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■--熊本地震−九州新幹線はなぜ脱線したか?
++ 柳田 真 (平社員)…140回          

   原因は脱線防止ガードなし・安全経費をケチった
 |  新潟県中越地震では脱線防止ガードでたすかったのに…
 └──── (たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワーク)

◎熊本大地震で多くの人がビックリしたことの1つに、九州新幹線の脱線がある。テレビでも大きくうつっていた。超高速で多数の人を乗せて走る新幹線が脱線したら大惨事になる。これを避けるためにほとんどの新幹線は脱線防止ガードが設けられている。
 しかし、九州では…
 毎日新聞で、柳田邦男氏が次のように述べている。
 ……2004年の新潟県中越地震で、新潟県長岡市付近の高架上で上越新幹線の列車が脱線したが、転覆を避けられ犠牲者を出さずにすんだのは、脱線防止ガードがあったからだった。その教訓があるのに、九州新幹線では脱線防止ガードが一部にしか設置されておらず、現場にはなかった。さらに、車両台車側の逸脱防止ストッパーも取り付けられていなかった。
 このため、時速80キロだったのに、全車両が脱線したのだ。回送列車だったのは偶然に過ぎない。乗客を乗せて高速運転中だったらと思うと、ぞっとする。結果の重大さを考えるなら、予測されていたM7級の地震に対し万全を期すべきなのに、人の命よりカネの節減(安全投資削減)が優先されるという、この国の安全文化のレベルの低さが「定番化」されている姿が見える。
 熊本地方を中心に起きている地震災害を分析すると、この国の失敗の本質が見えてくるし、この国のどこを変えなければならないかが見えてくるのだ。……

◎もうけを優先させて「安全経費を削る」というのは、九州新幹線だけでなく、九州電力にも共通している。たとえば、原子力規制委員会への審査前は「免震重要棟をつくります」といっていたのに、合格後は(お金を惜しんでか)免震重要棟をつくらないというサギ手口。
 原子力規制委員会は、合格を取り消すべきだ。

◎安倍内閣も、国民を守るためといって軍事防衛予算を増やしているのに(5兆円を突破)、現実に大地震で国民の生命・財産が次々に失われている大災害に対し、財源を投入していない。私たちは人の命と財産を守るためにももっと国の財源投入をと訴えたい。

◎熊本大地震で、中央構造線断層帯(M9の地震が発生する可能性あり)に火がついた。今後の地震の展開が心配だ。
 4月23日(土)−24日(日)の「再稼働阻止全国ネットワークの相談会」では、5月11日(水)、6月11日(土)、7月11日(月)の3回を基準日として、前後1週間の幅の中で、全国行動で「大地震だ、中央構造線に火がついた、原発が危ない、川内原発止めろ、伊方原発動かすな」の運動もり上げをきめた。
 この実現に努力したい。

.. 2016年04月28日 07:45   No.1046001

++ 島村英紀 (課長)…170回       
日本近海でメタンハイドレートの大爆発が起きなければいいのだが…
 |  「バミューダ・トライアングル」の正体・ナゾがようやく解けるかも…
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」コラムその147
 └──── (地震学者)

◯ 「バミューダ・トライアングルのナゾ」が、ようやく解けるかも知れない。
 船や飛行機が忽然と消えてしまった原因不明の事故が多発している米国東岸沖の3地点を結んだ三角形の大西洋の海域のナゾのことだ。
 3地点とは米国のフロリダ半島の先端とプエルトリコ、バミューダ諸島だ。面積は約400万平方キロメートルある。
 このナゾをめぐって、いままで多くの小説、映画、漫画などが製作されてきた。
 最近、このナゾが解けるヒントになる発見があった。
 それはスカンジナビア半島の北に広がっているバレンツ海の海底で、いくつもの巨大なクレーターが見つかったことだ。
 最大のものの直径は800メートル、深さが45メートルもある。発見したのはノルウェー・トロムソ大学の研究者だ。

