベ
ルトだそうです。そこに人が5秒いたら放射線障害で確実に死亡する線量
なのだそうです。サイト内には何十年も人が近づけない場所が数多くある
のです。

 福島県の子どもたちの甲状腺がんは疑いを含めて184人となりました。
 仮設住宅や避難先で鬱(うつ)を発症する人が増えています。
 福島県の自殺率は2014年から急激に増加の一途を示しています。
 若者たち、子どもたちに向けた放射能の安全キャンペーンが大変な勢い
で繰り広げられています。昨年夏には、疑問だらけの放射能に対する教
育施設が開設し、小学生を中心として3万人の人が訪れています。
  暮れには福島県の高校生が第一原発の収束作業を見学に行きました。
18歳以下は働けない場所です。

 原発がひとたび事故を起こしたら、何百年もの間、土や海や山の木々は
汚染され、人々の人権は奪われます。
 危険と諦めと分断を強要され、生きる尊厳を傷つけられます。
 世界のどの原発ももう動かしてはなりません。
 原発はあらゆる命と共存はできません。
 こんな悲惨な事故は福島で終わりにしなければなりません。

 そのために私たち福島の被害者は立ち上がり、つながり、必死で声を
あげています。
 2012年に、私たち福島原発告訴団14000人が行った告訴により、2016年
2月にとうとう東電の元幹部3人が強制起訴されました。日本の行政機関
である検察はこの大事故の責任を裁判で問う必要はないとの結論を出しま
したが、市民による検察審査会が強制起訴を決めました。
 ようやく、3月末に公判前整理手続きが開かれることになりました。
事故の責任を問う刑事裁判がもうすぐ始まります。

 私たち原発事故の被害者がどんなにこの裁判を待ちわびたことか。沢山
の告訴人が既に亡くなり、健康を害したり、精神的に追い詰められていま
す。一日も早くこの裁判が開かれることを望みます。どうかこの裁判を注
目し、支えて下さい。

.. 2017年03月11日 20:57   No.1159004
++ 武藤類子 (小学校低学年)…5回       
沢山の損害賠償裁判や行政裁判も結審を迎えます。全国の原発差し止め
裁判も続々と提訴されています。
皆さん、諦めずに行動していきましょう。もうすぐ春がやって来ます。
力を合わせ、ともに歩んで行きましょう。

 最後に東電のみなさん
 あなた方の会社が起こした原発事故は、何十万という人々の暮らしと
なりわいと地域のつながりと健康と命を奪ったのです。
 そのことに真摯に向き合い、被害者のために完全な賠償をして下さい。
 二度と同じ悲劇を繰り返さないために、原子力から即時撤退して下さ
い。
 命がけで収束作業を続けている作業員を、搾取や危険にさらさないで
下さい。
 そして裁判では、隠さずに真実を語って下さい。
 それが、未曽有の事故を起こした企業の取るべき道だと思います。

.. 2017年03月11日 21:05   No.1159005
++ 冨塚元夫 (大学院生)…123回       
故肥田舜太郎さんに贈る言葉
 └──── (たんぽぽ舎ボランティア)

◎ 肥田舜太郎さんは、長い間、原爆被爆者と原発被曝者のために尽力さ
れました。そして一生かかって最大の疑問「ぶらぶら病」の原因(内部
被ばく)を解明されました。
 本当にお疲れさまでした。私は、2011年3月11日の福島第一原発事故の
数か月前に、たんぽぽ舎で山田太郎さん(小倉志郎さん)から彼の学習会
の時に無料でいただいたアヒンサーの小冊子「死に至る虚構―国家による
低線量放射線の隠蔽」で初めて肥田さんのことを知りました。

