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日本の原発政策の愚かさを嘆く | 「原発御三家」の日立も三菱重工も原発に力コブ。前のめり | 安倍政権は原発プラントの輸出を | 武器輸出と並んでアベノミクス成長戦略の柱に └──── (経産省の元幹部官僚)
○「『ババ抜きゲーム』と化した世界の原発ビジネスで、日本がジョー カーを押しつけられている」と嘆く古賀茂明氏 欧米の有力企業が原発ビジネスから手を引く一方で、いまだ前のめりな 日本企業と安倍政権。
○ 『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産 業省元幹部官僚・古賀茂明氏は、そんな日本の原発政策の愚かさを嘆く。 * * * 東芝の経営がピンチだ。昨年12月27日、同社はアメリカでの原発ビジネ スで数千億円規模の損失が発生することを発表した。巨額減損の震源地と なったのは子会社のウェスチングハウス社(以下、WH社)が15年暮れに 買収したストーン&ウェブスター社(以下、S&W社)である。 S&W社はWH社が建設中の原発4基の土木建設工事を請け負っており、 東芝はWH社を通じてこのS&W社を買収した。不思議なことに買収額は 明らかになっていない。ゼロ円とする報道と270億円程度とする報道が あるが、いずれにしても、それほど大きな資産価値があったわけではない。 ところが、この会社をめぐって資産査定に大きなミスがあり、数千億円 の損失が出ることが今頃わかったのである。もちろん、これが本当なら今 期の決算でその損失を全額処理しなければならない。 (中略)
○ 安全基準の厳格化で、原発建設はいつ、どんなコストが生じるかわか らない、利幅が薄く、リスクも極めて高いビジネスになった。アメリカの GE、ドイツのシーメンスといった巨大企業が次々と原発ビジネスから撤 退しているのは、そのリスクを嫌ってのことだ。 だが、東芝は原発ビジネスに執着し、1度ならず2度も巨額損失を出 し、経営危機を招いてしまった。完全な判断ミスだ。ただ、原発ビジネス に前のめりなのは東芝だけではない。東芝とともに「原発御三家」と目さ れる日立、三菱重工も力コブを入れている。 日立はイギリスやリトアニアで、三菱重工はトルコで原発建設の受注に 乗り出し、三菱重工はフランス政府の要請で、実質的に経営破綻している 原発大手のアレバ社に巨額の出資までしようとしている。
○ そして、そんな日本企業を安倍政権は熱心にサポートしている。原発 プラントの輸出を、武器輸出と並んでアベノミクス成長戦略の柱にしてい るからだ。 欧米の有力企業が原発ビジネスから手を引く一方で、日本だけが官民一 体でさらに大きな賭(か)けに出ようとしている。その意味するところは 「ババ抜きゲーム」と化した世界の原発ビジネスで、日本がジョーカーを 押しつけられているということだ。 その愚に日本企業、そして安倍政権は早く気づかなくてはいけない。 (1月28日週刊プレイボーイNEWSより抜粋)
.. 2017年02月01日 09:37 No.1151001
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