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■--原子力利権集団は消え去るべき
++ 山崎久隆 (社長)…643回          

政府と一体化し原発推進に走る「連合」は解散せよ
  └────  (たんぽぽ舎)

◆事故直後に脱原発を阻止する活動
 多くの加盟労働組合からの「上納金」と幹部の派遣で成り立つナショナ
ルセンター「連合」。基幹労働組合は自治労や日教組などの公務員労働組
合と私鉄総連やJR総連のような鉄道労組そして経団連のトップを出して
いるような大手のIT、重電メーカー、そして電力総連。このような巨大
労組が多く加盟する上部組織が「連合」だ。
 以前から、電力関連労働組合の連合体である電力総連が原発推進派であ
ることは周知の事実だった。福島第一原発事故直後の電力総連の行動は驚
くべきものだった。
 事故の影響でまだ15万人もの人々が避難生活を余儀なくされている時に、
民主党議員に対し、脱原発政策に反対する組織的陳情活動を行った。ある
議員は「脱原発に方向転換されては、従業員の生活が困ると陳情を受け
た」と朝日新聞に語った。民主党が当時も今も原発政策に灰色の方針をと
り続けているのは電力総連が金も人も握っているからだ。
 原発事故で大量に被曝した組合員の命や生活、被災者の命や生活より
も何が大事だというのだろう。

◆新潟県知事選挙でも

 「連合」が新潟県知事選挙で自民、公明が推薦する森民夫候補を支持し
たとの報道に接し、もはやこの団体の存在意義は消滅し、今後は国や原子
力ムラと一体となって脱原発を目指す自治体や運動に対して敵対行動を取
ることが明確になったと判断するほかないと考える。
 労働組合の存在を否定してはならないが、ナショナルセンターとして数
多くの労働組合の上部団体として君臨し、貴重な組合費を使ってやってい
ることが、労働者を搾取し労働安全をないがしろにし、さらに加えて住民
の命や生産活動まで奪いかねない現政権の支持と原発推進を行う、などと
いうのでは、そもそも不当な存在でしかないことは明らかである。
 「連合」も官公労組合(自治労や高教組)が力を持っていた時代は、ま
だそこまで酷くはなかった。しかしいまや「身も心も」堕落してしまった
と言わざるを得ない。心ある組合は脱退するべきである。

.. 2016年10月31日 08:13   No.1115001

++ 山崎久隆 (社長)…644回       
◆労働組合の体をなさない

 賃金要求闘争も長年にわたり経営側に敗北を続けてきたあげくに、安倍
首相の「鶴の一声」で賃上げがいわば「実現」してしまい、官製春闘が
「連合」の立場を喪失させた。一体今まで何をしてきたのか。組合員から
素朴に非難をされることになった。言い換えれば「労働組合です」などと、
恥ずかしくて人前に出られない体たらくということだ。
 「同一労働同一賃金」は、組合のメインのスローガンだったが政府の政
策目標にされてしまった。いうまでもなく言葉は同じでも目指すべき地平、
内容は異なるのだが、ここでも労働組合の存在意義が疑われる事態になっ
たことは事実だ。
 もはや労組組織率(2015年で17.4%)が喫煙率(2013年で21.6%)よりも
はるかに低い現状では、高い組合費を払うイミを理解できない若年労働者
が大勢現れても仕方が無い。
 そんな地盤沈下の中での、新潟県知事選挙における与党候補応援さらに
は原発再稼動推進の姿勢を見せつけられては、「連合」の存在そのものが
市民の安全にとって有害であると言うほかない。
 米山隆一氏の支援をしなかった連合と、その連合から票や資金の支援を
受けている民進党が、あろうことか自主投票にしてしまった後に、それを
押して独自に米山候補の応援に立った蓮舫代表の勇気は高く評価したい。
 このあと連合から、あるいは利権を共有する民進党議員から横やりが入
るだろうが、負けずに脱原発の政策を高く打ち出すことを期待したい。そ
うでなければ民進党を責任のある野党、そして政権運営の可能な政党へと
進化させることはできない。

◆連合ではなく他のナショナルセンターを

 「連合」の他にもナショナルセンターとしては「全労連」と「全労協」
という団体が存在する。大きさはかなり違うが、連合よりもまともな労働
運動を展開する集まりだ。未組織労働者の組織化、派遣労働者等の権利擁
護は、労働組合の重要課題である。「連合は要らない」と主張しても「労
組無用論」を唱えているわけではないことを付け加える。


