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無職 杉岡広明 (仙台市青葉区)
東京電力福島第一原発事故で自主避難した少年が、避難先の横浜市や新 潟市の学校でいじめを受けていたという。強い怒りを覚える。横浜では、 原発事故の賠償金までゆすりの種にしていた。新潟では、教師が児童に 「菌」を付けて呼んでいた。これが教育現場かと開いた口がふさがらない。 恐ろしい原発災害に対して、教育現場はあまりにも無神経すぎる。被害 者に対する思いやりも同情のかけらもないのか。原発災害への大人社会の 認識の程度が垣間見える。 子どもは社会の鏡だ。子どもたちは親や教師を見て育つ。家庭や学校 は、子どもの物の見方をはぐくむ場ではないか。大人社会の偏見や物の見 方のゆがみは、子どもたち行動となって表れる。 教育現場は、必至になって耐え、生きようとしている子どもたちを、 しっかりと抱きしめなければならない。少年時代にいじめを体験した私 は、担任教師の真剣な励ましを今でも忘れない。 いじめの根本にある問題にどこまで迫ることができるか。教育現場、 そして大人社会の意識改革が求められている。いじめは絶対悪である。陰 湿ないじめから子どもたちを守ること、いじめっ子を目覚めさせるのは、 大人の責任である。 (12月21日朝刊4面「3・11後を生きる」−河北新報「声の 交差点」から)
.. 2016年12月28日 09:27 No.1140001
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