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■--『戦う日本漁船 -戦時下の小型船舶の活躍』
++ 多足          

最近読み終わった本の感想、続きましては『戦う日本漁船 -戦時下の小型船舶の活躍』。まず言えるのが、日本軍が好きにはなれない本かもしれないという点w
太平洋戦争中に日本軍に徴用された、漁船などの小型船舶の話です。ある日いつも通り漁に出てたら軍人がやってきておもむろに漁船のチェックをし、いきなり「この船徴用するから、○○軍港まで来てね」って言われる。指示通り軍港に行ったら今度はソロモン海域まで行って任務に着けという話。日帰りの沿岸漁業をやるような小型漁船で、南半球まで行って来いという。「海に浮かんでる舟だし大丈夫だろ?」程度の考えで、無茶振りをしてる自覚すら無さそうな軍。そんなこんなで、3万人もの民間人船乗りが戦死してる、ってのが凄まじい。決戦艦艇ばかり揃えて強くなった気でいる海軍が、支援艦艇、補助艦艇、雑務艦を軽視した結果そのしわ寄せがどこに来たのか。その現場を知るヒントになる本です。なんで「ヒント」かというと、なんせ残された記録が少ないんで推測するしかない面が多いためです。
短期決戦型の戦備しか無理だった、ってのは解ってるんだけど、じゃあその想定が外れた状態で戦い続けてたのはなんだったのか。後手後手に回った民間船徴用で、水運、漁業を壊滅させるとは、いったい軍は何を護ろうとしていたのか。国家を護るための軍隊の、限界超えた活動の為に民間人を犠牲にするってのはどういうことなんだろうねえ。そんなことを考えさせられる本でした。なかなか注目されない内容だけど、太平洋戦争敗戦の本質の一つが垣間見えると思います。
ああ、別に反戦的、反日的な感情論がダラダラ載ってるような本では無いですよ。残された少ない資料から、客観的に日本軍が行った民間船舶の強制徴用と、軍属として戦場に送られ死んでいった民間人の話が紹介されています。
.. 2014年10月20日 14:19   No.820001

++ つかじ       
ほほぅ、こちらも興味深いですね。日本軍というと、どうしても長期的な視点を持つ事も無く、目先に囚われて短絡的思考に陥り易いと言うのを、まさに地で行っている感がありますね。

多分漁船を活用しようと思った担当者は、「行ける!」と思っちゃったんでしょうねw

個人的には着眼点は良かったと思いますよ。実際遠洋漁業船は中部太平洋でも活動してましたし。
やはり、米軍も幾例か哨戒に引っ掛かった事も在りますしね。

でも、当然「じゃー転用した後の漁業はどうするの?」は、ご指摘通り「そんなの知らんよ」だったんでしょうねぇ。

何かこの短絡的思考は、陸軍でも相当しますよね。後、徴用の仕方に関して凄くデジャビュを感じますね。

手当たり次第に徴用して、各種工場・造船所勤務者まで引っ張っていって、結局現場に来る兵器は役に立たないって言う奴w
しかも、金持ちは担当部署に賄賂贈って赤紙が来ないようにしていた、と言う話しもある様子。
やっぱ駄目国家じゃんw

.. 2014年10月27日 10:11   No.820002
++ 多足       
1943年初頭に島根の漁港で徴発された漁船団の話。6〜8人乗りの沿岸漁業漁船が15隻、船団組んで一路ラバウルを目指すことに。台湾、フィリピン、パラオ経由で5ヵ月後ラバウルに着いたときには8隻になってたそうです。別に戦闘に巻き込まれたのではなく、機関故障や荒天による難破で。で、当然日本に戻れた船はゼロ。乗組員105名中、生きて還ったのは5名。凄まじい数字です。

南氷洋での捕鯨船とか、遠洋漁業の船ならまだマシだったみたいですが、沿岸漁業の小型船はこんな長距離航海する装備じゃないですからねえ。焼玉エンジンは長時間使えないし、生活空間も狭いし、燃料、水、食糧の貯蔵量も少ない。軍の担当者はそこまで気にしなかったようで。

とにかく、担当者に想像力が足りてなかったと感じます。徴用計画の責任者にも。目の前で数字処理するところまでしか考えたくないんでしょうねえ。ホント現代にも通じる話です。

.. 2014年10月28日 22:30   No.820003


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