.. 2016年10月31日 08:19   No.1115002
++ 堀内美鈴 (中学生)…31回       
伊方原発(愛媛県)の地盤がとんでもなく危険
 |  小松正幸(愛媛大学名誉教授)さんの講演
 └──── (伊方原発をとめる会)

「伊方原発をとめる会」のHPにも報告がありますので、
併せてご覧ください。 こちら

【記念講演】
「伊予灘中央構造線の再検討」愛媛大学名誉教授 小松正幸
小松講演は新たな知見示す(第6回定期総会で)

○ 10月9日、「伊方原発をとめる会」は第6回定期総会を開催し120名
が参加しました。冒頭、草薙順一事務局長は、伊方原発3号機が再稼働さ
れたことは、まさに国民にとって「侮辱」であるとし、原発廃炉のために
運動を展開すると挨拶しました。

○ 記念講演では、小松正幸さん(愛媛大学名誉教授、元愛媛大学学長)
が講演しました。小松さんは、別府湾での多くの機関による綿密な調査、
海上保安庁水路部や四国電力の規制委員会への提出資料を活用して、伊予
灘で地震を起こすポテンシャルをもっているのは、沖合の中央構造線活断
層帯ではなく、沿岸すれすれに佐田岬半島から九州にかけての存在する中
央構造線本体であること、この中央構造線が活動を繰り返していること、
さらに、今度の熊本地震の考察から、四国から九州一帯の中央構造線およ
び関連する大分−熊本構造線は新たな活動期に入ったと語りました。

○ すなわち、伊予灘においては、5〜300万年前、右横ずれ正断層に
よって形成されたハーフグラーベン(半地溝:ずれ落ちることによる非対
称な溝の形成)に厚い堆積層(下部層)が形成され、その後、圧縮応力場
で下部層は褶曲し、逆断層が形成された時期がある。
 その後現在に至るまで、斜め圧縮場の横すべり断層運動によって、高角
度の横滑り断層が伊予灘沿岸部に形成されているのではないか。
 このことは別府−島原地溝(ハーフグラーベン)の南縁に今回地震を起
こした高角の布田川断層(大分−熊本構造線)が形成されたことと軌を一
にするもので、伊予灘沿岸すれすれに高角の横ずれ断層が形成されている
とすれば、この断層によって起こる地震はまさに直下型であり、その被害
は甚大であろう。

○ 最近の研究によって、この一連の運動は、南海トラフに沈み込むフィ
リピン海プレートの沈み込み方向や速度が時代によって場所によって変化
しているためであることが分かっている。
 したがって、佐田岬半島沿岸周辺の詳細な探査を行い、高角断層の有無
を確認することは必須であり、これなくして再稼働はあり得ない、と強調
しました。
 すでに、小松さんたちは、今年6月、原子力規制委員会に対し「佐田岬
半島の地球物理学的調査」を要請しています。
 さらに9月の日本地質学会学術大会で、「伊予灘ー別府湾地域の中央構
造線の位置と第四紀テクトニクス、および伊方原発周辺の地震ポテンシャ
ル」と題した講演を行い、多くの専門家の賛同を得たとのことです。


.. 2016年10月31日 08:47   No.1115003
++ 山崎久隆 (社長)…645回       
.「もんじゅ」稼働に執念を燃やす 文科省から核を取り上げよ
 |  高純度プルトニウムが欲しい=核兵器が作れる
 └──── (たんぽぽ舎)

