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消えた福島第一原発 20キロ圏の貝たち
福島第一原発事故後、どのぐらいの放射性物質や有害物質が海に流れ込んだのか、そして海の生態にどれほどの影響を与えたのかは、いまだ明らかにされていない。そんな中、原発20キロ圏の海の生物の減少を明らかにした論文が注目を集めている。 文/おしどりマコ 写真/おしどりケン
海の異変
2月4日、国立環境研究所の堀口敏宏室長らの論文が、英国科学誌「サイエンティフィックリポーツ」に掲載された。その内容を研究室に伺い取材したので紹介する。 論文の内容は、東日本大震災及び福島第一原発事故後、岩手県から千葉県の潮間帯を調査したところ、福島第一原発周辺の生物の種類と棲息量が減っているというもの。潮間帯とは、満潮時の海岸線と、干潮時の海岸線にはさまれた場所のことで、そこに棲息する生物は、二枚貝や巻貝、甲殻類(フジツボ類やヤドカリ類など)などである。堀口室長によると、この潮間帯生物の減少は、震災・津波だけで引き起こされたものだとは考えにくく、原発事故の影響(放射性物質だけでなく様々な有害化学物質の影響)が示唆されるため、引き続き調査を継続するという。 (中略)
「公害に第三者はいない」
…私は水俣病の取材をしているときに、故・宇井純氏の著書と出会った。宇井氏は水俣病の調査に際して、市民の立場に立ち、現場を追及して、権力を追い詰めた環境学者である。宇井氏の言葉に「公害に第三者はいない」とうものがある。公害にあるのは被害者と加害者だけ。傍観者は中立ではなく、権力者に加担すること。公害の被害者は初めに、体の弱い者、幼い者、弱者に少数出てくる。そのとき多数の傍観者が黙っていることは、権力者側につくことなのだ。この言葉を知ってから、私は様々な問題を知るたび、第三者にならないためにはどうすべきか自問自答している。 (後略) (「 vol.13 No.4 2016 APR」より抜粋)
.. 2016年05月18日 08:30 No.1053001
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