返信


■--危機の二十年
++ カン          

昨年12月中旬に図書館で借りまして、貸出期限の2週間では読み切れませんでした(プライベートの時間をすべて注ぎ込んだ訳ではありませんでしたが…)。一度返却して借り直したところ、年末年始を間にはさんだためか1月19日まで借りることができまして、ぎりぎりで読み終えることができました。
で。
難しかったです(泣)ひとつひとつの文章が長く、複雑に絡まり合っているように感じて、読み進めるのに時間がかかるかかる…当然、一回読んだだけでは理解できなかったです。
理想を求めるユートピアンと、実務面のみを重視するリアリストの思想的な対立があり、国際連盟をユートピアンが支配して非現実的な対応に終始したために第二次大戦に至った、と読めましたが…どうでしょうか。また、ナチスドイツの台頭の原因は、第一次大戦後、ドイツを弱小国の地位に置こうとした各国にもあったとする文もあり、納得しました。

嗚呼、理解できなかった上に読後一ヶ月も経過すると、ほとんど憶えていない(泣)何度も読めばまた違ったかも知れませんが、欲しかった知識についての本ではなかったのでリトライは無理かも。第二次大戦に至る史実の本だと思っていたんですが、歴史は歴史でも思想史だったのかな。今後、古書店などで安く売っていたら入手したいですが、アマゾンとかで見かける2000円とかではちょっと。
まあ、自分はユートピアン的な(甘い)考えなのだな、と己の立ち位置を確認することはできたのかも知れません(笑)著者のカーも、実務的な考えだけでも駄目で、多少の理想は必要だと書いていたと思いますが。

いつもの蛇足を少々。戦前のアメリカのハードボイルド小説を多少読みあさったことがあるんですが、話し言葉を文学に持ち込んだと言われるハードボイルドは、脳力の低い自分にとって、なんてありがたいものだろう、と改めて感じました。
.. 2010年02月16日 21:37   No.659001

++ タダノ・ナナシ       
なるほど、カンさんは、そう読みましたか。だいたいにおいて、勘所は押さえているのではないかと…偉そうに言ってみますw
ただ、理想を求めるユートピアンと、実務面を重視するリアリストの思想的な対立を描いているという基本の対立軸の認識はあっているでしょう。ただ、カンさんの読み方では、ユートピアンよりもリアリストが正しいとされるのが、ちょっと、そこが問題かなと…。
私の専門は、一応、経済学となっているので正しい感想かどうかは自信はありませんが、カーの危機の二十年は次のような構成になっています…。

・前半
カーは前半部分で、「ユートピアンの構築する殿堂が実は空洞であることを、リアリストからの批判を通じて、明らかにすることが、政治を考察する者のまず第一の仕事である。」(174ページ)と述べており、本の前半を道徳のみを強調するユートピア主義の批判に当てています。

・中盤
ですが、中盤部分は、国際政治にも諸個人が道徳が影響しているということの証明に当てられています。第8章「国際政治における権力」の第3節で「意見を支配する力」を書いております。ここで、政治における宣伝の力を認めると言うことは、逆説的に、コントロールしなければならないファクターとして道徳観念の存在を浮き彫りにしているとしています。そこからさらに議論を進め、軍事力によって強制された不平等条約は道義的に許されるべきではないという道議観念の普及が、ドイツの再軍備政策を許容してしまったとしています。この点、「大戦の終末におけるドイツの衰弱状態をそのまま永続させようとした]――カンさんが感銘を受けた文章はこれだと思うのですが――(344ページ)ことをひきあいにだすことで、国際政治に権力ファクターしか認めないのは危険であると主張しています。

・後半
カーは、「力の要素を無視することがユートピア的であるなら、およそ世界秩序における道議の要素を無視する現実主義も非現実的な姿勢のリアリズムである」(425ぺージ)と、ある種の中庸主義を訴えています。この立場に立ち、老朽化した国際連盟にかわる、新秩序の構想を後半部で考えております。


>史実の本だと思っていたんですが
たしか、戦争が起こる原因についての話が掲示板を賑わしていた頃に、戦争について知りたかったら、クラウゼヴィッツを読むよりも、『危機の二十年』をカンさんにすすめたと記憶しています。
まぁ、たしかに、タイトルで誤解しても仕方ないかもw「あ、あたしが悪いんじゃないんだから(><)」とツンデレッぽく、いいわけですw