◎ 福島第一原発事故後、肥田さんが広島で行ったアピールがネットで
ながれました。いろんなマスコミが取材に来ましたが、記事になったのは
「世界」だけだったと言っておられました。
 その年の9月ころ、さいたまで行われた反核医者・医学者の会の講演会
で、私は初めて肥田さんのお話を聞きました。
 もっと、聞きたいと思って、たんぽぽ舎に招いて講演をしていただき
ました。肥田さんとは直接コンタクトできなかったのですが、幸いそれ
以前たんぽぽ舎のボランティアをしていた竹野内真理さんが肥田さんと
親しかったので、彼女のアレンジで2011年11月15日に講演が実現しまし
た。これが私の初めて企画したスペースたんぽぽの学習会です。
 原爆投下後に夫を探しに広島に入り入市被ばくした女性が、徐々に原爆
病に侵されて、死んでいく話を覚えています。髪の毛が抜け、肌が紫にな
り、鼻・口から血を出して死んでいくさまを聞きました。
 低線量被ばくの時代を生き抜くには、免疫力を強くすることが大事だと
教わりました。睡眠を十分とり、ご飯はよくかんで食べるようにと教わり
ました。
 講演後、たんぽぽ舎の別のボランティアの運転する車に同乗して、
肥田さんのさいたまの自宅までお送りしました。

◎ 私が福島の出身だと話したとき、二・二六事件の若い反乱将校の多
くは貧しい東北地方出身者だったとおっしゃいました。彼は、少年時代
に二・二六事件を目撃したのでした。
 肥田さんは私が放射能被ばくを考えるときの一番の先生でした。
 本当に有難うございました。
 最後に彼の死を伝えた毎日新聞の記事を参考までにお伝えします。

.. 2017年03月28日 08:13   No.1159006
++ 冨塚元夫 (大学院生)…124回       
 … 広島原爆で被爆し、医師として被爆者医療に尽力した肥田舜太郎
(ひだ・しゅんたろう)さんが20日、肺炎のため亡くなった。100歳。
  (中略)
 軍医として広島陸軍病院在勤中の1945年8月6日に被爆し、直後から
被災者救護にあたった。戦後、東京や埼玉で低所得者向けの診療所を開設
し被爆者を診察。30年にわたって日本被団協原爆被爆者中央相談所(既に
解散)の理事長を務め、全国の被爆者への医療相談に取り組んだ。
医師の立場から原爆被害の実態を伝えるため、欧米など海外約30カ国も訪
問。各国の反核団体と連携して核兵器廃絶を訴えた。
 2000年代の原爆症認定集団訴訟では証人として出廷し、長年の臨床経験
と海外の文献研究を基に証言。原爆投下後に広島・長崎に入った「入市被
爆者」が、飛散した放射性物質を呼吸や飲食で体内に摂取し、「内部被
ばく」を起こしてがんなどの原因になったと訴えた。国の認定手法の問題
点を突き、原告勝訴の判決を引き出す力になった。…

.. 2017年03月28日 08:19   No.1159007
++ 木原壯林 (高校生)…63回       
大阪高裁抗告審で民意を踏みにじり、
 |  裁判制度の根幹を揺るがす決定
 |  脱原発・反原発が民意
 |  国と電力会社の圧力に屈した判断を乗り越えて
 |  原発全廃に向けて前進しよう!
 └──── (若狭の原発を考える会)

 大阪高裁第11民事部(山下郁夫裁判長、杉江佳治裁判官、吉川慎一裁判
官)は、3月28日、高浜原発3.4号機の運転差止めを命じた大津地裁
2016年3月9日仮処分決定、および、これに対する関電の異議を退けた同
裁判所同年7月12日決定を取り消しました。
 関電、政府、原子力規制委の主張のみを追認し、圧倒的多数の脱原発・
反原発の民意を踏みにじり、人の生命と尊厳をないがしろにする大阪高裁

大津地裁とは正反対の決定
 以下に、大津地裁の決定と大阪高裁の決定を比較します。
【大津地栽】、【大阪高裁】は、それぞれ、大津地栽、大阪高裁の見解、
【コメント】は、作成者(木原)のコメントを示します。


