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■--.「新規制基準」は絶対に
++ 木村雅英 (課長)…168回          

「世界最高水準」ではない!
 |  民進党代表選候補者よ、規制委員会に騙されるな!
 |  原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その111
 └──── (再稼働阻止全国ネットワーク)

◎ 民進党代表選挙の候補者3人の話を聞いて驚いた。
 蓮舫さんも前原さんも「世界最高水準の基準に合格した原発は再稼働」
 と言ったのだ。
  2030年代原発ゼロ(党の方針)、避難計画ができなければ再稼働でき
 ない、と言いながらも、原子力規制委員会が作った「新規制基準」を
 「世界最高水準」と言うとは情けない。
  原子力規制委員会を国会承認できなかったことも、その後の規制委の
 ひどさも知らないのか?
  連合(日本労働組合総連合会)の票を意識して安倍政権と同じく「世界
 最高水準」と言うなんて!

◎ このシリーズ「原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!」で
 何度も取り上げてきたように、日本の「新規制基準」は「世界最低水準」
 ではないかと私は考えている。
 その証を思いつくまま以下に羅列する。

○米国で2011年3月時点で対応済みであるのに「新規制基準」で義務付けられていない項目が15個もあり、「新規制基準」は世界の水準に追いつくどころか引き離されている。

○原子力マフィアの組織IAEAでさえ必要とする深層防護の第5層「防災」について、日本の規制委員会が全く評価しない。
 米原子力規制委員会前委員長グレゴリー・ヤツコ氏が泉田新潟県知事と対談をして、「避難計画が不十分なら、米国では原子力規制委が原発停止を指示するだろう」と指摘した。

○EUで義務付けられている「ストレステスト」(2015.4.30送信【TMM:No2473】その46に掲載)も、「コアキャッチャー」(2014.7.8送信【TMM:No2219】その10に掲載)も日本では不要。

○もっかい事故調が「日本の原子力安全を評価する」ともろもろの問題点があり、5点満点で1.7点で。

○中国はいま、原子炉を2重の頑丈な壁をもつ格納容器の中に収め、万一のコアメルトダウン対策に「コアキャッチャー」を装備した、世界最先端の原発を建設中だ。

○安全目標が定められていない(「新規制基準」策定委員)

○基準地震動が過少で耐震対策が全く不十分。……

◎ それにしても、3人の立候補者は、民主党前衆議院議員川内博史さんの
 「アベノクライシス〜そこまでして原発続けますか?」(竹書房新書)を
 読んでいないのだろうか?
  新規制基準は「ものすごく単純化すれば」次の3つの条件をクリアさ
 れればよいことになる、と書いてあるのに。
 第1:性能のいい電源車を買いなさい
 第2:性能のいい(注水)ポンプを買いなさい
 第3:性能のいい(水素ガスを逃すための穴をあける)ドリルを買いなさい
 あとは、免震重要棟とフィルター付ベントはこれからやる方針を打ち出せ
 ばいいだけ。
  すなわち、「新規制基準」は「電源車とポンプとドリルを買えばいい
 だけ」なのだ。
  それにしても、「世界最高水準」は誰にも言わせたくない。

.. 2016年09月08日 08:16   No.1094001

++ 菊川慶子 (幼稚園生)…2回       
書籍の紹介
 |  未来の子どもたちに、放射能でなく、希望を
 |  『六ケ所村 ふるさとを吹く風』
 |   影書房刊
 └──── 

−帯より−

 【はじめて機動隊と対峙したときには足がふるえました】
 「故郷を放射能で汚染されたくない」と、家族と六ケ所村へUターン。
 有機無農薬のチューリップやルバーブで生計を立てつつ「核燃に頼ら
 ない自立した村づくり」にチャレンジ。
 本当に豊かで持続可能な未来へのヒントは、ここにある!

