|
◆「福島」が生んだ本当の危機とは もんじゅ 投入1.2兆円…高速増殖炉固執
一昔前なら、数カ月は大々的に報道されそうな「破綻」が続く。だが、 徹底解剖される間もなく、次の破綻が起き、灰色の弥縫(びほう)策で誰が 責任を取ることもなく、忘れられていく…。そうした日常が繰り返されて いる。無責任は「何をやっても痛い目に遭わない」のでモラルの崩壊を引 き起こす。この国の社会が直面する最大の危機は、この無責任の連鎖では ないか。弾みをつけたのは福島原発事故だ。 政策破綻の典型は、かねて無理が指摘されてきた国立研究開発法人・日 本原子力研究機構(原子力機構)の高速増殖原型炉「もんじゅ」だ。「夢 の原子炉」をうたい、1994年に運転を始めたが、翌95年にナトリウム漏れ の火災事故が発生。その後もトラブルは続き、稼働できたのは250日だけ。 廃炉の方向で調整が始まった。 かかった費用は、関連施設も含めると1兆2千億円。原子力機構の試算 では、廃炉にも30年間で3千億円の費用がかかる。 ちなみに3〜5歳児が通う幼稚園や保育所をすべて無償にした場合、そ れに必要な費用は年約7400億円で、もんじゅの費用は2年間無償にできる 計算だ。 当然、責任問題が問われる。ところが原子力機構の児玉敏雄理事長は もんじゅの主要機器を設計、製造した三菱重工業の出身。そもそもが「利 益相反」の疑いを持つ。さらに規制する立場である原子力規制委員会の田 中俊一委員長も、原子力機構の前身の日本原子力研究所副理事長だ。 (中略) 無謀な実験に失敗したのは、日銀も同じだ。 (後略) (10月21日26面「こちら特報部」より抜粋)
.. 2016年10月25日 08:54 No.1114002
|