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最近読み終えた本、『巨砲艦 世界各国の戦艦にあらざるもの』感想。モニター艦などの「戦艦みたいにバランス取れてはいないけど、巨大な砲を搭載した艦艇」の解説書。 19世紀の話が多かったかな。WWUの海戦史に慣れてると物凄く鈍臭い戦いに見えるかもしれない。モニター艦の戦いとして有名なアメリカ南北戦争のハンプトン・ローズの海戦も、激戦のイメージがあるけど実態としては北軍のモニターと南軍のバージニアが円を描くように航行し、数十分に一度反航するタイミングで数発撃ち合う、それを10時間くらい続けるっていうものだったってのは、随分イメージと違うわけで。まあ、激戦には違いないんだけどね。このへんが砲の装填方法だの射撃精度だの、艦の運動性だのといった技術的な限界だったってわけですな。 でも技術ってのは急に完成するものでは無い。試行錯誤と実践を重ね進歩していくわけで、どんどん改善されてったわけですねえ。
砲の発射速度も船の速力も遅い、バランス悪くて航洋性も低い歪な軍艦たちの戦いは、なかなかトホホなものが多いですが、設計、運用思想はその時代の理にかなったものになってるんだねえ。技術的な限界についても具体例が色々挙がってて面白い本でした。
…ただ、WWUのイギリス海軍のモニター艦をもっと扱って欲しかったなあ、ってのは正直なトコロ。あと19世紀の歴史をあんまし解ってないから、色々調べないと内容が理解できないと感じたなあ。
戦艦ほど高価な艦が作れない。けれども戦艦に対抗したい。その苦肉の策としての、巨砲搭載の小型、中型艦。戦艦というもののあり方を見ていく上で、「こういう可能性もあったのか?」と思わせる存在たちですが、戦艦そのものが時代遅れとなり、モニター艦、装甲艦たちももう開発意義が無くなっていったわけで。兵器開発史の一面を考える、面白い本でした。オススメです。
.. 2014年10月17日 11:44 No.819001
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