 放射能汚染のない世界を望む皆さんの努力は、
 いつかきっと実現します。
 「ハチドリのひとしずく」のように、
 ささやかでもいまできることを続けていくこと。
 あきらめないで進み続ける一歩が、
 きっと新しい世界につながります。
 その日が一日でも早く訪れることを願いつつ。−本文より

−目次より−
 プロローグ
 1 ふるさと六ケ所村/離郷
 2 チェルノブイリ/帰郷
 3 運動経験−仲間たちと
 4 運動と家族と
 5 出会い−しなやかに抵抗する人々
 6 『六ケ所村ラプソディー』旋風
 7 「牛小舎」春秋
 8 再処理工場、稼働
 エピローグ−未来へ

 菊川慶子さん:「花とハーブの里」代表
 B6判 243頁 発行:影書房 定価:1700円+税
 ※たんぽぽ舎でも扱っています。


.. 2016年09月08日 08:23   No.1094002
++ 木村雅英 (課長)…169回       
9/7九州電力東京支社への申し入れ報告
 |  「三反園知事の要請に答えろ」に反論できない九州電力
 └──── (再稼働阻止全国ネットワーク事務局)

 9月7日(水)16時30分に、柳田さん、山田(純)さん、武笠さん、シャワリンさん、木村の5人で、電気ビルディング7階の九電東京支社応接室に入り、業務推進グループの藤本リーダ他1名と面会した。
 まず、再稼働阻止全国ネットワークの申入書「川内原発1、2号機の即座の稼働停止、申入れ書」を、続いて反原発議員・市民連盟の申入書「鹿児島県民に脱原発の意志を受け止めて川内原発を止めてください。」を読み上げて提出した。
いつもの様に九電社内で申入書を掲示することを確認。

 続いて、2つの申入書の補足説明しながら質疑応答に入り、約45分間話し合った。
 まず、九電が、鹿児島県知事と薩摩川内市長の再稼働容認を「地元同意」としていて、三反園鹿児島県知事が川内原発の即時停止を要請しており「地元同意」(のひとつ)が無くなったのだから、直ちに川内原発を止めるべきではないか、先月には三反園鹿児島県新知事の要請に対しては“きちっと対応”すると言っていたではないか、と責めた。
 九電の藤本さんは、再稼働前に知事が同意した、原発は急には止められない、今、川内を止めると電力不足が起こり他電力会社から購入が必要、などと言い訳した。
 私たちは、避難が出来ない、避難計画は絵に描いた餅、周辺自治体も住民も納得していない、免震重要棟もできていない、熊本大地震が続いている、基準地震動の過小評価、フランスの規制当局が発見した圧力容器の強度不足問題発生などなどを指摘した。
 前月は川内原発の稼働について「絶好調です!」と元気に答えていた藤本さんは、「川内停止は最終的には経営判断です」と逃げた。彼も内心ちょっとまずいなと感じている様であった。

 なお、次のことも確認できた。

○免震重要棟について
 川内原発の撤回を規制委が認めず次回以降の審査会合に持ち越した。先月は玄海原発についてほぼ規制委の了解を得たと答えた藤本さんも、更田委員長代理がまずいと言い出し今は川内も玄海も了解されていないそうだ。(私たちの規制庁院内交渉では担当がまだ審査中と逃げていた。免震棟が今年3月に出来ていないとといけなかったことを糾弾した成果か?)

○圧力容器の検査について
 藤本さんは、停止して圧力容器を中から炭素濃度を調査することを想定していたが、南日本新聞の記事によれば九電は書類や聞き取り調査で炭素濃度を調べる方針。本当にこれで調べられるのか怪しい。

○メディアへの不満表明
 藤本さんは、何か故障など事故があるとメディアが大きく報道するが、調査して問題無かったと九電が発表してもメディアは報道してくれない、とメディアへ不満を述べた。
 まるで、冤罪報道された被疑者のような発言だが、こちらからはそれは多くの「国民」の電力会社への不信感があるから、と逆襲した。