1.福島第一原発事故への反省と新規制基準

【大津地栽】:「福島第一原発事故の原因を徹底的に究明できたとは言え
ないので、新規制基準はただちに安全性の根拠とはならない」とし、福島
事故後に作られた新規制基準でも「公共の安寧の基礎にはならない」と
断じた。
 すなわち、福島の事故を踏まえた規制基準や安全性を求めている。
また、災害が起こるたびに「想定を超える」災害と繰り返されてきた過ち
に真摯(しんし)に向き合うならば、「常に危険性を見落としている」
という立場に立つべきだとした。

【大阪高裁】:新規制基準は最新の科学的・技術的知見に基づいて策定さ
れており、福島事故の原因究明や教訓を踏まえていない不合理なものとは
言えない。また、原発に「絶対的安全性」を期待するのは相当でないとし
て、これまでの原発訴訟(例えば、昨年4月の福岡高裁宮崎支部の決定)
と同様に、新規制基準に適合しているかどうかを争点とした。

.. 2017年04月05日 08:14   No.1159008
++ 木原壯林 (高校生)…64回       
【コメント】:福島で溶け落ちた原子炉は、高放射線で、内部の様子は事
故から6年経った今でも分かっていない。したがって、福島第一原発事故
が大惨事に至った真の原因が究明されたとは言えない。
 現在「想定」されている事故原因(津波による電源喪失)が真の直接事
故原因とは異なるという指摘は多い。

 また、次の事故が福島の事故と同じ原因で起こるとは限らない。事故
原因が異なれば、重大事故を避けるための基準も異なる。
 一方、汚染水はたれ流され続け、汚染土壌をはぎ取ることはできても
除染する有効な方法はなく、使用済み核燃料の処理処分法もなく、地震の
発生時期や規模を予測することも不可能な状況が科学技術の現状であり、
最新の科学的・技術的知見でも原発の安全運転を保証するものではない。
すなわち、新規制基準は万全とは程遠いと言える。したがって、田中規制
委員長までもが、ことあるごとに「“新規制基準”は安全を保証するもの
ではない」と言わざるを得ないのである。
 それでも、大阪高裁は“新規制基準”を「安全基準」とみなし、この
「安全基準」に適合しているとして、高浜原発3.4号機の運転差止め仮
処分を取り消したのである。新規制基準に適合とされた原発は事故を起こ
さないとする「新安全神話」を作ろうとしている。

 大阪高裁は、原発に「絶対的安全性」を期待しなくても良いとした。
リスクはあっても、経済のためには原発を運転しても良いとする、人の命
と尊厳をないがしろにする考え方である。
 原発で重大事故が起これば、時間的・空間的に、他の事故とは比較にな
らない惨事となるので、原発は万一にも重大事故を起こしてはならない。
 したがって、絶対安全性(あるいはそれに近い安全性)が求められる
が、現代科学技術の水準、人為ミスの可能性、人の事故対応能力の限界な
どを考え合わせると、そのような安全性を確保することは不可能であるか
ら、原発を運転してはならないのである。
 福島第一原発事故以降の経験は、原発は無くても、人々の生活に何の
支障もないことを実証し、原発は経済的にも成り立たないことを明らかに
している。

.. 2017年04月05日 08:23   No.1159009
++ 木原壯林 (高校生)…65回       
2.基準地震動について

【大津地栽】:関電は基準地震動(下記コメント参照)について、高浜
原発周辺には、平均像を上回る地震の発生する地域性はないので、平均像
で良いと主張したが、住民側は、実際の観測記録は大きくばらついている
ので、少なくとも最大値をとるべきと主張した。大津地裁は、平均性を
裏付けるに足りる資料は見当たらず、関電の主張は採用できないとした。

【大阪高裁】:関電の主張する基準地震動が、規制委員会によって、新規
制基準適合とされているから、また、基準地震動の策定には合理性が検証
されている関係式などが用いられているので、過小であるとは言えない
とした。

