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ところが昨年アメリカ政治家が、小泉首相の靖国参拝と併せて、遊就館の対米戦解説を問題とした。アメリカが29年大恐慌克服の過程の一環として、石油などの経済封鎖で日本を戦争に追い込んだ云々というものである。
この動きに岡崎久彦(元駐タイ大使等、小泉、安倍の外交ブレーン)は即座に反応した。岡崎(1930−)は、外交軍事戦略と情報戦略の第一人者といわれ、小泉首相が人の意見を聞くのは、内政経済竹中平蔵と外交の彼しかいない、と加藤紘一元幹事長はなげいていた。岡崎外交の最大の特徴は、世界一国家のアメリカとの固き同盟論で、戦前の日英同盟、戦後の日米同盟によって日本は栄えた。 その反対が大東亜戦争で国が亡びた。この経験則に学んで日米同盟至上を鉄則とせよというのである。
彼が米国の反応をみて、靖国史観が、この日米同盟を危うくしかねないと「産経新聞」に投書。その記事がどういう経路と人(有力政治家、財界人など)をへたのか、靖国神社が一変して、すぐに解説を書き替えた。その執筆者がなんとその親米一辺倒の岡崎であった。このイキサツを彼はこの初夏に記者会見でのべた のである。どういう訳かとりあげないマスコミが多かったが。
昭和天皇が(現天皇も)A級戦犯合祀のために参拝をやめ、そのいきさつが日経新聞に詳細にのっても、小泉首相も靖国神社もなに一つ動かなかった。だが米国政治家(知日派)が一言いうや、パッと動き、すぐに改作までする。靖国神社にとっては、天皇のいうことや行動より、アメリカ政治家の方が「格上」なので ある。
小泉政治いらいとくに日本の右傾化はいちじるしいが、その先導者の国家主義者や民族主義派がこの靖国のアメリカ一辺倒に一言もないのはどういうことなのか。「英霊」たちもさぞかし驚き、あきれているであろう。
安倍晋三らの”新保守本流派”の中心イデオローグの中西輝正の本の題の通りに「国まさに亡びなんとす」。政治も道徳も地におち、まさに大危機であることを、今回の靖国劇場は示した。(岡崎の改訂文は見ていないのでふれられなかった。)
.. 2007年08月20日 08:27 No.104001
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