○九電の原子力規制委員会訪問
 この日、いつもの「原子力規制委員会毎水曜昼休み抗議行動」をしている時に藤本さんが通りがかったので、何しに行ったかと尋ねたところ、三反園県知事要請への対応を報告したと答えた。三反園知事が7日午前に川内原発の即時一時停止を再要請したことを後で知ったが、多分これへの対応を相談しに行ったのであろう。


.. 2016年09月09日 08:01   No.1094003
++ 松岡チカヨ (幼稚園生)…2回       
新潟日報さんに望む
 └──── (横浜金沢区)

「ジャーナリズムはとっくに死んどるよ〜」
むのたけじさんの声が今日も響く。

 大昔、王さまは美しいバテシバを見つめ続け、大罪を犯した。
 どうか札束を見つめず、偉大な先輩が残した数々の珠玉のような言葉を反芻し、
 厳しくもやさしい笑顔を見上げ、人間として、社会人として、後輩ジャーナ
 リストの誇りを胸に、ペンを執って頂きたい。
 正しく生きる姿は美しく、感動がある。
 むのたけじさんの遺産を大切に、みんなで受け継いでゆきたいと切望する。
 泉田知事の不出馬を受けて。

 命張る 価値ある仕事 この選挙  九愛(柳名)


.. 2016年09月09日 08:17   No.1094004
++ 柳田 真 (課長)…162回       
.「原発電気は高い」…と白状、電力会社と政府(経産省)
 |  「廃炉費を新電力も負担」案の本音
 |  電気料金に上乗せの悪質さ
 └──── (たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワーク)

○廃炉費、新電力も負担、料金に上乗せ−政府調整(1面)
 大手の救済色濃く、利用者の反発必至−新電力も廃炉費負担(6面)
 これこそ原発のリスクだ−大島堅一立命館大学教授
                (環境経済学)の話(6面)

○9月8日(木)の毎日新聞朝刊は1面と6面で「原発廃炉費用を新電力会社にも=電気料金に上乗せして国民からまきあげる」案、プラス東京電力福島第一原発事故の賠償を進めるため、政府が大手電力(原発)会社だけでなく新電力にも費用負担を求める方向で調整に入ったことが7日、わかったと報じた。
 電力自由化で大手電力から新電力に契約を切り替える消費者が増えた場合、原発の廃炉や原発事故の賠償にかかる巨額の費用をまかなえなくなる可能性があるためだ。だが、本来は、大手電力(原発)会社が負担すべきコストを国民全体に求めることになり、議論と反発を呼ぶのは必至だ。私たちは断然反対する。

○原発電気は高い(高額だ)ということを政府(経産省)や9つの大手電力会社(原発会社)が公式に認めて白状したわけだ。
 実は、ずっと前から、「原発電気は安いはウソだ」の指摘は、学者や反原発運動者からは一杯指摘されていた。資料や本もたくさんある。遅れて原発反対・廃止論者になった小泉純一郎元首相(自民党)も、「原発は安いはウソだ」と明言している。
 長年、国民を欺いて、「原発電気は安い」を何十年も宣伝してきた大手電力会社(9社)と政府(経産省)は自分たちのウソ・誤り・いつわりの数字と宣伝を続けてたことを国民にまず謝るべきだと思う。誠意があるならば。 


.. 2016年09月12日 08:13   No.1094005
++ 柳田 真 (課長)…163回       
○大島堅一立命館大学教授の話の紹介

 「原発のコストが高い」ことは前々から指摘したことであり、それは原子力事業者が自己解決すべき問題だ。国が新制度をつくり面倒をみる必要はない。明らかにおかしな新制度であり、原発保護政策だ。
 原子力事業者が原発のコストを払いきれなくなっていることの証明でこれこそ原発のリスクだ。政府や大手電力(原発)会社が事故や廃炉のコストを入れても原発は安いと従来から主張してきたこととも矛盾する。
    「これこそ原発のリスクだ」−大島堅一立命館大学
     教授(環境経済学)の話(9/8毎日新聞朝刊6面より引用)

