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鎌田 慧
今月末に予定されていた四国電力・伊方原発3号機の再稼働は、冷却水ポンプの故障で、急きょ8月以降に延期された。九州電力・鹿児島の川内原発もそうだが、事故などあってはならない原発が、経営上の理由だけで前のめり。故障続出だ。 「みんなで止めよう伊方原発7・24全国集会」にわたしも参加した。熊本地震にも連動する「中央構造線」にちかい、伊方原発の危険性はかねて指摘されてきた。 それでも再稼働を進める四国電力に怒る人びとが、全国から原発前に700人も集まった。 工夫を凝らしたゼッケンやTシャツ、のぼり、手書きの旗などがカラフルで明るい。わたしはここにくると、「原発絶対反対」の鉢巻きを額に巻いて、細い山道を上ったり下ったりしていた、お年寄りたちの姿を夢のように思い起こす。もう45年も前になる。 四国電力の社員にだまされ、土地売買のハンをつかされ自殺した、妻の無念を語った元村長が、ぽつんと一人で暮らしていた屋敷の荒廃ぶりは、いまでも鮮明である。 集会のあいさつで、わたしは井田與之平さん、川口寛之さん、広野房一さんなど運動の代表者やローカル紙「南海日日新聞」の斎間満、近藤誠さんの名前を挙げて、その死を悼んだ。全国の原発でも、無念のうちに亡くなった人は多い。その死が報いられる日は、必ずくる。(ルポライター) (7月26日朝刊29面「本音のコラム」より)
.. 2016年08月01日 09:06 No.1079001
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