 日経新聞の10月26日付け記事に「もんじゅ試験運転、規制委員長「あり
得ない」 文科省案巡り」と驚きの記事が掲載された。具体的には次の通
りだ。
 『原子力規制委員会の田中俊一委員長は26日の記者会見で、廃炉の検討
が進む高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)について、運転の期間や
出力にかかわらず例外的な再稼働は認めない考えを示した。文部科学省が
検討する短期間の試験運転を否定した形。
 田中氏は再稼働の前提となる新規制基準に合格せずに運転するのは「あ
り得ない」とした。』さすがに田中委員長もひっくり返るほど驚いたこと
だろう。このレベルが「もんじゅ」とそれを監督する文科省のレベルなの
だから。
 文科省は、短期運転ならば新規制基準の適合性審査を受けなくても良い
だろうと、違法運転を画策しているようである。こんな案を考えている
だけで「原子炉等規制法違反容疑」で運転許可どころか、設置許可まで
遡って取り消すべき存在だ。
 原子炉に燃料を入れ始めた瞬間に、炉は法の規制を受ける。臨界になら
なくても冷却能力を維持できる信頼性がなければ、燃料装荷は認められな
い。文科省官僚の、ど素人以下の発想は、一体どこから来るのか訳が分か
らない。
 世界最高水準の「安全性」ではなく「危険性」を持つのが「もんじゅ」
という原子炉なのだ。仮にも動かすとなれば、軽水炉(一般の原発)より
遙かに高い安全性を、設備と人材を通じて確保しなければならない。それ
が出来ないから規制側も認可できずにいる。
 この原子炉、最悪の場合は「核爆発」さえ起こりえるが、文科省の「
ちょっとだけなら動かしても」との主張は、そんな発想をしたもの全てを
直ちに現職から外すべきレベルの話だ。
 あり得るのは唯一、なんとか照射済みブランケット燃料体を作り出し、
その後にRETFリサイクル機器試験施設を「再処理できる燃料が存在す
る」として建設し、そこから純度99%のプルトニウム239を抽出したい
との野望があるからだろう。
 これこそが小型原爆や水爆の起爆装置を作るために不可欠な「材料」だ
からである。


.. 2016年10月31日 09:43   No.1115004
++ 内田 智 (幼稚園生)…2回       
伊方原発3号機は再稼働された ならば、次の一歩を踏み出そう
 |  10月23日第30回伊方集会に参加しました
 └────  (宮崎県)

◯10月23日、30回めの伊方集会が開催された。参加者は、運転差止仮処分を申し立てている広島を始め、大分、大阪、神戸、…各地から約100名が集まった。今年の集会では、再稼働阻止の運動の勢いを引き継ぎ、新たな局面が見えた。
◯午前は、伊方町にてポスティング。チラシに描かれていたのは、伊方原発が建設された地の社に祀られていた龍神。チラシに綴られていたのは、『何度動かしても、何度でもとめる』覚悟と『原発はとめられる』希望。
◯私たちのグループがポスティングした伊方町九町は、伊方原発から国道を挟んで佐田岬の反対側約1.5kmに位置する。海に面した急傾斜な土地に家屋が密集する。大きな地震があれば地面も家も崩れるかもしれない。海沿いの道路は津波にさらされるだろう。避難の道は、伊方原発に近い国道へ向かう坂道である。
◯午後には八幡浜市民会館で伊方集会。11名のスピーチの後にディスカッションと決議文の採択が行われた。その中の1つを取り上げたい。
◯八幡浜市新町のアーケード街のど真ん中に、現地闘争拠点を準備中である。
 名付けて「まちづくりネットワーク八幡浜〜原発なしでくらしたい〜」。
 そこでは、伊方原発来訪者の受入、現地行動準備、「伊方の家」に集積された資料の継承等が予定されている。前日の22日には、プレ企画、映画「シロウオ」の上映会が開催された。
◯伊方原発に闘いをいどむ新たな運動が、その一歩を踏み出す。
     (支援する個人、団体を募集中とのこと)


.. 2016年10月31日 09:56   No.1115005
++ 冨塚元夫 (大学院生)…109回       
原発事故被害者の無償住宅支援を継続せよ
 |  年1ミリシーベルトを満たすまで賠償や支援を継続すべき
 |  10/26「原発被害者の救済を求める請願署名提出集会」に参加
 └──── (たんぽぽ舎ボランティア)
  
10月26日参院議員会館講堂で開かれた「原発被害者の救済を求める全国運
動 請願署名提出集会」に参加しました。
−自主避難者は追い詰められています。もっと大きな支援が必要です。

請願署名の内容は、以下の通りです。

1.原発事故被害者の無償住宅支援の継続を求める
2.住民の意向を無視した、早期の避難指示区域の解除と賠償の打ち切り
方針の撤回を求める。最低限、国際的な勧告に基づく公衆の被ばく限度で
ある年1ミリシーベルトを満たすまで賠償や支援を継続すべきです。
3.福島県内外における検診の充実・拡大と医療費の減免を求める。