○原発の廃炉にかかる費用を政府・電力会社は、100万キロワット級の原発で570億から770億円とみている。50万キロワット級の火力発電所の廃炉費用30億円程度と比べて15から20倍超の巨額だと試算している。
 私は「この原発廃炉の数字は大甘だ」と思う。
 たとえば、英国では原発の廃炉は(事故なし原発でも)100年とみており、従って、かかる費用はもっともっと数倍ふくらむとみる。
 オリンピック費用が当初予定の何倍もの額にふくらんできたように原発廃炉費・事故処理費は当初予定費よりうんとふくらむ。国民よだまされるなと、警告したい。

○政府は総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の下に小委員会を設け、年末までに一定の方向性を出した上で来年の通常国会に電気事業法の改正案を提出するという。まだ反対の時間はある。

○わたしたちはこんなひどい悪法案に断固反対する。原発のコストは大手原発会社が負担すべきで、すべての国民へ転嫁するのはおかしい。
 原発電気がなくとも2011年3月の東電福島第一原発事故以来、電気はほぼ足りた。日本は原発電気なしでやれる。ことがわかった。(事実で証明された)
 来年予定の悪らつな法案を大衆運動でつぶそう。
 今から討論し、私たちの戦略・戦術を立ててしっかり悪法をつぶそう。
 みんなで知恵をもちよろう。力を合わせよう。


.. 2016年09月12日 08:19   No.1094006
++ 永山一美 (小学校中学年)…16回       
伊方原発3号機は再稼働直前に故障した
 |  それからもわかる延々と続く行政、規制庁の甘い審査基準
 |  9/3山崎久隆さん講座に参加して
 └──── (たんぽぽ舎ボランティア)

  9月3日「スペースたんぽぽ」で行われた山崎久隆さん講演会に参加した。
  タイトルはズバリ《原発再稼働の問題点を探る−地震と原発》である。
 ○各原発の再稼働を見据えた地震動再検証や再点検等対応が続く中、政府自治体の肝いりで実施された避難訓練は目を覆いたくなるような、今までの教訓が生かされておらず、非常事態対策とは思えないひどい有様であった。
 折しもの悪天候と重なりはしたが、気象条件に左右される避難計画しかできないことにも問題が山積みだという事を露呈させるだけとなっていた。
 本来、避難訓練とはそう言った非常事態を想定し実施されるものではなかろうか。
 
 ○まして原発事故発生となれば、近隣数都道府県が避難対象ではないだろうか。こういうことからもわかるように、「再稼働、再稼働」と御旗を掲げ推進する割には、行政の対応は中身が全く伴っていないカラの仏像を拝むようなものではないだろうか。
 山崎久隆さんの講座は、伊方原発の構造上の問題提起から始まり、いかにずさんかつ、おうような対応での再稼働実施、甘く行政稼働側に都合の良い審査基準で点検、認可を行っているかを説明する流れで、とてもわかりやすかった。
 東京電力に比べると他の電力会社は本当に小さな規模であり、一度事故を起こせば補償どころではないだろう。国の補償対策の狼狽ぶりも見ての通りである。
 
 ○伊方原発は、狭い半島の細い突端に位置しており、中央構造造線が沖合数キロに位置する。沖合数キロということは地下では直下にも等しい位置関係となるという極めて危険な原発立地である。
 中央構造線は、熊本地震発生前後から活発となり、さらに活性化し、構造線に関わるあらゆる地域で地震活動の活発度合いが加速しているようだ。
 難解な言葉ばかりが先走りする原発等の問題だが、自分たちも知りたいという気持ちをもって、自分たちなりに知ろうとすることも大事だということだと感じた。
 そんな中での再稼働に次ぐ再稼働の動き、私たちができる限りの声を上げ、再び大きな事故が起こるのを止めなくてはならない。