◯ バレンツ海は水深約400メートル。浅くて平らな海で、タラの好漁場になっている。あまりに平坦で凹凸のない海底なので、私たちの海底地震計をノルウェーの観測船で設置したときには、多くのタラが魚礁代わりに海底地震計のまわりや上に集まってしまった。
 海底が平坦なのでクレーターを見つけやすかったのであろう。研究者は、この巨大なクレーターは海底にある天然ガスの爆発によって出来たに違いないと言う。
 「犯人」はメタンガスだった。自然界に存在する無臭のガスだが、海の底では水圧を受けて固体になる。氷のような無色の結晶、メタンハイドレートである。
 陸地から流れ込んだ生物の死骸など有機物が分解してメタンガスが発生し、海底でメタンハイドレートが作られる。将来のエネルギー資源として各国から注目されているものだ。
 陸地に近い世界の海底に広く分布している。ノルウェー沖にもバミューダ沖にもある。
 メタンハイドレートは可燃性で「燃える氷」といわれる。激しく爆発することがあり、石油採掘作業員などに危険が及んだこともある。

◯ 今回バレンツ海で発見されたような大きなクレーターは、メタンハイドレートが海底で大規模な爆発をしたので出来た可能性がある。
 クレーターを作った爆発はいつ起きたものかは知られていない。この種の海底爆発は、津波を生んだり、地震のような大きな振動を起こすことが考えられる。
 ノルウェーの研究者は、こういったクレーターを作るような急激なガスの爆発は、バミューダ・トライアングルのナゾを解く可能性があると言う。
 そこを、たまたま船が通りかかったら被害を受けるかも知れない。爆発の規模が大きければ、もしかしたら飛行機にも影響するかも知れないのだ。

◯ ところで、日本列島の沖には、太平洋岸にも日本海岸にもメタンハイドレートが大量にある。世界有数の埋蔵量と言われている。
 日本近海で、この種のメタンハイドレートの大爆発が起きなければいいのだが。


.. 2016年05月02日 09:46   No.1046002
++ 島村英紀 (課長)…171回       
熊本でも起きていた誘発地震
 |  現在の地震学では判断不能
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」コラムその149
 └──── (地震学者)

◯ 「誘発地震」というものがある。今回の熊本で始まった地震が阿蘇山の下や大分や熊本県南西部に広がっていったのも誘発地震だと考えられる。
 大地震を起こした地震断層はある拡がりを持っているが、その範囲の中で起きるのが「余震」だ。これに対して離れた場所で起きる地震が誘発地震である。
 5年前に起きた東北地方太平洋沖地震(東日本大震災。マグニチュード(M)は9.0)は余震だけではなくて、何百キロも離れた日本の内陸各地に誘発地震を起こした。

◯ 翌日の朝に起きた長野・新潟県境にある栄村の地震(M6.7)や、富士山直下で起きた地震(M6.4)だ。これらは直下型地震としてはかなりの地震で、どちらも地元で震度6強を記録した。死者3、住宅の全半壊が約200に達した栄村の被害はとくに大きかった。
 これらの地震は、すでに知られている活断層で起きた地震ではない。今回の熊本で始まった地震群でも、地震が起きてはじめて活断層が分かった例がある。日本にはまだ知られていない活断層が何千もあるのだ。

◯ ところで、明らかに分かっていた活断層で起きた誘発地震があった。
 東日本大震災のちょうど1ヶ月あとにこの活断層が誘発地震を起こした。Mは7.0で死者4人を生んだほか、住宅の被害も出た。
 この活断層は「井戸沢断層」。長さ24キロほどの活断層だ。福島県・いわき市街地の西方にある。日本史上では地震は知られていなかったが、地質学的な調査から、大昔に地震を起こしたことが分かっていた。
 近々、地震を起こすとは思われていなかった活断層だった。しかし、地震が起きてしまったのだ。
 地震が起きたときに、この活断層では、高低差2メートルもある断層の崖がいきなり出現した。その長さは14キロにも達した。
 しかも、内陸直下型地震としては珍しい「正断層」だった。正断層とは、断層面をはさんで上側が滑り落ちる形の断層運動を起こすものだ。
 この断層が道路を横切ったところでは、もちろん車が通れなくなった。幸い断層の上に家は建っていなかったが、もしあったら、大被害を受けたろう。
 ちなみに熊本で起きで震度7を記録した二つの大地震は「横ずれ断層」で、断層運動としては直下型地震ではよくあるタイプだった。
 この井戸沢断層が、天然記念物に指定されて保存されることになった。正断層が珍しいものだったし、高低差2メートルもの崖が続いているというので、指定されたものだ。

