|
加害の歴史認めぬ政府 「真相封じ」に警鐘 1923年9月1日関東大震災 朝鮮人虐殺 中央防災会議は軍、警察の関与認定 質問主意書に「記録ない」 元教諭・西崎さん 1100の証言まとめ出版
今日は「防災の日」。93年前に起きた関東大震災では、流言飛語に踊らされた「自警団」などの手により、多数の朝鮮人、中国人らが虐殺された。 排外主義の風潮が再び強まっている現在、事件の教訓化は重要さを増している。だが、政府は今日まで事件への関与を認めず、真相究明にも取り組んでいない。 こうした中、民間の研究者は虐殺にかかわる膨大な証言をまとめた書籍を出版した。(中略) だが、この答弁書は、内閣府中央防災会議の見解と明らかに矛盾する。 同会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会」が2008年に出した報告書は、「軍隊や警察、新聞も一時は流言の伝承に寄与」「爆発や火災の延焼、飛び火、井戸水や池水の濁りなど震災の一部を、(朝鮮人による)爆弾投擲(とうてき)、放火、投毒などのテロ行為によるものと誤認したことが流言の一原因」と結論づけている。 報告書では、震災後に設置された関東戒厳司令部が陸軍各部隊の報告に基づいてまとめた「戒厳司令部詳報」などの資料も引用。「兵隊の任務遂行上のやむを得ない処置として11件53人の朝鮮人殺害が記録されている」と記し、官憲と民間人の共同による殺傷もあったと指摘した。 日本弁護士連合会も03年、虐殺事件の目撃者の申し立てなどを基に「関東大震災人権救済申立事件調査報告書・勧告書」をまとめ、政府に被害者遺族への謝罪などを求めたが、ここでも内務省警保局長が震災後、各地方長官に発した打電を取り上げている。 打電が「震災を利用し、朝鮮人は各地に放火し、不逞(ふてい)の目的を遂行せんとし、現に東京市内に於いて爆弾を所持し、石油を注ぎて放火するものあり」と虚偽の情報を発し、取り締まり強化を求めたと紹介。この情報が市町村に伝達され、民間の自警団結成の下地となり、朝鮮人虐殺へと駆り立てた可能性を指摘した。 このように流言や朝鮮人虐殺への政府関与を示す資料は少なくない。(後略)
デスクメモ:関東大震災の際、追われた朝鮮人を救った人物もいた。いまなら「反社会的勢力」とされる博徒の佃成一家初代総長である。多数の朝鮮人をかくまい、子分が自警団と対決した。「おまえは日本人の敵か」という罵声にも動じなかった。下層民衆の倫理が「市民感情」より勝っていた。(牧) (9月1日朝刊28,29面「こちら特報部」より抜粋)
.. 2016年09月02日 08:16 No.1091008
|