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■--国民主権の意味
++ 多足          

さて、戦争談義再開です。
前回は徴兵制度に関して話を進めましたが、今回は民間人の犠牲について話を進めてみたいと思います。
まず、前提となること。戦争は、誰がやるのか? それはズバリ、政府がやるわけです。軍隊か勝手にやるわけではありません。で、政府ってのは国民の代表です。つまり、国民が戦争を始めるのです。「国民主権」って概念が明確になった近代国家において、戦争の責任は国民自身にある、ということ。「政府の嘘に騙された」とかいう言い訳は、少々見苦しいものがあります。誰が選んだ政府だよ、って話。
結局のところ、戦争遂行の目的ってのは「外交の延長」である以上、なんらかの国益を守るため、権益を拡大するために行われるわけですが、その国益、権益を得るのが一部特別階級であり、その特別階級が国民を騙しているって考え方は一面の真理かもしれません。が、少々無責任な言であるともいえます。平穏な日々を与えられていると気がつきにくいものですが、国民ってのは国家が得た権益のおこぼれにあずかってるようなものです。治安、インフラという形で。政府無しでそれらが維持できるか? 無理でしょ。で、政策や運営に不満があるというのなら、積極的に行動を起こさなければいけないのです。少なくとも、選挙権を行使することなく文句垂れるのはお門違いです。「よくわからんけど有名人だから投票する」みたいな、いいかげんなイメージで投票した結果、自らの生活が苦しくなるというならそれは自業自得ってものです。ちゃんと考えて投票しろってのはそういうこと。選挙権以上のものを求めるというのなら、それは革命を考える必要があるでしょう。

で、この選挙権ってヤツ。最近この掲示板でも話が出たと思いますが、結局これを市民が得るきっかけは戦争だったってこと。戦って勝ち取った権利なわけです。直接的には、戦争で兵士として戦った結果。間接的には、戦争遂行のための協力を行った結果。
で、国民が戦争以外のことを重視したいから、国民に選ばれた政府が、徴兵ってものを実施し続けるのが困難になる。国民が対外的な武力闘争を重視するなら、徴兵制度という選択肢にも理解が得られる。国民主権の戦争ってのは、そういうことです。
.. 2010年03月26日 08:43   No.678001

++ 多足       
さて、ようやく民間人の被害の話です。
この話、平たく言ってしまうと、戦場に出ない国民が、民間人の被害ってものを嫌うようになった、というのが大きいのです。「○○の戦いで何人の死者が…」みたいな情報を聞くだけだったのが、写真や動画でその様子が伝わるようになったことで、それまで想像していなかった「痛み」ってのを感じるようになった、ということ。
戦場の兵士にとって優先順位が一番高いのは自らの命でしょう。その次に任務だの仲間の命だのが来るわけで。で、敵兵の命なんて優先順位が低いのは当然。戦場にいる民間人も当然優先順位が低い。自らの命、任務に差し障りの無い範囲でなら、民間人の保護もするでしょう。
つまるところ、武力行使を担当する軍隊にとって、民間人の被害云々ってのは考慮するのが面倒な用件でしかない、ということ。ところが、国民主権の国家が行う戦争である場合、国民が民間人の被害を嫌う以上、それに配慮しなければならなくなるわけです。
例えば、敵が町に立て篭もってる。味方の被害無しにこの敵を無力化する方法として、空爆や砲撃で町ごと吹き飛ばす能力が軍隊にあったとしても、それによって民間人に大きな被害が出るようだと、その手段を実行できない。結果、味方兵士に被害が出る戦い方、つまり地上部隊による突入と制圧を行わないといけなくなる。軍隊からしてみれば、せっかく味方の被害無しで任務が達成できる方法があるのに、それを行使できないとは。結果、敵国の民間人が死ななかったけど自軍の兵士が死ぬ。面倒な話ですね。
戦時の情報統制ってのは、こういう意味があるわけです。国民が嫌うことを、出来るだけ発表しないように、誤魔化した方が軍隊、しいては政府にとって好都合なわけで。

民間人に被害が出る軍事行動を正当化するために必要なのが、大義名分。
例えば、1945年に米軍が日本本土に上陸したならば。米兵に数万の、日本人に数百万の死者が出ることが予想される。だから、より少ない被害で戦争終結に持っていけたわけだから、原爆の投下は正しかった。
と、こうなるわけです。この時出される「もし○○してたらこれだけの死者が…」って数字は、実際のシミュレーションより過大になるのは自然の流れってものですね。
こんな感じで、大義名分の下、戦場での不利益を出来るだけ小さくしたい。だから情報統制、印象操作は当たり前。
でもまあ、報道やネットの幅が広くなった結果、随分やり難くなったことでしょう、政府にとっては。だから、実際に民間人の被害が小さくなるような手段を考えなければならなくなったわけです。そのために精密誘導兵器や、無人兵器が発達するし、情報戦ってものの質もかなり多様になってるわけで。

で、以上の話は何とか言っても結局先進国の話でしか無いわけで、第三世界なんかでは「ヤツらをぶっ殺せ!」ってだけで十分大義名分(?)になり、民間人だろうがなんだろうがレイプして皆殺し、ってのが普通に起こってるわけです。これに関してはまた別枠で、といったところでしょうか。

.. 2010年03月26日 11:11   No.678002


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