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○ 前出の大島氏は、「これはまるで、40年前に食事をしたレストラン から、『食事代が不足していたので負担してください』と、請求書が届く ようなもの。そもそも政府は、『原発は安全だ』と言い続けていたはず」 と、その理不尽さを指摘する。
○ 経産省は、福島原発事故費用を電気料金に上乗せする負担額をこの “過去分”についてしか試算していない。しかもその額は「月平均で電気 料金が、わずか18円、年216円値上がりするだけ」という。 しかし、大島氏は、原発事故後、その事故処理費用で電気料金に上乗せ されているものがほかにもまだあるという。
○ 「廃炉・汚染水費用や核燃料汚染物質を貯蔵する費用などをあわせる と福島第一原発事故の処理分だけで、現在でも総額3,009億円、上乗せが 増える20年以降では5,640億円にのぼります。3人家族で平均的な電力使 用量の家庭で試算すると、現在、事故後から電気料金が1,689円の値上げ されている。20年以降はさらに今よりも少なくとも年間1,500円値上がり し、月額3,000円以上の上乗せになる」 と大島氏は試算する。 さらに、大島氏の試算によると、核燃料再処理費用や高速炉 「もんじゅ」の開発費用など原発全体にかかわる費用を合わせると、 現在でも4494円、20年以降は年間約6千円も電気料金に上乗せされること になる。 政府試算のごまかしは、上乗せ料金についてだけではない。
○ “過去分”の賠償費用を上乗せされるのが、託送料金であることに も、大きな問題があるという。消費者生活アドバイザーの大石美奈子氏 は、こう主張する。 「託送料金とは、電力を送配電することにかかる料金です。なのに まったく関係のない賠償費用がそこに上乗せされるのは問題です。事故処 理費用は、透明性が担保できる税金で徴収すべきでしょう」 税金なら上げるにしても国会の承認が必要だが、託送料金に上乗せする 場合は、電力会社や経産省の裁量だけで自由に額を決定できるという。 「最初は少しの値上げでも、原発事故の処理費用が増えた場合、あとか ら国民が知らないところでこっそり上乗せされ、気づいたら電気料金が驚 くほど上がる可能性もあります」(大石氏)
.. 2017年01月23日 09:03 No.1143010
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