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■--想定しない」は過ちだ
++ 東京新聞 (社長)…1526回          

 熊本地震2ヵ月

  熊本地震が始まってから14日で2カ月になる。余震は小さい。新しい建物は安全。前震、本震で2度の震度7は、そんな思い込みを覆し、想定しなかった事態が起きた。教訓を防災に役立てたい。
 熊本地震は4月14日夜、熊本県益城町で震度7を記録した地震(前震)で始まった。16日未明にはマグニチュード(M)7・3の本震が起きた。
 政府の地震調査委員会は先週、地震活動が減っている状況から「M6程度の余震が発生する可能性は低下した」とする評価をまとめる一方、最低1カ月程度は震度6弱以上の揺れに注意が必要とした。実際、12日夜の地震では八代市で震度5弱を記録した。
 予知はできないが、前震・本震型の地震や、同規模の地震が連続する双子地震が起きることは知られている。九州では過去にも連続地震があったが、2カ月前は想定しなかった。
 気象庁が最初に出した余震情報は「震度6弱」を警告した。6弱は耐震性が劣る建築物は倒壊の恐れがある。だが、政府は避難していた住民を屋内に入れようとした。危険性を想定しなかった。
 耐震基準の在り方も問い直されている。基準は「住んでいる間に一度あるかないかの地震の場合は、建物に被害が出ても、中にいる人の安全を確保する」ことが目標で、1回の地震しか想定していない。「最低限の基準」だが、絶対安全と受け取られがちだった。
 益城町役場など市町村の庁舎や学校施設などが壊れて使えなくなった。中には耐震補強を施した施設もあった。一方、免震構造の熊本大医学部付属病院は、地震後も平常通りに機能した。
 これまでは震源断層が注目され、枝分かれした分岐断層の危険性は軽視されていた。現地調査で益城町では分岐断層のズレが大きいことが分かり、被害との関連性が高いと考えられている。
 福井県の敦賀原発2号機では、原子炉建屋の直下に浦底断層の分岐断層が存在するとの指摘がある。原発に限らず、断層の直上には建物を造らないルール作りが望まれる。
 地震調査研究推進本部によると、首都直下地震や南海トラフ地震の発生確率は、今後30年以内に70%程度とされる。国も自治体も、施設の新設などに際しては、地盤のよい場所を選び、耐震性を高くするように努力すべきだ。重要施設は免震構造を考えるべきだろう。
    (6月14日朝刊5面「社説」より)

.. 2016年06月16日 08:39   No.1063001

++ 東京新聞 (社長)…1527回       
◆「炉心溶融使うな」社長指示 東電「官邸指示」と伝える 第三者委報告書案

  東京電力が福島第一原発事故当初、原子炉の核燃料が溶ける「炉心溶融」が起きていたのに「炉心損傷」と説明し続けた問題で、同社が原因調査を依頼していた第三者検証委員会が「当時の清水正孝社長が『炉心溶融という言葉を使うな』と社内に指示していた」との報告書案をまとめたことが、関係者への取材で分かった。16日午後、正式に取りまとめる。
 報告書案によると、清水社長は、2011年3月14日夜に記者会見中だった副社長に、広報担当者を通じて、首相官邸からの指示として「この言葉(炉心溶融)は絶対に使うな」と伝えていたことも判明した。
 同日早朝には、1、3号機で仮設電源により計測機器が一時的に復旧。炉心損傷割合が5%超と確認され、当時の社内マニュアルに従えば、炉心溶融と判断できる状態になっていた。
 報告書案は、清水社長が副社長に炉心溶融という言葉を使わないよう求めた背景には、官邸からの指示があったと推認されるとの趣旨の指摘をしているが、指示をした人物や具体的な内容は特定していない。
 11年の事故直後、東電は記者会見などで1〜3号機の炉心溶融の可能性を指摘されたが「基準は存在しない」として、前段階の「炉心損傷」と説明していた。正式に溶融を認めたのは11年5月だった。
     (6月16日夕刊1面より)