 180名が参加、193,197筆の請願署名を国会に提出しました。自主避難者
の住宅無償供与打ち切りまで5か月、大半の避難者の皆さんが4月以降決
まっていないということで、今支援が打ち切られてしまうと、路頭に迷っ
てしまう、あるいは経済的な理由から困窮してしまう状況の下で開かれた
ものです。
 この全国運動は2013年9月に発足し、この日第三期署名運動のしめくく
りです。
第一期と第二期を加えると約50万の署名を提出ています。

 パルシステムが今回も集会企画を担当しました。多くの都道府県で独自
支援策を講じていますが現段階においても政府・福島県は原発事故による
被ばくを矮小化、帰還を推進し賠償、住宅無償供与を打ち切る方針を変え
ていません。
 災害救助法延長の判断可否は福島県がおこなう事としている事から、国
策に原発が事故をおこし被害をもたらしたにもかかわらず、国は傍観者と
なり、各都道府県に対応を丸投げしている構図ができあがっている。
 今日も各地の避難者が自ら都道府県や市町村と粘り強く「話し合い」を
おこない公営住宅の優先枠を確保するなどの支援策を獲得しています。
 しかし、収入及び世帯要件が設けられ、新潟県など一部の県を除いて家
賃支援などはなく、都道府県の範囲では限界があり、大半の避難者の困難
は解決されないのです。
 今回の集会は多くの国会議員に「おかれている避難者の困難」を共有し、
本気の行動を促し、以下の行動を求めました。
 イ.2017年3月末に予定している「自主避難者への住宅無償供与打ち切
り」を延期すること ロ.収入、世帯要件も設けず希望する避難者に、当面、
現在の住宅に住み続けられるよう働きかけること ハ.原発事故避難者を
「特定入居」の対象とすること 


.. 2016年11月01日 08:13   No.1115006
++ 冨塚元夫 (大学院生)…110回       
 全国各地で被害者自らが行政に交渉しています。具体的な行動に移す事、
自らが住む地域での避難者の困難と孤立化と向きあい可能な事を行動して
いく事、国への働きかけを強める事が必要です。
 「避難の協同センター」も避難当事者の声を聞きに出向き個々の問題解
決に向けて行動していく事、聞いた声を都道府県、国会議員に伝えていく
事を続けています。

各地からの報告がありました。

○北海道から宍戸隆子さん:子どもがもう転校したくないと言っている。
生活困窮者ほど 雇用促進住宅に残れない。札幌市議会、自主避難者の
住宅支援独自請願、全会一致で可決。北海道議会も可決された。避難先
の行政から優しい言葉をかけられて感動した。どうして同じことが国や
福島県はできないのか。

○埼玉県から河井かおりさん(母子家庭になってしまったお母さんの話)
:避難先自治体ではなく、東電、福島県、国に住宅の補償をしてほしい。
これ以上、私たちから奪うことをやめてもらいたい。

○東京からは熊本美弥子さん:「行政の把握する」福島からの自主避難
787世帯。公営住宅の入居要件に合致せず応募さえできない世帯が過半数
を超えている。東京都から1日に5世帯しか引っ越しできないだからあ
なたは12月中にでて行けと言われた人がいる。住宅支援打ち切り福島県が
決めたことで、私たちは崖っぷちに立たされている。

○大阪から森松明希子さん:私達は被害者として「避難を続けたい」と声
を上げている。避難生活の時期は私たちが決める。加害者でなく被害者で
ある避難者自身が決める。

○福島県から大河原さきさん:避難区域解除帰還政策で自主的避難者とな
る福島県内外の被害者も仮設退去を迫られる。居座れば訴訟に、避難先だ
け家賃補助をするのは公平性が担保できないと福島県に言われている

○甲状腺基金から武藤類子さん:福島県では甲状腺がん検診「検診による
健康被害リスク」「検診を受けない権利」をあげ、縮小へ向かう。東京電
力原発事故から5年7ヶ月が経過した。福島県での増加を原発事故との関
連は考えにくとした考え方のまま無きものとされていこうとする各種健康
被害について。福島県内で囁かれる健康被害。家族であっても話せない環
境、甲状腺基金で具体的な医療支援をおこなう。

