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最近読み終わった本の感想、続きましては『戦う日本漁船 -戦時下の小型船舶の活躍』。まず言えるのが、日本軍が好きにはなれない本かもしれないという点w 太平洋戦争中に日本軍に徴用された、漁船などの小型船舶の話です。ある日いつも通り漁に出てたら軍人がやってきておもむろに漁船のチェックをし、いきなり「この船徴用するから、○○軍港まで来てね」って言われる。指示通り軍港に行ったら今度はソロモン海域まで行って任務に着けという話。日帰りの沿岸漁業をやるような小型漁船で、南半球まで行って来いという。「海に浮かんでる舟だし大丈夫だろ?」程度の考えで、無茶振りをしてる自覚すら無さそうな軍。そんなこんなで、3万人もの民間人船乗りが戦死してる、ってのが凄まじい。決戦艦艇ばかり揃えて強くなった気でいる海軍が、支援艦艇、補助艦艇、雑務艦を軽視した結果そのしわ寄せがどこに来たのか。その現場を知るヒントになる本です。なんで「ヒント」かというと、なんせ残された記録が少ないんで推測するしかない面が多いためです。 短期決戦型の戦備しか無理だった、ってのは解ってるんだけど、じゃあその想定が外れた状態で戦い続けてたのはなんだったのか。後手後手に回った民間船徴用で、水運、漁業を壊滅させるとは、いったい軍は何を護ろうとしていたのか。国家を護るための軍隊の、限界超えた活動の為に民間人を犠牲にするってのはどういうことなんだろうねえ。そんなことを考えさせられる本でした。なかなか注目されない内容だけど、太平洋戦争敗戦の本質の一つが垣間見えると思います。 ああ、別に反戦的、反日的な感情論がダラダラ載ってるような本では無いですよ。残された少ない資料から、客観的に日本軍が行った民間船舶の強制徴用と、軍属として戦場に送られ死んでいった民間人の話が紹介されています。
.. 2014年10月20日 14:19 No.820001
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