◯ 地震は離れた場所に「飛び火」して誘発地震を起こすことがある。活断層があるとされていなかった場所でも栄村や富士山直下で起きたような地震が起きるし、活断層があると分かっていた井戸沢断層でも、誘発地震が起きた。
 残念ながら、現在の地震学の知識では、どこに、どんな誘発地震が起きるかは、まったくお手上げの問題なのである。

.. 2016年05月06日 08:21   No.1046003
++ スペースたんぽぽ (幼稚園生)…1回       
急きょ決定:5/14(土)開催!
 |  島村英紀さん(地震学者・地球物理学者)の学習会
 |  熊本地震(九州地震)とは?中央構造線は?南海トラフは?
 |  「地震列島日本の今・そしてこれからは?」
 

  ★島村英紀さん・地震と原発学習会★
  「地震列島日本の今・そしてこれからは?
   熊本地震(九州地震)とは?中央構造線は?南海トラフは?」(仮題)

  日 時:5月14日(土)14:00より16:00(開場13:30)
  講 師:島村英紀 (地球物理学者)さん
  会 場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F)
  参加費:800円

  4月14日そして16日熊本に起こった震度7の大地震。日本中が騒然とした九州の地震。今現在も九州地方の各地で収まる気配もなく余震が続いています。
 気象庁も予測がつかないという展開で、多くの人が『中央構造線が動き出した』と考えています。
 「…地震の連鎖が起こっていった熊本、阿蘇、大分の次にあるのは愛媛県、ここには中央構造線のすぐ近くに伊方原発がある。
 熊本から南西に中央構造線をたどると鹿児島県、ここは川内原発からそう遠くはない…」と島村英紀さんが述べています(4月23日発信【TMM:No2765】★1より)。
 そして、九州に多数ある火山は?、東海地方から九州にかけての南海トラフは?、など心配の種は尽きません。
 『地震と原発事故情報』でも地震中心に幅広い情報を発信している島村英紀さんに最新情報を中心にお話しいただきます。ぜひご参加下さい。



.. 2016年05月09日 09:53   No.1046004
++ 山崎久隆 (社長)…604回       
熊本地震と免震棟 九電川内原発が放棄した安全対策
 |  一番必要な時に存在しない「重要施設」
 |  川内原発の運転を止めよ
 └──── (たんぽぽ舎)

◯ 免震重要棟がなかったら、東京も避難地域になっていたかも知れない。
 3000万人の広域避難が現実のものとなっただろう。
 そのことは吉田昌郎所長や清水正孝社長(いずれも当時)の証言により明確だ。
 福島第一原発事故の教訓を踏まえて作られることになったのが免震構造の建屋による緊急時対策所だったはずである。
 原子力規制委員会が策定した規程『実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈 第61条』の『a)基準地震動による地震力に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失しないようにするとともに、基準津波の影響を受けないこと』と規定したのである。すなわち、緊急時対策所が免震機能を有することを求めていると解釈するべきだ。
 同第39条の規程には地震による損傷の防止として『例えば、設計基準事故対処設備は剛構造であるのに対し、特定重大事故等対処施設に属する設備については、免震又は制震構造を有することをいう。』と明確だ。
 なお、特定重大事故対処施設とは、航空機の墜落やテロ攻撃による破壊を受けても炉心溶融を防止することを目的として設置されるものだ。

◯ 免震機能を要求していることの意味

  設置許可基準規則の解釈において緊急時対策所に免震機能を要求していることの意味は何か。
 設置許可基準規則34条で、緊急時対策所を原子炉制御室以外の場所に設けることを要求しているのは、原子炉を冷温停止させるために必要不可欠な制御室が使えない場合、代替手段として同等の機能を有する設備が必要になるからだ。
 今回の熊本地震のようなケースを例に取るならば、制御施設が使えなくなった場合、原子炉建屋ないし補助建屋にある制御室は剛構造の耐震構造であるが緊急時対策所が同じ耐震構造であるとしたら、揺れの大きさにより制御室が損傷を受けるような規模であるとすると同程度の強度を有する緊急時対策所も同じく使用不可能となる危険性が高いと見るべきだ。しかし緊急時対策所を免震構造にしておけば、そのリスクは明らかに低くなる。
 耐震構造(岩盤に岩着させて強固に作ること)で作られている原子炉制御室と免震構造で作られている免震施設は、2種類の異なる構造で安全性をより強化したものである。
 設置許可基準規則の解釈で、「免震機能等により、」と明記している以上、規制委員会の求める性能は明らかに緊急時対策所を免震機能で建てることを要求している。