○「避難の権利」を求める全国避難者の会長谷川克己さん:原発事故を無
かったと被曝など無かったとにしたいかのような政策を国が強いる。「原
発事故被害者の存在」は消えてもらいたいのだろう。日本のすべての大人
が考えるべき問題である。力を貸して欲しい


.. 2016年11月01日 08:24   No.1115007
++ 斉藤海三郎 (幼稚園生)…1回       
北海道電力泊発電所(泊原発)敷地内の「活断層」
 |  新規制基準適合性審査における原子力規制委員会と
 |  学会の役割を問う
 └──── 小野 有五 (北星学園大学)・
       斉藤海三郎(「行動する市民科学者の会・北海道」)

  *「日本活断層学会」HP-『日本活断層学会2016年度
                秋期学術大会講演予稿集』より引用

1.はじめに

 北海道電力泊発電所(以下、泊原発と略称で呼ぶ)は、北海道西部、積
丹半島の基部に位置し、海成段丘(注1)を掘削した敷地に1〜3号機の3
つの原子炉が建設されている。
 北海道電力(北電)は3号機の再稼動を目指しており、原子力規制委
員会の「新規制基準適合性に係る審査」では、2013年7月以来、2016年8
月まで、活断層など泊原発へのリスクとなる自然現象についての審査会合
が計50回、非公開のヒアリングは計71回、行われてきた。

 審査会合については、当日の議事内容、北電が提示したパワーポイント
などの資料のほか、会議の内容もYouTubeで公開されており、一般市民も見
ることができる(ヒアリングは議事録要旨とパワーポイント資料のみ公開)。
 演者らは、インターネット上に公開されたこれらの資料を分析してき
た。北電は、泊原発敷地内にあるF-1断層が、「岩内(いわない)層」を
変位させていることを認めているが、北電は、「岩内層」のFT
年代(注2)は120万年前であり、前期〜中期更新世(注3)の地層なので、
F-1断層は活断層とは認められないと主張してきた。

 しかし、北電の資料を詳細に検討すると、北電の主張する「岩内層」の
年代には科学的な根拠がないことが明らかになった。
 また、北電が提示した敷地内のトレンチ断面の写真では、海成段丘面を
つくるはずの厚い海成層を段丘堆積物と認めていないなど基本的な誤りも
見受けられる。

 これらの問題点が明らかになったので、演者らは岩内平野での現地調査
を実施した。本報告では、そこで得られた知見をもとに、北電の主張して
きた泊原発敷地内の「岩内層」は、前期〜中期更新世の地層ではなく、
約33万年前のMIS9、約35万年前のMIS10に相当する地層である可能
性がもっとも高いことを述べる。これによれば、F-1断層は、明確に40
万年前より新しい地層を変位させていることになり、3.11以降の新規制基
準に基づけば「将来活動する可能性のある断層等 」となる。
なお、調査費の一部に高木仁三郎基金の助成金を使わせていただいた。


.. 2016年11月02日 08:12   No.1115008
++ 斉藤海三郎 (幼稚園生)…2回       
2.北電による「岩内層」の年代決定への疑問

 3.11の東日本大地震と津波による福島第一原発の過酷事故への対応を迫
られた政府は、原発を有する電力会社から、「地震・津波に関する意見聴
取」を行った。
 北電が「岩内層」の年代について初めて言及したのは、平成24(2012)年
7月17日に開催された第19回の会合においてであった。「参考 岩内層に
ついて」というパワーポイントが1枚だけ示され、そこには、「岩内層は、
岩内平野に分布し、砂・礫等からなり、砂礫は葉理がよく発達する。本層
は、岩内平野において丘陵背面を形成し、丘陵斜面が洞爺火砕流堆積物に
不整合で覆われている。本層の形成年代に関しては、砂層中の凝灰岩を対
象としたフィッション・トラック法年代測定値1.2Maプラスマイナス0.2
Ma(注4)が得られている。これらのことから、本層の形成年代は前期〜
中期更新世と判断される」と書かれ、岩内台地での露頭写真と、その拡大
写真が1枚ずつ示されている。