.. 2016年09月12日 08:30   No.1094007
++ 山崎久隆 (社長)…633回       
あまりに酷い伊方3号機
 |  再稼働直前に故障する原発−川内(九州電力)も高浜(関西電力)も
 |  伊方(四国電力)も…
 |  規制庁の甘い審査−規制庁交渉で痛感したひどい回答、
 |  特に原子炉の安全性
 └──── (たんぽぽ舎)あまりに酷い伊方3号機

 四国電力伊方原発3号機が12日に原子炉を起動した。プルトニウム燃料
(MOX燃料)を積んだプルサーマル炉でもある。
 8月9日長崎原爆の日に再稼働阻止全国ネットワークが規制委と交渉を
持ったが、その結果、一般とも科学ともかけ離れた認識に唖然とさせられ
た。これまでも何度も議論をしたが、今回は最も強くそれを感じることに
なった。担当した箇所での質問と回答に対し、特に原子炉の安全性に関す
る点についての批判を以下に述べる。

見出し
1.一次冷却材ポンプの軸受漏えい
2.1000ガルに耐えられる?
3.マジックナンバー1.54倍
4.自然循環不成立時の過酷事故対策
5.注入圧力はわずか7気圧


1.一次冷却材ポンプの軸受漏えい

 原子炉一次系に破損が発生すると流出する冷却材の流れに阻害されて自
然循環は成立せず燃料を冷却できないことは明確である。炉内の冷却材は
開口部に向かって流れてしまうからだ。
 自然循環は炉心燃料の熱により発生し、高温になった冷却材は出口配管
を通過して蒸気発生器に向かい、そこで二次系または空気(二次系が蒸発
していれば)により冷却されて比重の大きな冷却材になるので、蒸気発生
器細管を下り一次冷却材ポンプを経て入口ノズルから原子炉内に戻る。こ
れが自然循環の流れだが、何らかの原因により蒸気発生器細管、加圧器、
一次冷却材ポンプなどの何処か(計装系などの微少配管なども含めて)で
漏えいが発生したら漏えい口から冷却材は噴出し、冷却材の流れは損傷部
に向かう一方的なものになる。
そのため自然循環は成立しない。

 その中でも漏えい箇所になる可能性の高い一次冷却材ポンプは、実は破
損が全くなくても電源が喪失しただけで漏えいが発生するやっかいな装置
である。
 ポンプには「シール部」という場所がある。ポンプ回転軸を伝って内容
物が漏れるのを防ぎ、軸受を安定させる装置だ。加圧水型軽水炉の一次系
にはループごとにポンプがあるので、伊方3号機の場合は3台ある。
 そのシール部は外から強い圧力をかけて「軸封水」または「シール水」
を押し込んでおり、そのおかげで隙間から冷却材が漏れるのを防いでいる。
この水圧は炉圧より高く157気圧以上で「充てんポンプ」というポンプに
より圧力がかけられている。しかし電動ポンプだから電源喪失と共に機能
喪失する。

 機能を喪失するとシール水を押し込めなくなり、内部の157気圧の冷却
材が漏れてくる。最大漏洩量は最も圧力が高い漏えい初期段階でポンプ
1台あたり毎時最大109トンと想定されている。(時間と共に圧力が下が
るので漏洩量は徐々に減少する。)
 シールの破損は、この漏洩量を増やす方向に影響すると思われるので、
真剣に検証をすべきなのだが、今回の漏えいが「シール水のみの漏えい」
だとして、何の検証も検討もしていない。安全側に立った態度とは到底い
えないのである。
規制庁は自らは事故原因調査もしていない。


.. 2016年09月12日 09:11   No.1094008
++ 山崎久隆 (社長)…634回       
四国電力によると、格納容器耐圧検査において使用圧力の1.1倍をかけ
たところ、ポンプ軸封部のOリングに外部から圧力が掛かり変形、そのま
ま動かしたため軸受が傾き漏えいに至ったというのだが、これだとポンプ
3台とも起きない理由の説明にならない。個体差だと四国電力は言ったそ
うだが、それで済むのならば規制庁などいらない。原因と調査がいいかげ
んだと、全く予期しない原因があっても排除されていないので、運転中に
大規模な破たんを来しても未然に防げない。そのような事例は過去にいく
らでもあったではないか。