では、ちょっと、大変な時期なんで、とりあえずの返信を終わらせてもらいます。もし、こっちの解釈が間違ってたら、そのときは、ごめんなさいということでw
<(__)>

.. 2010年02月16日 23:19   No.659002
++ 多足       
うーん、コメントが難しいなあw
これは、戦争談義を再開する布石なのか!?w

.. 2010年02月17日 19:51   No.659003
++ カン       
タダノ・ナナシ様>
お忙しい中、レスありがとうございます。
ていねいな解説についても、感謝です。
はじめの方でユートピアンをけちょんけちょんにこき下ろしていたこともあり、しかもカー先生は大英帝国の人で、おそらく支配階級出身でしょうから、その立ち位置は保守寄りであるのも無理は無い、と偏見を持ってしまいまして(笑)最終的にはリアリストマンセーではない、というのは自分にも理解できたかと。

思ったんですが、当時の歴史的事実について知っていることが前提の本なのかも知れませんね。各種の事象の底流に流れる思想について解説したものかな、と。だとすると、理解力不足な上に知識不足も重なっていることに(泣)精進あるのみですね。聞いたことも無い事件の名前とかたくさんあったので、それぞれについて調べるべきだったかも。日本が国際連盟で人種差別撤廃を訴えたが無視された話とか、ソビエト成立時、帝政ロシア時代の条約ばかりか、その後しばらくは条約を破ってばかりだったという話はおもしろかったです。

多足様>
すみません、ほとんど私信に近いですよね(汗)戦争談義、再開希望です(笑)

.. 2010年02月17日 22:00   No.659004
++ 多足       
戦争談義かあ、以前どこまで行ったか全然思い出せないやw
でもまあ、ナショナリズムと国威発揚の祭典・冬季大会が開催されてる今、タイミング的に案外悪くないかもしれないw

.. 2010年02月19日 08:24   No.659005
++ タダノ・ナナシ       
>多足さん
超私信、すまん。
だが、あとちょい、場所を借りるぜw

あと、いま、このくそ忙しい時期に戦争談義をされると、リアルの方で首くくっちゃうぐらいやばいぜw


>カンさん
あー、あと、一つだけ勘違いしてる点を、追加でご指摘です。
上の方のレスで、『危機の二十年』を「思想史の本」ってあげてましたが、これは、ある面で正解であり、ある面でかんちがいです。もし、もう一度読まれることがあったら、序文を確認して欲しいのですが、これ、1939年なんですよ。初版が出たの。
だから、カンさんが「当時の歴史的事実を知ってるのが前提」ってのは的を射てた感想で、カー的には、「新聞読んでたら知ってるだろ」てなかんじで叙述してたはずですw。
いわば、ジェネレーションギャップです。うちの学生どもは、北斗の拳のネタがわからなかったぜこんちくしょうwってなもんです。

このあたりの、補足説明をもうちょっとできていれば、カンさんの読書の補助になったのになあと若干、反省中です。

.. 2010年02月23日 22:37   No.659006
++ 多足       
戦争談義。
実際、こっちも原稿と仕事が忙しいんで3月に入らないと再開はムリかな、とw

『危機の二十年』に関しては、ちょっと本屋で検索してみたら文庫版があるってことなんで、買うのもいいかな、と思ったんだけど… 在庫なし、取り寄せかあ。むう、それじゃパス。
で、ナナシ氏と協議した結果、その20年間の基礎知識を増やす方法としてオススメなのがコレかな、と↓
ttp://yaruomatome.blog10.fc2.com/category13-2.html
ヒトラーを通じてWWTとWWUの間の歴史を振り返るものです。掘り下げ具合が凄いです。説明も上手くてオススメ。しかし、アスキーアート使った物語なんで、好みは分かれるかなあ。
第3章あたりから、WWT後の大混乱が描かれてるので、このへんから読み出すのも良いかも。

.. 2010年02月24日 08:13   No.659007
++ タダノ・ナナシ       
改めて読み直してみたら、『危機の二十年』は、初学者向けじゃないなぁと、さらに反省。岩波文庫だったら、『戦争論』よりこっちだなよなぁという理由ですすめたような記憶がよみがえってきましたので、あれです。カーを読み返す前に、学部一年生向けのテキストでとりあえずの基礎知識を身につけるのが先かも。
この時期だと、各地の大学図書館が、地域利用者を募集してると思いますので、それを利用すると吉かも…w