【コメント】:基準地震動とは、原発の設計において基準とする地震動
(地震で発生する揺れ)で、原発周辺の活断層などによって大地震が起き
たとして、原発直下の最大の揺れを、地盤の状況を加味して見積もったも
のである。
 地震は地下深くで起こる現象であるから、地震の原因となる断層面を
観察することは困難であり、地震現象の形態は多様であるから、地震の
規模を理論的に推定することは難しい。
 そこで、基準地震動は、過去の(極めて限られた)観測地震データを
基に作られた経験式によって計算される。
 この計算式は、地震動の平均像(複数の要因を組み合わせて求めている
ので、平均値と呼ばず、平均像とする)を表現したものであるから、起こ
りうる地震動の最大値を示しているものではない、例えば、500ガルの
地震が4回、1500ガルの地震が1回起これば、平均値は700ガルである。
平均からずれた地震はいくらでもある。

 なお、阪神・淡路、東日本の大震災は地下16km、24kmの断層に起因して
発生しているが、このような深層断層は地震が起こって初めてわかるもの
で「未知の深層活断層」と呼ばれ、その様子は全く分かっていないので、
深層活断層を考慮した計算は不可能である。

.. 2017年04月05日 08:30   No.1159010
++ 木原壯林 (高校生)…66回       
3.電力会社の立証責任について

【大津地栽】:「新規制基準に合格したから安全」という関西電力(関
電)に対して、「福島事故後に、どう安全を強化したのか」を立証するよ
うに厳しく求めた。
 しかし、関電は、外部電源の詳細、基準地震動設定の根拠などを納得で
きるほど十分に証明せず、使用済み燃料ピットが安全であることを証明す
る十分な資料の提出もしなかった。過酷事故時の安全対策が十分である
証明もいい加減であった。したがって、関電による立証は不十分である
とした。

【大阪高裁】:関電は、新規制基準に適合とされたのであるから、原発の
安全性を立証しているとした。ここで、もし住民側が、新規制基準(大阪
高裁は安全性の基準と呼んでいる)自体が、現在の科学的・技術的知見に
照らして合理性を欠く、または、規制委の審査および判断が合理性を欠く
と考えるのなら、住民側でそのことを立証する必要があるとしている。

【コメント】:大阪高裁は、住民が“新規制基準”に不備があるとするの
であれば、それを住民側が立証すべきだとして、「立証能力が無ければ
泣き寝入りしろ」と言わんばかりの、裁判制度を根底から揺るがしかねな
い要求をしている。
 ところで、原発裁判のような高度の専門的知識を要する裁判では、一般
人が、議論のすべてに関する資料や根拠を調べて、裁判所に提出すること
は困難である。したがって、1992年の伊方原発裁判で最高裁は、被告であ
る政府や電力会社の側が、原発稼働を進めるにあたって、依拠した具体的
審査基準、調査審議および判断の過程等の全てを示し、政府や電力会社の
判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づいて主張、立証す
る必要があるとしている。

 また、政府や電力会社が主張、立証を尽くさない場合には、彼らの
判断に不合理な点があることが事実上認められたとすべきであると述べて
いる。

.. 2017年04月05日 08:38   No.1159011
++ 木原壯林 (高校生)…67回       
しかし、先にも述べたように、新規制基準は、福島第一原発事故の原因
も確定せず、事故炉の内部も分からず、汚染水や汚染土壌対策も十分とす
るには程遠く、使用済み核燃料の処理処分法もなく、地震の発生時期や
規模を予測することも不可能な状況下で作成されたものであり、どの角度
から見ても原発の安全運転にとって不十分であり、規制委員長も言うよう
に、科学技術的に安全を保証したものではない。
 それゆえに、安全安心に不安を持つ住民が、原発の運転差止めを求めて
いるのである。それ故、新規制基準に適合した原発を安全というのなら、
関電や政府は、伊方原発訴訟最高裁判決の要求に従って、新規制基準が
安全を保証するということを立証する責任を果たさなければならない。

4.原子力災害時の避難について

【大津地栽】:福島第一原発事故の影響が広域におよんでいることを考え
れば、自治体任せでなく、国主導で早急に避難計画を策定し、訓練を実施
することが必要であるとし、また、そのような基準を策定すべき信義則上
の義務が国家には発生しているとした。さらに、関電は、避難計画を
含んだ安全対策を講じるべきであるとした。