 しかし試料測定地点や測定層位も示されておらず、拡大写真も不明確
で、「砂層中の凝灰岩」が写されているのかどうかも明らかにされておら
ず、測定試料の詳細は不明である。
 2013年からは泊原発3号機の再稼動をめざす審査が始まり、北電は、
毎回、100枚を越えるような多数のパワーポイント資料を提示しているが、
「岩内層」の年代に関する詳しい資料がそこで提示されたことはない。測
定地点や測定層位など基本的データすら現在に至るまでまったく公表され
ないままである。それだけでも、科学的な年代測定とはいえないが、より
根本的な問題は、北電が、「岩内砂層」中の「凝灰岩」の年代を測って、
それをそのまま「岩内層」の年代としていることであろう。

 砂層のなかに取り込まれた外来礫としての「凝灰岩」の年代を測定して
も、それがそのまま砂層の堆積年代にならないことは明らかである。
 まずこの点からして、北電の主張する「岩内層」の年代なるものは地球
科学的に疑問である。


.. 2016年11月02日 08:22   No.1115009
++ 斉藤海三郎 (幼稚園生)…3回       
3.地形面を無視した北電の「岩内層」の対比

 次に問題なのは、北電が年代測定をしたとする岩内台地の「岩内層」の
位置づけである。岩内台地は、リヤムナイ台地とも呼ばれ、岩内町市街地
の背後に広がる標高25〜30m程度の平坦な台地であるが、すでに渡辺(真
人)ほか(1990)、赤松ほか(1992)はこれを最終間氷期の海成段丘面とし、
それを構成する砂層である「岩内層」は、MIS5eに相当する海成層と
推定している。また、日本全国の海成段丘面を分類、地図化した小池・
町田(2001)も、これをMIS5eの海成段丘面に分類している。

 しかし北電は、今日に至るまで、前2者の論文は参照すらせず、小池・
町田(2001)を否定する科学的根拠も示せていない。
 演者らの調査結果からいえば、北電が「岩内層」と一括してきた地層は、
場所によって、堆積年代のまったく異なる、更新世の複数の海進の堆積物
であると考えるべきことが明らかになった。
 すなわち、岩内台地では、前述したように、それは約12.5万年前のMI
S5eの海進に対応する砂層であり、泊原発敷地内では、MIS9の海成
段丘面を構成する海成の砂層と、その基底礫層(MIS10に相当する地
層)と考えられる。

 したがって、泊原発敷地内でF−1断層が変位させているのは、明らか
に40万年より新しい地層であり、「後期更新世の地形・堆積物がなく、後
期更新世以降の活動を判断できない場合」の基準に照らせば、F−1断層
は、明らかに「将来活動する可能性のある断層等」となる。

4.原子力規制委員会と学会に望むこと

 以上述べたように、北電が原子力規制委員会の審査で主張していること
には重大な誤りがある。
 これは、たんに敷地内の「活断層」の問題にとどまらず、積丹半島周辺
の地殻変動の解釈に関わる問題であり、看過することはできない。

 原子力規制委員会がこうした明らかな誤りを見抜けなかったのは、規制
委員会に、海成段丘やその地層を判断できる専門家がいないためであろう。
 また、たとえ専門家がいたとしても、実際に現地を歩いていないと、電
力会社が自らに都合よくまとめあげた資料の問題点を見抜けない可能性も
高い。このような場合には、やはり、多様な専門家を有する学会がその不
足を補うべきであろう。
 日本活断層学会のような学会は、研究成果を積極的に提供するだけでな
く、規制委員会に対し問題点を指摘して、より科学的な審査を要求すべき
であろう。

 規制委員会もまた、積極的に外部から知見を取り入れる努力をして、科
学的に意味のある適合性審査を行っていただきたいと望むものである。

※「事故情報編集部」より、文中に4つの(注)を追加しました。
 ご参考になれば幸いです。

注1:「海成段丘」 (コトバンクより)
世界大百科事典内の海成段丘の言及【海岸段丘】より
…過去の海面に対応して形成され,海岸付近に分布する階段状の台地(段
丘)地形で,段丘崖とその前面の平たんな台地面(段丘面)の組合せからな
る。
 海の作用によって形成された段丘であることを強調して,海成段丘
marine terrace ということも多い。それらの地形は,かつて海面近くに
あって,おもに波浪の浸食作用によって形成された海食崖と海食台が,そ
の後陸地の隆起または海面の低下により離水して陸上に保存されているも
のである。…

.. 2016年11月02日 08:32   No.1115010


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