 典型的例を一つあげれば、軸振動の増大を甘く見て再循環ポンプを破壊
するまで運転し続けた福島第二原発3号機の事故がある。その前年に同型
機の1号機で起きていた損傷を見逃したことが、最終的に事故を未然に防
げなかった。
 こんな経験を山のようにしているのに、今回の規制委の稼働許可は、何
が起きても教訓にさえならない現実を見せつけている。
 電源喪失時には一次冷却材ポンプが冷却材喪失の大きな流出点になると
分かったのは福島第一原発事故の教訓である。それまでは抽象的には認識
されていたが、そもそも全電源喪失が長時間続くという想定そのものが
「想定外」なので、実態として対策されていない。

 では、福島第一原発事故後の今はどうなったのかというと、本質的には
何ら変わりはしない。
 ポンプはもちろん以前のままだし、冷却材喪失対策が、結局は消防車の
ポンプという。せめて炉圧と同じ圧力でも注水できる電源不要のシステム
を付けるべきであるが、対策は取られないままに加圧水型軽水炉が動き出
している。
 一つの方法は、沸騰水型軽水炉の原子炉隔離時冷却系統と同様の装置を
付けることだ。


2.1000ガルに耐えられる?

 愛媛県は、伊方3号機が中央構造線及び中央構造線断層帯のほぼ真上に
あることから、650ガルの基準地震動に大きな不安を感じたのであろう、
1000ガルの地震にも耐えられるのかと四国電力に問うた。そこで四国電力
は実力はもっとあるとして1000ガルを想定した「伊方発電所3号機耐震裕
度確保に係る取組みについて」と題する報告書を2015年7月付で県に提出
した。
 この、いわゆる「実力評価書」について8月9日に規制庁に問うた。
工事計画認可申請の計算とかけ離れた文書に、いったいどんな意味がある
のかと。

 1000ガルとは単純計算ならば、基準地震動の1.54倍の揺れになり、ただ
でさえ厳しい蒸気発生器細管や各種管台などが、そのままでは破損するの
ではないかと疑問を持つのは当然だ。
 ところが四国電力は、工事計画認可申請書にはない「実力評価」を持ち
込み、大きな揺れの力にも耐えきれるとする。実力評価とは「適用実績の
ある詳細評価」と記載しているが、実態は安全余裕をはぎ取り、実際に
取り付けている材料や、材料の強度評価や設置状況を組み込んで加算し、
耐震裕度を上方修正したものである。


.. 2016年09月12日 09:34   No.1094009
++ 山崎久隆 (社長)…635回       
 一見合理的に見えるが、材料欠陥や老朽化、あるいは設計、施工ミスな
どは一切考慮できないので、実力といいながら実態は計算上のカタログス
ペックでしかない。
 工事計画認可申請において厳しい計算条件を付けるのは、設置後に何十
年、場合によっては60年間も使う装置や配管類が、稼働中に老朽化しひ
び割れや減肉が起きたり、工事や施工に問題があって傷が付いていたり、
ありとあらゆ
る「不測の事態」を想定するからである。
 航空機の場合、空力強度計算だけで製造しても耐空証明と型式証明
(これがなければ乗客を乗せられない)を取れないのは、試験飛行などで
分かる欠陥が潜んでいる危険性を経験的に知っているからだ。

3.マジックナンバー1.54倍

 「1000÷650」これが1.54である。
 設置許可変更申請書において伊方3号機は650ガルを想定した。新基準適
合審査にあたり、基準地震動を570ガルから650ガルに引き上げたのだ。
 それでも不安だとした愛媛県が更なる対策を求めた。つまり1000ガル程
度にも耐えられるのかと問うた。これに四国電力は「耐えられる実力があ
る」と主張した。

