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先日読み終えた『落日の日本艦隊』に、バターン死の行進について「捕虜に対する給与の準備があるはずもない、貧乏国のわが軍は戦う資格も、また勝つ資格も無かったといえる」という文があり、そういえば日本軍が捕虜をどう扱ったかの話を具体的に知らなかったな、と思い買ってきた本。 同じ著者の『戦う日本漁船』でもそうだったんですが、船の遭難、というか戦災例が具体的に、かつ冷静に描写されています。なので余計に想像力が刺激され、かなり恐ろしく、陰鬱な気持ちになります。 日本軍は攻撃面ばかり重視し、それを運用する上で必要な後方支援、国家の維持に必要な具体的な手立てに関して非常に無関心な組織だということがよくわかります。 輸送船の防衛? そんな地味な仕事は知らんよ、俺以外の誰かがやってろよ、って姿勢が、戦闘部門である連合艦隊偏重、海上護衛軽視につながり、その結果は… 日本兵の輸送ですら劣悪な環境、護衛体制で被害出しまくってた日本軍。敵国人である捕虜の輸送に関して、その事情が好転するわけもなく。まさに虐待、戦争犯罪なんですよね。そら訴追されるわ。 ちなみにこの本、連合軍側の捕虜輸送船での事例、オランダ軍が仕出かした戦争犯罪についても紹介されてます。が、戦勝国であるオランダ軍の行為は有耶無耶になってます。結局、戦争犯罪なんてのは戦争に勝ってしまえばどうとでもなる、という例ですね。だがしかし、それをもって日本軍が捕虜に対して行った行為を正当化はできませんよ。 結局、当時の日本はジュネーブ協定を批准していなかった。その理由が、西欧各国のように捕虜を扱う能力が日本になかった、というもの。ということは結局まだ後進国だったということです。「戦う資格も、また勝つ資格も無かった」ということになるかもしれませんね。
.. 2015年01月03日 18:57 No.825001
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