.. 2016年05月09日 10:03   No.1046005
++ 山崎久隆 (社長)…605回       
◯ 法令に違反する九州電力

  熊本地震が起きる直前に免震構造で作るべき緊急時対策所を含む重大事故対処施設を、原子炉建屋と構造が同じ耐震構造で作るとし、震源が拡大し続ける中でも運転を止めるつもりがない九州電力の行為は、到底許されるものではない。
 この安全対策の値切りを規制委員会が「結果として」受け入れるならば、福島原発震災の教訓どころか、これまでの安全対策要求さえ放棄するものとなる。
 もともと「免震重要棟」と呼ばれる緊急対策施設が東電福島第一原発に存在したのは、中越沖地震により被災した柏崎刈羽原発の教訓からであった。
 その必要性は2007年から明白であったのに、東電が新潟県から要求されてやっと建てたのである。もし福島にそれがなかったならば、地震とその後の爆発による爆風で大破した事務棟に居続けることになった従業員と下請作業員に大量の死傷者が出た後、全員が退避を余儀なくされたであろう。

◯ 泉田裕彦新潟県知事の談話

  「2007年の中越沖地震の時、柏崎刈羽原発の東電のサイトと連絡が取れなくなりました。ホットラインのある建物が地震で歪んでドアが開かず、入れなかったというのですが、地震の際、事故は複合で起きるわけだから、ホットラインが使えないと困ると、かなり言ったんです。もう知事、そろそろいいんじゃないかという話も多々ありましたけど、断固としてやってくれと言った。そうしたら造ってくれたのが免震重要棟なんです。あわせて、福島にも免震重要棟を造った。完成したのが、東日本大震災の8か月前でした。だからあの時、私がひよって、言うべきことを言わなかったら、あの福島に免震重要棟はなかったんですよ。免震重要棟がなかったら、いま東京に住めないんじゃないですか。」(「注目の人直撃インタビュー」より日刊ゲンダイ2013年10月24日)
 免震重要棟がなかった場合、1号機のほとんど真横に建っている事務本館で収束作業を行なわねばならないが、地震の被害を受けていた上、原発の爆発をまともに受け、大勢の犠牲者が出て緊急対策施設としては機能を失ったであろう。(幸い、事務本館は入室禁止で爆発時に誰も居なかった)
 その結果、作業ができる人は誰も居なくなり、結果として関東一帯を含む170から250キロ圏が居住不能地域になったかもしれない。被災者は3000万人にも上ったであろう。
 東電の清水正孝社長(当時)も2012年の国会事故調の参考人聴取で「あれ(免震棟)がなかったら、と思うとぞっとする」と証言している(国会福島原発事故調査委員会・第18回委員会にて2012年6月8日)。
 それでも福島第一の免震重要棟は災害規模に対して狭すぎた。現場作業を行った人々はろくに休むところもなく、廊下や床に段ボールを敷いて寝ていたという。おそらく体調を崩す人が大勢いただろう。
 死にたくないのだったら原発職員こそ声を上げるべきだ。