【大阪高裁】:新規制基準では、多重防護の考え方に基づいて第1層から
4層までの安全確保対策が講じられているから、炉心の著しい損傷を防止
する確実性は高度なものになっているとし、第5層(避難計画など)は、
重大事故は起こりえない原発で、放射性物質が周辺環境へ異常放出される
事態をあえて想定して、講じられる対策であるとしている。その上で、
第5層の対策は、電力会社だけでなく、国、地方公共団体が主体となって
適切に実施されるべきものであるから、新規制基準が避難計画などの原子
力災害対策を規制対象にしていないのは妥当であるとした。

【コメント】:大阪高裁は、新規制基準の下では、原発は事故を起こすは
ずがないという視点(すなわち、「新安全神話」)に立ち、不可能に近い
被曝なしでの避難、長期の避難生活の悲惨さについて議論することを避け
た。避難の問題を議論したら、原発の運転をできないことは、福島第一原
発事故やチェルノブイリの大惨事によって実証されているからである。
 

.. 2017年04月05日 08:45   No.1159012
++ 木原壯林 (高校生)…68回       
福島で6年、チェルノブイリで31年経った今でも避難者の大半が故郷を
失い、家族の絆を引き裂かれ、心労と悲観、病苦から多数の方が自ら命を
絶たれ、癌に侵され、発癌の不安にさいなまれていることを、大阪高裁は
どう考えているのであろうか。
 大阪高裁は決定の中で、避難計画などの原子力災害対策については未だ
改善の余地はあるが、取り組み姿勢や避難計画等の具体的内容は適切であ
り、不合理な点があるとは認められないとした。

 しかし、昨年8月27日に高浜原発から30km圏の住民179,400人を対象に
して行われた避難訓練は、最大規模と言われながら、参加者数は屋内退避
を含めて7,100人余りで、車両などでの避難に参加したのはわずか約1,250
人であった。それも県外への避難は約240人に留まった。この規模は、重
大事故時の避難の規模とはかけ離れた小ささである。
 車道などが使用不能になったことを想定して、陸上自衛隊の大型ヘリに
よる輸送訓練も予定されていたが、強風のため中止された。

 また、悪天候のため、船による訓練は全て中止された。老人ホームなど
への事故に関する電話連絡は行われたが、実際行動の必要はないとされた。
 なお、高浜原発から50km圏には、京都市、福知山市、高島市の多くの部
分が含まれ、100km圏には、京都府(人口約250万人)、滋賀県(人口約
140万人)のほぼ全域、大阪駅、神戸駅を含む大阪府、兵庫県のかなりの
部分が含まれる。
 このことと福島原発から約50km離れた飯舘村が全村避難であったことを
考え合わせれば、高浜原発で重大事故が起こったとき、数100万人が避難
対象となる可能性が大であり、避難は不可能であることは自明であるが、
避難訓練では、そのことが全く考えられていない。
 なお、この圏内には琵琶湖があり、1,450万人の飲用水の汚染も深刻な
問題である。

 さらに、避難訓練には、原発事故での避難は極めて長期に及ぶ(あるい
は永遠に帰還できない)という視点がない。福島第一原発およびチェルノ
ブイリ原発の事故では、今でも避難された10数万人の大半が故郷を失った
ままである。
 それでも、大阪高裁は、避難計画等の取り組み姿勢や具体的内容は適切
であるとしている。

.. 2017年04月05日 09:00   No.1159013
++ 木原壯林 (高校生)…69回       
大阪高裁で逆転されたからと言って、大津地裁の大英断を無駄にしてはな
りません。
重大事故が起こってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!
さらに大きな反原発のうねりを創出しましょう!
目先の経済的利益や便利さを、人が人間らしく生きる権利や事故の不安な
く生きる権利と引き換えにしてはなりません。

[追記]3月30日、広島地裁は、伊方原発運転差止め仮処分の申し立てを
退けた。昨年4月6日の福岡高裁宮崎支部、去る28日の大阪高裁の場合と
同様の理由によって、電力会社、政府の主張をそのまま追認したもので、
民意を踏み躙るものです。

.. 2017年04月05日 09:10   No.1159014


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