.. 2016年06月17日 08:28   No.1063002
++ 京都新聞 (小学校低学年)…9回       
福島の避難解除 不安直視し支援続けよ

  東京電力福島第一原発事故に伴う政府の避難指示が、福島県葛尾(かつらお)村で一部を除き解除された。
 解除は昨年9月の楢葉町に続き4例目で、政府が放射線量の高さに応じ立ち入りを制限する区域の3分類のうち、2番目に高い「居住制限区域」の解除は初めてだ。
 政府は、除染作業が進んだとして7月にかけ川内村、南相馬市でも高い線量の「帰還困難区域」以外の避難指示を相次ぎ解除し、住民の帰還を加速させたい考えだ。
 だが、依然残る放射線への不安や生活インフラが十分に整わないことから帰還をためらう人が多いのが現実だ。戻る人、戻れぬ人の実情に則し、行政のきめ細かな支援の継続が欠かせない。
 葛尾村の解除対象は418世帯1347人で、全町民の9割強に当たる。だが、帰還に向け自宅に長期滞在する準備宿泊の登録は1割程度しかなく、当面の帰還者も大半が高齢者という。
 大きな壁が放射線への不安だ。農地には除染廃棄物が仮置きされたままで、面積の大半の山林は除染対象外だ。加えて村内に常駐の医師がいなくなり、食料品などが買える商店も再開されていない。
 7月に1万1千人への避難指示が解除される南相馬市も同様だ。住宅周辺以外の農地、道路の除染は来年3月までかかる見通しで、市民には「見切り発車」と映る。強い不安の声から葛尾村や南相馬市はこれまで居住制限区域を含む解除に慎重だったが、政府の強い意向に押し切られたという。
 政府が急ぐのは、残る9市町村で2017年3月までに帰還困難区域を除く避難区域を解除する目標のためだ。復興の前進を示すとともに、16年度末に商工業者、17年度末に避難者への賠償を打ち切る方針と不可分だろう。
 原発周辺の住民は突然、いや応なく日常生活を奪われた。除染の状況をみても賠償負担を抑えるため解除を急ぐことは許されない。
 実際、楢葉町で解除後の半年間に戻った住民が1割弱という現状を直視すべきだ。
 避難が長期化する中、見通しの立たない帰還困難区域の元住民だけでなく避難先で永住を希望する人が増えている。政府は、安心して戻れる環境整備を急ぐとともに、一律的な対応でなく、自主避難を含め古里を離れて生活再建を目指す人々の住居や生計の確保をしっかり支えたい。
    (6月14日「社説」より)


.. 2016年06月17日 08:35   No.1063003
++ 東京新聞 (社長)…1529回       
◆「炉心溶融使うな」 社長の指示 4年間公表せず
  把握していた東電事故調 第三者委報告書

  東京電力福島第一原発事故で、炉心部が溶け落ちる「炉心溶融」が起きていたのに、「炉心損傷」と説明し続けていた問題で、当時の社長が「『炉心溶融』の言葉を使うな」と幹部に指示していたことが分かった。さらに東電は、4年前の社内事故調の調査で社長が指示した事実を把握していながら、報告書に盛り込んでいなかった。
 東電の第三者検証委員会が16日に公表した報告書で明らかになった。
 それによると、清水正孝社長(当時)は事故3日後の2011年3月14日夜、記者会見に出ていた武藤栄副社長(当時)に、広報担当者を通じてメモを差し入れた。
 メモは炉心溶融などについて書いてあり、広報担当者は武藤副社長に「官邸から、これ(炉心溶融)と、この言葉は使わないように」と耳打ちしたという。
 これ以降、東電は溶融を示すデータがあっても「具体的な判断材料は乏しい」「判断できない」などと回答。東電は同年5月、ようやく1〜3号機の溶融を認めた。(後略) (6月17日朝刊1面より抜粋)


.. 2016年06月20日 08:29   No.1063004
++ 東京新聞 (社長)…1530回       
官邸前「脱原発」集会200回に

 脱原発を訴え首相官邸前や国会周辺で毎週金曜夕方に開かれている抗議集会が17日、200回目を迎えた。参加者はドラムを鳴らしながら「地震の国に原発要らない」「川内(せんだい)止めろ」「伊方原発再稼働反対」と官邸に向かって声を合わせた。この日は、主催者発表で約800人が参加した。
 主催する首都圏反原発連合の中心メンバーで女性イラストレーターのミサオ・レッドウルフさんは「再稼働に前のめりになっている安倍政権が続く限り、今後も抗議していく」と話していた。
 抗議集会は東京電力福島第一原発事故から1年後の2012年3月に始まった。若者を中心に参加者が増え、関西電力大飯(おおい)原発(福井県)が再稼働する直前の同年六月には主催者発表で20万人に膨れあがった。若者のデモは、昨年の安全保障関連法への反対運動にもつながった。
              (6月18日 朝刊より)


.. 2016年06月20日 09:03   No.1063005
++ 東京新聞 (社長)…1531回       
原発より国民大切に「【金曜日の声 官邸前】