.. 2016年05月09日 10:13   No.1046006
++ 山崎久隆 (社長)…606回       
◯ 免震機能設備は規制基準の要求だ

  免震棟は九電の社長が言うように「同じような機能があればいい」という程度のものではない。「基準規則第61条」には「重大事故等に対処するために必要な指示を行う要員がとどまることができ」「重大事故等に対処するために必要な情報を把握できる設備を設けたもので」「内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行う」ことができることと規定している。
 この法令解釈で言っているのは「基準地震動による地震力に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失しないようにする」ことである。
 そして「例えば、設計基準事故対処設備は剛構造であるのに対し、特定重大事故等対処施設に属する設備については、免震または精神構造を有することをいう」(関西電力 高浜原発・設置許可規則基準規則と技術基準規則の比較表より)としている。特定重大事故等対処施設は航空機墜落やテロ攻撃を想定しているが、基準地震動を超える地震時(残余のリスク)にも持ちこたえることを要求していると考えるのが妥当だ。
 緊急時対策所の機能喪失を防ぐには免震機能でなければならない。それは耐震構造だけでは出来ない。耐震構造ならば原発こそ最も高い耐震性を有するが、福島第一原発で見ても分かるとおり建屋がどんなに頑丈に出来ていても、大きな揺れに揺さぶられて内部の構造が破壊されては元も子もない。特に電源や配管周りは脆弱であり、建物が強固であればあるほど附属設備が脆弱ならば破壊される危険性は高まる。
 要求される免震機能の建屋には、過酷事故対策のための設備を入れる。指揮命令を行うスタッフが常駐し、大勢の人々が被曝を避けて待機できるスペースと、第二制御室の設備にバックアップの電源装置、冷却材を注入する配管などが複雑に設置されるはずだ。こんなものを剛構造で基準地震動に耐えられるように作るのならば原発をもう一基建てるほどの金をかけなければ無理だ。
 もとより事業者は、そんなことをする気はさらさらない。免震棟で作るならば100〜200億円程度、耐震構造で想定するのはその半分以下だ。
 そのような災害が予見できる時に、事故収束の拠点となる施設を免震構造で安定した設備として作る必要性を認めない電力会社に、そもそも核を扱う資格などない。これだけで原発の設置許可が取り消されてしかるべきだ。

◯ 九電川内原発の運転を止めよ

  熊本地震が収まっていないからこそ声を大にして訴えたい。免震棟を含む過酷事故対策設備もない、避難経路は地震や津波で壊滅する。次の地震が川内原発を直撃したら、同じ規模でさえ最悪の過酷事故を起こしかねないばかりか、発電所職員も周辺住民も放射性物質から逃れる術もない。
 九州から四国沖にかけて、地震活動が収まるまでは緊急停止すべきだし、それが収まったとしても緊急時対策所と重大事故対処施設を免震構造の建物に設置し、それでも安全性が保たれるかを地震学者や地質学者と周辺住民も含めて十分議論し結論を見るまでは、再稼働はすべきではない。


.. 2016年05月09日 10:25   No.1046007
++ 今井孝司 (幼稚園生)…3回       
熊本地震で観測された計測震度6.7は気象庁の観測史上最大の可能性
 |  過去2回は2004年新潟県中越地震の計測震度6.5、2011年東日本大震災
 |  の計測震度6.6  (熊本・地震情報その3)
 └──── (地震がよくわかる会)

○本震となった4月16日01時25分の地震(M7.3)において、益城町宮園で震度7(計測震度6.7)が観測された。この値は発生した当日(16日)は地震計と外部の連絡が途切れたので、気象庁が現地調査し、4日後の20日18時に報道資料として発表されたものである。
  ・【記事51712】「平成28年(2016年)熊本地震」について(第22報)
    (気象庁2016年4月20日)
   こちら
○計測震度とは、観測者による体感、家屋等の破壊状況の調査等により定めていた震度を地震計で一元的に管理するために設定された地震計のデジタル データの実測値である。従来の震度との対応は、計測震度5.5以上6.0未満が震度では6弱、6.0以上6.5未満が6強、6.5以上が震度7となる。よって、上記の計測震度は6.7であるから、震度は7となる。
  ・計測震度の算出方法(気象庁)
   こちら
○計測震度の歴史的経緯を、気象庁HPの解説を参考にしつつ述べる。
 1991年に気象庁は震度計を開発、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の翌年、1996年4月から震度観測は全面的に震度計で行うことなった。同年10月からは、現在の10階級の震度階級(震度5及び震度6をそれぞれ弱・強の2階級に分割)となった。
 従って、計測震度による観測は今年(2016年)で、20年経過したこととなる。
  ・1.震度計と震度観測体制(気象庁)
    こちら
○1996年以降において、震度7(計測震度6.5以上)を記録した地震は、2004年の新潟県中越地震で、川口町で観測された計測震度6.5、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で、宮城県栗原市築館で観測された計測震度6.6の2つのみであるので、今回益城町で観測され た計測震度6.7は計測震度観測史上最大であったことがわかる。
○以上の記事作成時に参考にした記事等(8件)は、
 当会HP( こちら )の特集コーナーの「(熊本06)計測震度6.7は観測史上最大の可能性」にあります。
○当会HPの特集コーナー「熊本・大分地震」にアップした記事が107件に達しましたので、個別テーマ14件(震度7、計測震度6.7は観測史上 最大の可能性、益城町1580ガル、基準地震動と熊本地震、震源を特定しない地震と熊本地震、北海道留萌支庁南部地震と川内原発、規制委と熊本地 震、誘発地震、余震、新幹線、火山と熊本地震)に分けました。そちらもよろしければ参考にしてください。
 なお、HP上の記事等が、読めなかった場合でも再読み込みを行うと読める場合があります。