 その根拠として四国電力は、650分の1000は1.54だから、1.54倍以上の
「裕度」があれば良いことにした。しかし工事計画認可申請書に書かれた
耐震裕度の中には、そのままでは1.54倍に達しない装置や機器類がいくつ
もあった。これでは1000ガルには耐えられないとの結論になる。
 そこで「実力評価」の出番である。計算根拠をいろいろ都合よく変える
ことで耐震裕度すなわち倍率に下駄を履かせたのである。
 工事計画認可申請の場合は、例えば材料の肉厚は「必要最小肉厚」で計
算する。設計製造時の材料の厚さが、運転中の腐食や浸食で失われ、ある
いはひび割れていても設計上許容される最小値になっているとして計算す
る。

 もちろん、そこまで減肉やひび割れが起きていることは、特に放射性物
質を内蔵する一次系では希かもしれない。しかし希でもあり得ることだか
ら、安全側に値を取り、それでも放射性物質を封じ込めることが出来るこ
とを条件としている。これが「工認の手法」である。

 しかしこれでは厳しい結果になるので、「実力評価」では、肉厚は公称値
つまり材料として納品されるカタログスペックの値を使う。もちろん使用
中の減肉やひび割れなど想定しない。
 当然ながら裕度は高い値になる。例えば蒸気発生器伝熱管の場合、650
ガルにおける「工認の手法」では基準地震動による発生応力値÷評価基準
値(塑性変形[そせいへんけい]は起こすが破壊には至らない一定の値)=
1.09倍(1.54倍以下)が、「実力の手法」では同じ計算で1.61倍(1.54倍以
上)になるのである。

 当然、1000ガルを想定しても「実力の手法」ならば余裕があることにな
る。例えば蒸気発生器伝熱管の例では1.61÷1.09=1.48倍ほど耐震裕度
が増えるというわけだ。
 しかし「工認の方法」で計算すると0.7倍(1.09÷1.54=0.71)程度でしか
ない。これは破壊を意味する。

 すなわち蒸気発生器伝熱管は1000ガルの揺れには持たないのである。
 同様に持たなくなる装置類を四国電力の「伊方発電所3号機耐震裕度確
保に係る取組みについて」から読み取ると次の通り。
 抽出条件は、主要機器の中で「工認の方法」で計算し耐震裕度が1.54倍
を下回るものである。


.. 2016年09月12日 09:42   No.1094010
++ 山崎久隆 (社長)…636回       
 1.原子炉容器の管台(どこだか不明)、2.炉内構造物(ラジアルサ
ポート)、3.燃料集合体(制御棒案内シンブル)、4.原子炉容器支持構
造物埋込金物(スタッド)、5.蒸気発生器(管台)、6.蒸気発生器内部
構造物(伝熱管)、7.蒸気発生器支持構造物(支持脚)、8.蒸気発生
器支持構造物埋込金物(支持脚埋込金物コンクリート)、9.一次冷却材
ポンプ(軸受)、一次冷却材ポンプ支持構造物埋込金物(上部支持構造物
埋込金物基礎ボルト)、10.制御棒クラスタ(被覆管)、11.制御棒クラ
スタ駆動装置(タイロッド)、12.燃料取替用水タンクポンプ・原動機
(軸位置)、13.使用済燃料ラック(溶接部)、14.原子炉格納容器本体
(胴部)、15.アニュラスシール(根太)、16.格納容器排気筒(本体)、
17.タービン動補助給水ポンプ・駆動用タービン(弁箱)、18.その他配
管・サポート(具体的部位不明)、19.一般弁(具体的部位不明)、
20.主蒸気隔離弁操作用電磁弁(据付位置)、21.主蒸気安全弁(据付位
置)、22.制御棒(挿入性)、23.静的触媒式水素再結合装置(本体)