 千葉県浦安市の会社員鈴木清美さん(60) 抗議集会が始まった当初から仕事帰りに来ている。原発事故で多くの住民が避難し、空気や水、土地が汚染された。国は事故がもたらした現状を直視し、原発よりも国民を大切にしてほしい。
 東京都葛飾区の無職上野重光さん(72) 福島に帰りたいが、放射性物質による汚染の影響などが心配で帰れない。そんな母親たちの心情を歌詞にして、ここで仲間と歌っている。子どもたちの未来のために原発を廃止してほしい。
(6月18日より)


.. 2016年06月20日 09:10   No.1063006
++ 東京新聞 (社長)…1532回       
関電、高浜原発の燃料取り出しへ 執行停止却下受け

 関西電力は17日、高浜原発3、4号機(福井県)の運転差し止めを命じた3月の大津地裁の仮処分決定に対する執行停止の申し立てが同地裁で却下されたのを受け、2基に装填されている核燃料を取り出すと明らかにした。
 執行停止と同時に申し立てた異議審の決定時期も見通せないため、関電は「停止期間が長期化する可能性がある」と判断。4号機で8月上旬、3号機で8月下旬に核燃料を取り出す。
 2基には現在、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を含む157体がそれぞれ装填されており、取り出した燃料は使用済み燃料プールに移す。再稼働前の装填にはいずれも4日間を要した。(後略) (6月18日朝刊1面より抜粋)

.. 2016年06月20日 09:18   No.1063007
++ 東京新聞 (社長)…1533回       
避難解除前に数値の議論を
        元放射線測定士 井上輝彦 69(東京都練馬区)

  福島県葛尾村の居住制限区域で、初の避難解除とのニュースを読みましたが、私自身かつて放射線を扱っていた者として驚いています。本当に良いことなのか疑問を感じました。
 今回政府が解除したのは20ミリシーベルト超50ミリシーベルトまでの居住制限区域を含みます。
 国際放射線防護委員会で定めた一般人の許容被ばく線量は年間1ミリシーベルト。放射能関連業務に従事する人の許容線量でも50ミリシーベルトです。
 これは成人を想定しており、体重が約半分の子どもの場合、被ばく許容線量も半分にする必要があります。
 放射線によるがんリスクを論じる際、まずは大丈夫と構えるのではなく、確率論として1万人に何%くらいリスクがあるのかなど、専門的知見に基づく情報提供が必要だと思います。
   (6月20日5面「 発言」より)



.. 2016年06月21日 08:11   No.1063008
++ 読売新聞 (小学校中学年)…10回       
東海地震想定の大震法、南海トラフに拡大へ

  東海地震を想定した大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づき事前に対策を強化する地域について、政府が南海トラフ巨大地震と同程度に拡大する方向で検討を始めることが、関係者への取材でわかった。
 直前の正確な予知を前提とした運用を転換し、鉄道の運行停止などを伴う事前対策の緩和も検討する見通し。政府は来月にも有識者委員会を設置し、今年度中にとりまとめる方針で、1978年の大震法施行後、初の抜本的な制度改正になりそうだ。
 大震法は神戸大の石橋克彦名誉教授が76年、駿河湾沖でマグニチュード(M)8級の東海地震が「あす起きてもおかしくない」と発表したのを機に制定された。
 だが、複数の震源域が一気にずれ動いた想定外の東日本大震災を経験し、政府は、東海地震の震源域を含む静岡から九州沖までの震源域が連動する南海トラフ巨大地震に備える方針に切り替えた。 (後略)
    (6月19日より抜粋)


.. 2016年06月21日 08:25   No.1063009
++ 東京新聞 (社長)…1534回       
◆「40年廃炉」なし崩し 老朽原発 初の延長認可
  高浜1・2号機 最長で20年 改修に3年必要

  原子力規制委員会は20日、運転開始から40年超の関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)で、最長20年の運転期間の延長を認めた。四十年廃炉が原則だが、条件を満たせば1回に限り20年の延長が認められる。延長は「例外中の例外」とされてきたが、初の適用例が決まった。ただ、再稼働するには、大規模な改修工事が必要で、3年ほど先になる見通し。(中略)
 規制委は、原子炉格納容器上部の放射線を遮る能力が低いことから、遮蔽(しゃへい)用のドームを設置し、ケーブルに防火シートを巻き、事故時の対策拠点を新設するなどすれば、新基準に適合すると既に判断している。この日、関電が特別点検で得たデータなどを基に「運転60年の時点でも安全性は保たれる」と認めた。劣化した配管などは取り換えれば問題ないと判断した。
 関電は、ドーム設置など全ての改修工事は3年後の2019年10月までに終える計画。一方、西川一誠知事は地元同意について「もう少し手続きや問題点がはっきりしないと」と話し、まだ判断できる時期ではないとの認識を示している。(後略)
   (6月21日朝刊1面より抜粋)


.. 2016年06月22日 08:19   No.1063010


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