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さてさて、戦争話でございます。今回は、不正規戦闘、というものについてです。 以前、この掲示板にも時々出没する後輩から、アニメの『コードギアス』の話を聞いたことがあります。ギアスは総集編っぽい話を一回観ただけで、なんか肌に合わなかったんでギアス自体の内容は知らないんですが、そのとき後輩が言ってた説明を聞く限りでは「日本が占領されてて、それを解放するために主人公は政府に対して武力で反乱してる」という感じだそうですね。で、説明を聞き終えた自分の感想が「つまり主人公はテロリストなわけやね?」というもの。後輩、「いや、テロじゃなくて。やってることは正しいんで」。自分「世間一般のテロリストも、自分のやってること正しいと思ってるよ?」。後輩、言葉に詰まる。まあそんな感じ。 随分長い前振りになってしまいましたが、様々な映画、漫画、アニメやドラマで登場する、レジスタンスってものを考えてみましょう。ギアスの話はCCがピザ命、ルルーシュが妹命ってことしか知らないんで深くは掘り下げない方向で。 第二次世界大戦のドイツ占領下で活躍したマキーやパルチザンといったレジスタンス組織は、しばしば映像化されています。圧倒的な武力を誇る占領軍の横暴に立ち向かう、正義の味方、英雄的な描かれ方してますね。しかし彼らの行動は国際法的に見てどうなのか? 先に触れたハーグ陸戦条約。これに、戦闘員の規定がはっきりとあります。簡単に言えば制服を着用することで、自分が戦闘員であるということを相手に明確に示す、というもの。民兵、傭兵に関しても、共通の腕章などを着けることで、「民間人ではなく戦闘員である」ということを明示しなければならない、という規則です。これに従い、各国の軍隊には制服が規定されており、戦争となると制服を着た者同士が撃ち合うようになってます。これがルールに乗っ取った「正規戦闘」です。制服、軍服というものはそれ自体が一種の身分証です。なのでフラウ・ボウがやってたみたいに地球連邦軍の制服を加工したものを着て、戦闘艦に乗り込んでるってのは色々不味い可能性もあります。っつーかエゥーゴのメンバーは制服ってものへの意識が低過ぎで、かなり問題のある組織です。 軍服を着ていない兵士というものが何故不味いのか? それは単純な話で、民間人と区別が付かないからです。民間人の群れの中に、民間人の格好をした兵士が潜み、攻撃を行うとしたら… 攻撃受けた側は、何に反撃するか? それはもう、本当の民間人に向けても反撃する事態になりますね。 民間人に紛れたレジスタンスが、占領軍に攻撃をする。占領軍兵士の反撃により、民間人が多数死傷する。さて、この場合悪いのは誰? 国際法に照らして考えれば、悪いのはレジスタンスです。彼らはルールを無視して戦い、その結果民間人にまで被害がおよぶわけです。レジスタンスの行動が無ければ、占領軍と被占領民との間に、良好な関係が築けたかもしれませんが、それをぶち壊したのはレジスタンスです。彼らは戦争の素人故に、自分の行動が与える影響の良い面にばかり酔い、悪い面を考えていません。悪い面は相手、つまり占領軍のせいにして自分は正義面しているわけです。
.. 2009年09月04日 08:27 No.586001
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