 これらが全て1.54を下回っているので1000ガルの揺れには耐えられな
いことになる。そのため実力評価などと下駄を履かせる手法を導入したが、
それで強度が上がるはずもない。
 規制庁の加圧水型軽水炉担当官は、この実力評価については法律で定め
られたものではないし、国に対して審査を求めたものでもないので、関知
していないとした。事業者がことあるごとに主張する「国のお墨付き」は、
「実力評価」については一切無いのである。

4.自然循環不成立時の過酷事故対策

 過酷事故対策(アクシデントマネジメント略してAM)の一つが「フィ
ードアンドブリード」つまり「減圧して注水」である。一次系の熱を逃が
す方法は二次系への熱の伝達だが、電源喪失状態ではポンプは動かないか
ら、炉心燃料で暖められた高温の冷却材が蒸気発生器の伝熱管に流れ込
み、そこで二次系の水または空気に熱を逃がし、炉心に戻ることで炉心
を冷やす。しかし伝熱管に気体が溜まれば自然循環は止まる。燃料が損
傷したりメルトダウンしたら大量の希ガスと水素が発生するから、気体
により自然循環は止まるのは誰にも分かる。

 その際に「フィードアンドブリード」を行うのだが、加圧器逃がし弁を
開けば自動的に冷却材喪失になってしまう。
 また、蒸気発生器の伝熱管に気体が溜まるほど炉心損傷が進んでいれば、
高温のガスがポンプシールや弁を破損させている可能性が高い。冷却材の
喪失はそういうところでも進行している可能性がある。

 問題は「水を入れる方法」である。
 ECCSは蓄圧注入系以外は電動ポンプを使うため、電源喪失状態では
入らない。蓄圧注入系も40気圧程度に下がらなければ入らない。高圧で漏
えいが続くような状態では、冷却材を喪失し続けていても補充は出来ない。


.. 2016年09月12日 09:53   No.1094011
++ 山崎久隆 (社長)…637回       
 原子炉が高い圧力のままで推移し、冷却材は抜けるのに注入できない
状態が長時間続けば炉心は露出しメルトダウンを引き起こすだろう。40気
圧まで下げるのに加圧器逃がし弁を使っても、蓄圧注入系統にも限りがあ
り、タンクが空になれば効果を失う。もともとECCSへの電源が30分程
度で回復することになっているため、長時間の停電を想定していない。も
ちろんバックアップ電源があると主張するだろうが、福島第一原発事故で
は電源設備系統は地震により破壊されているから、長期間にわたり電源が
使えない状態を想定しなければ、またしても想定外になるだけである。

5.注入圧力はわずか7気圧

 さらにバックアップとして想定されているのは消防車だが、ポンプの注
入圧力は7気圧程度しかない。その圧力で消防用水配管に水を送ったとこ
ろで、炉心に入る保障もない。

 規制庁に対して「消防用水ポンプを使って冷却材を遅れることを実証し
たのか」と問うと、「稼働中の原子炉にそんなことは不可能である」と、実
証しないことをあたかも当然と、開き直った。これはおかしい。
 実証されていない装置を「安全設備」などと銘打って設置するようなプ
ラントはあり得ないことだ。最後に水が入らないとメルトダウンを避けら
れないといった段階で、実証性のない装置を使って水が入るなど、想定す
ること自体間違いだ。

 規制庁は「消防用水配管の部分、部分で注入できるところをテストして
いる」というが、そんな常圧で動かす場所をいくらチェックしても意味は
ない。
本当に厳しい場所、つまり一次冷却材の内蔵する150気圧になる場所に注水
できることを実証しなければ、AM設備などといえるわけがない。

 例えば同じAM設備である「ホウ素注入系」については定期検査ごとに
実際に注入できることを試験しているし、ECCSの設備についても注入
できることを実証試験で確認している。では、消防用水配管の実証性を試
験しないのはなぜか。実証できないからに他ならない。

 福島第一原発事故でも明らかに使い物にならない設備であることが「実
証」されてしまった設備を、AM設備であるとする規制委員会の規制基準
適合性審査は、茶番劇である。


.. 2016年09月12日 10:26   No.1094012


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