あと、おそらく、多足さんが上で挙げてるスレか、一番カンさんが知りたい知識を直接的に教えてくれると思います。んで、それから先に進みたくなった場合、あるいは、体系的、理論的なことを知りたい場合には、先ほど述べたように大学図書館で学部一年生向けのテキストをさがすことをおすすめします。

.. 2010年02月25日 00:43   No.659008
++ カン       
レスありがとうございます。
やる夫フューラー編11話を読み終わりました。目が痛いです…続きは明日にします。いやー、読ませますね。

近くの大学と言ったらとなりの市にある筑波大学かなあ。自分の駄目な頭ではとても通うことができない、レベルの高い学校ですが(笑)

序文も読んだので、戦前に出版されたのはわかりましたよー。明確な誤りは少し手直ししたともありましたね。

初心者の私にここまでしていただいき、ありがとうございます。m(_ _)m

.. 2010年02月25日 01:09   No.659009
++ 多足       
やる夫フューラー、一気にそこまで行きましたかw 肌に合ったようで何よりです。世界恐慌の回とか、始まり方が無茶苦茶好きです。
やる夫シリーズはその内容を鵜呑みにしては意味が無いですが、そこから興味を持つきっかけとしては非常に良く出来た作品がいくつもあります。ちなみに今はWWTのシリーズを楽しみにしてたり。なにげにWWTのことには疎いからなあ。ナナシ氏オススメのWWTサイトでは、まだ理解が追いつかないことがあるんでw
何か新しいことを知り、考える機会になれば幸いです。

.. 2010年02月25日 07:50   No.659010
++ カン       
やる夫フューラー編、27話まで読了しました(まだ完結していなかったんですね)。たしかに鵜呑みにすることはできませんが、やる夫(笑)は複雑な人物だったんですねえ。彼のような人間を国家元首に頂かなければならなかった当時のドイツはいったい…でもよく考えたら過去の日本も現在の日本も、アメリカも他の国も、元首については同じようなものかも知れませんね。
ちなみに自分のMac環境ではアスキーアートがずれまくりのため、絵に関してはなかば想像しながら読みました(泣)

.. 2010年02月27日 00:54   No.659011
++ 多足       
おおお、AAがずれますか。表示文字サイズの変更とかでは対応できないレベルですか? だとしたら厳しいなあ。
当時のドイツを考えるヒントになる作品だと思います。ここから、どんな教訓を得るか考える必要がありますね。不満の捌け口がどこに向かうか、というのが注目点だと思います。今の日本のある部分も見えてくるんじゃないかな? 

.. 2010年02月27日 10:54   No.659012
++ カン       
AA>
文字の大きさ変更でも、文字コード変更でもだめでしたorz…型落ちのOSだから無理っぽいですね。最新だとしてもどうかは不明ですが。脳内補完でなんとかなるレベルではあるので、今後他のシリーズも見たいと思っています(以前オブイェクトで紹介されたハンニバルとか見たことはあったんです。今回、クソゲーハンターを読みましたw)。自分はチャーチル=DIO語録がツボでした(笑)
ドイツは、意見を異にする集団が多いという印象を受けました。たしか現代でも連立を繰り返しているような。日本は、サイレントマジョリティが過激な意見につられやすい、のかなあ。

.. 2010年02月27日 22:33   No.659013
++ 多足       
AAがずれるとセリフが判り難くなるときもあるんで、難儀ですねえ。
チャーチル語録は、内容とキャラの合い具合と勢いが半端なかったですねw 毒ガスを使わねばならんのだー!! 議会で使うなw
不満のはけ口が見つからず現政権へ的外れな非難をし、それを引きずりおろすあたり、一年前の日本を見てるような感じでした。現状を打破するために様々な集団が様々な思想で動くわけですが、それが理論的なものも感情的なものも、ゴッチャゴチャになり、結果として一番大きな声で吼えるところに集まった感じですね。ナチの場合ラジオがそれにあたるかと。メディアを使えば、どうとでも誘導できるという例ですね。

.. 2010年03月01日 07:49   No.659014


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