.. 2016年05月10日 08:00   No.1046008
++ 島村英紀 (課長)…172回       
.「地震は忘れたころにやってくる」は日本列島、首都圏にこそ、いちばん当てはまる言葉
 |  日本に住むかぎり避けられない「直下型」 首都圏は群を抜いて危ない
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」GW特別号
 └──── (地震学者)

◯ 「天災は忘れたころにやってくる」と物理学者でエッセイストの寺田寅彦が書き残したという。じつは、本当にこの通り書いたかどうかはわからない。寅彦が残した文章を精査しても、この文言はなかったらしいからだ。
 だが、日本列島に住むかぎり、そして地震に関するかぎり、これは名言である。
 日本を襲う地震には二種類ある。「海溝型地震」と「直下型地震」だ。海溝型地震は主として日本の太平洋岸の沖合に起きる。
 海溝型地震は、プレート同士が衝突することで地震エネルギーが蓄積されていき、岩が我慢できる限界を超えると地震が起きる。だが、地震が起きたら終わりではない。次の日からまた、エネルギーの蓄積が始まるのである。
 それゆえ、この種の海溝型地震は100〜300年くらいの間隔で繰り返してきた。まさに「忘れたころ」にやってくるのだ。

◯ ちなみに直下型地震は繰り返しがあるかどうかもわかっていない。あるとしても間隔は千年から数万年以上だと考えられている。これはプレートの直接の衝突ではなくて、プレートによって日本列島が押されて、ゆがんだりねじれたりして、弱いところに地震エネルギーが溜まって起きるものだからである。

◯ 今回の熊本県を中心に大地震が続いているのは直下型地震だ。
 直下型地震は日本のどこでも起きる。いままで起きた場所を地図上に示すと、ほぼ日本中になる。
 今回の熊本県を中心にした地震も中央構造線という日本最長の活断層群が、日本史上初めて起こした大地震だ。じつは中央構造線は地質学的には、以前からたびたび大地震を起こしてきて、これからも起こすに違いないことが学者のあいだではよく知られていた。

◯ 日本人が日本列島に住み着いてから1万年。しかし海溝型地震も直下型地震も、それ以前から無数に起きてきた。日本人が知らない地震の歴史は長いのである。
 日本にある活断層は、なにも中央構造線だけではない。ほとんど日本中にあり、分かっているだけで2000もある。分かっていないものはその3倍以上もあるのではないかと考えられている。

◯ ところで首都圏は日本の中では群を抜いて「地震が起きる理由」が多いところだ。
 それは、首都圏は北米プレートに載っているのだが、地下には東から太平洋プレートが衝突してきているほかに、南からフィリピン海プレートも衝突してきているという特異な構図があるからだ。このためにプレート同士の衝突で起きる海溝型地震も起きるし、プレートそのものが起こす地震が多い。そのうえ日本のほかの地域と同じく、内陸直下型地震も起きるのだ。

◯ 世界の大多数の国にはない「地震は忘れたころにやってくる」は日本列島、そして首都圏にこそ、いちばん当てはまる言葉なのである。


.. 2016年05月12日 08:06   No.1046009
++ アエラ編集部 (幼稚園生)…1回       
熊本大地震は「前例」あった
 | “17世紀と酷似する”地震パターンとは
 └──── 「AERA 2016年5月2日−9日合併号」より抜粋

 今回の地震について、気象庁は「前例がない」と言った。だが、古文書をひもとけば、今の日本の状況とあまりにも似ている時代があった。我々は歴史に学ぶ必要がある。
 歴史学者・磯田道史さんに話を聞いた。
◯ 今回の一連の地震で、震源が熊本から阿蘇、大分と北東方向に100キロを超えて広がっていっていることについて、気象庁は「前例がない」としていますが、果たしてそうでしょうか。確かに気象庁が観測を始めた1875年以降では前例はないでしょう。
 しかし、500年、1,000年という長いスパンで災害の歴史を研究してきた私の立場から見ると、前例なしとは言えない。それどころか江戸時代初期の17世紀前半とかなり状況が似ていると考えています。

◯ 順を追って説明しましょう。まず1611年に「慶長の三陸沖地震」が東北地方で起きました。これは東日本大震災と同タイプの東北沖の海溝型巨大地震で、津波による多数の死者が出ました。
 その8年後に、今回と同じ肥後地方で、一つの都市が壊滅するような大地震が起きています。熊本藩の地誌「肥後国志」14巻には「卯の刻(午前6時)より大地震い、午の刻(正午)にいたり、城楼崩壊す」とあります。この城楼とは、八代にあった麦島城のことで、最初の地震から数時間、幾度となく襲いかかる激震で6時間後に櫓(やぐら)などの建物が崩壊してしまったのです。
 さらに「浄信寺興起録」という記録には「大地震動す。山鳴り谷応え」とあります。ゴーゴーと不気味な地鳴りがして、谷でこだまするような状況だったのでしょう。城の石垣や櫓が壊れ落ち「死傷するもの無数」、都会だった八代の町が「たちまち荒陵と変ず」とあります。おそらく震度6強ないし7の非常に強い揺れと余震で、城下は6時間の断続する揺れで消滅したと思われます。


.. 2016年05月14日 07:41   No.1046010
++ アエラ編集部 (幼稚園生)…2回       
◯ ちなみに熊本では、記録に残る最も古いものとして、744年、天平時代にも大地震が起きたことがわかっています。今回の地震を起こした布田川(ふたがわ)と日奈久(ひなぐ)の2つの断層帯は数100年単位で激しく動いているのです。
 さらに私が今回、注目したのは当時、豊後(大分県)竹田を治めていた岡藩中川家の「中川史料集」の記述です。八代の麦島城の天守閣が崩壊した同じ日、同じ午の刻に「岡大地震御城中所々破損」とあります。これは竹田の岡城が地震で崩れ破損したことを意味します。つまり、熊本が揺れ、その6時間後には、大分竹田の断層も、城を壊すほど激しく動いたのです。今回同様、熊本の地震が大分にまで広がっていた可能性が高いのです。
 東北で震災が起き、その数年後に熊本で都市そのものが壊滅するような地震が起き、その地震が大分にまで広がった。つまり、今回と非常に似通った地震活動が400年前に起きていたとみるのが自然です。

◯ その後の展開も気になって調べてみると、熊本と大分の地震から6年後の1625年に広島・愛媛・熊本・香川で地震が連発します。広島は、八代、熊本、竹田を通る断層群の延長線上にあるので、私はこの地震に注目しています。まず同年1月、広島で地震が起き「安芸広島城の石垣・塀・多聞などが崩壊」します。多聞とは城の細長い櫓で、広島城の地盤はあまり強くないので、震度6ぐらいで石垣や櫓が崩壊したと思われます。城下の被害記録はないのですが、櫓が落ちるかなりの揺れだったことがうかがわれます(「自得公済美録」十七ノ下)。
 同年4月、今度は愛媛を地震が襲いました。「伊予温故録」によれば道後温泉が「地震にて塞」がって「松山城主蒲生忠知命して湯神社に祈祷す」とあります。7月は再び肥後熊本で大地震が起きています。相当な被害があったようで「丁巳雑録」という史料ではこんな内容が記されています。「(旧暦6月)17日に揺れ始めて、天守その他城内の建物が崩れ、瓦も飛んで骨組みの木材だけが残った。城中にいた50人ばかりが死んだ。火薬庫が地震で爆発し、跡形もなく吹き散らした」
 熊本藩細川家の「部分御旧記」には、「本丸には庭がなく四方が高石垣。そのうえ、櫓・天守もなかなか危ない。許可を得て、地震屋(殿様の地震避難舎)を建てる庭を造らねば、本丸にはいられない」というような記載があり、余震が続いたことがうかがわれます。さらに同年11月上旬には「四国中国大地震」という記録が香川県に残っています(「田宮物語」「長尾町史」)。

◯ つまり「400年前の東日本大震災」のあとには、国内最大級の活断層である「中央構造線断層帯」の西端の熊本・八代でまず地震が起き、大分・広島・愛媛・香川へと西日本の中央構造線を東に向かって、次々と地震が連発した形跡があるのです。 (構成)


.. 2016年05月14日 07:47   No.1046011


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